サイド 残された家族 1
爺が死んだ。
俺は学校で2時間目の授業を受けている時にドアが乱暴に開かれた。そこには急いで走って来たのであろう汗をかき真っ青な顔をした校長先生がいた。
「百目鬼君!私が送っていくから急いで帰る準備をしなさい!事情は車の中で話します!」
そう言って俺は混乱しながら鞄だけ持って急いでいる校長の後に続いた。
教員用の駐車場に着くとそこには教頭、主任の先生方が青い顔をしながらソワソワと待ち構えていた。
「あの「今は急ぐ!車に乗りなさい!」はぁ・・・」
校長に急かされ校長、教頭、主任と俺で車に乗り込みすぐ車は発進する。
「驚かないで聞いてほしいあなたの曾お爺さんが先程亡くなられた。これから君の家に私達が送り届けます。」
それを聞いて驚きはしたものの、現在の異様な雰囲気に呑まれ冷静になってしまっている。
「朝、何も変わらなったのに・・・そうですか、亡くなりましたか」
「お悔やみを申し上げるよ」
校長が運転しながらそう言うと教頭と主任も真っ青な顔でこちらにペコッと会釈をした。
どうしても気になるので聞いてみた。
「あの、なぜ皆さん一緒に行くのでしょう?」
「弾蔵様が亡くならた事が知られれば日本中が混乱します。現在箝口令がしかれそこまで広まっていませんが、念のためお送りします。ただ数日も経つと騒がしくなります。これから大変だと思いますが、お家のためにがんばってください。」
「・・・冗談ですか?」
俺は身内が死んだと言うことを聞かされ、爺のふざけた芝居かと思い言葉に怒気がはらんだ。
「冗談ではないんですよ。あなたは何も聞かされていないということは知っています。ですが、これから聞くこと、起きること、すべてあなたの曾御爺様の弾蔵様が成した事に付随したものです。それが真実です。」
よくわからないことを言われ俺は納得しきれず黙ってしまった。何が起きてるんだ?と心の中はそれだけに支配されそのまま会話はなく家へと車は走った。
家へと到着した俺は真っ先に車を飛び出し家の中へ飛び込んだ。
そこには布団に寝かされた爺を囲み家族が皆泣きながら微笑み爺を見ていた。
母さんが俺が来たことに気がつき「お爺ちゃん、マコちゃんが来てくれたわよ」と布団の爺に泣き笑いをしながら震える声をかけた。
「まじで、ダン爺ちゃん死んだのか・・・?」「あぁ、今朝道場で倒れていたそうだ」
「今朝何も変わらなかったじゃないか・・・?」「そうだな、ご飯どんぶり三杯食ってた」
「校長にダン爺ちゃんのことで冗談言われたから芝居だって疑ってた」「お前に知らせるのは高校卒業と同時にって父さんに言われてたからな、しょうがないさ」
俺は爺ちゃんとの会話で実感が湧いてきた。悪い冗談かと思ったが自分の家族がここまでする理由がないからだ。真実なのだと悟った。その瞬間、俺は爺の寝ている布団に縋りつき泣き疲れて寝るまで号泣した。