7:デメリットの活かし方
「こいつが……」
「ピピ……挑戦者4名ヲ確認。戦闘ヲ開始シマス。」
俺たちを待っていたのは、俺たちの2倍くらいの身長を持つ、剣を持った全身が青い人形だった。
人工物といった感じしかしないそのモンスターに、俺は少しの意外性を覚えた。
「コイツがか。もっと凶悪そうなもんだと思ってたぜ。」
確かに、感情とかそういったものを一切持たなさそうに見える。現にロボットっぽいことを喋っていたし。
「しかし、敵の見た目と強さは関係ありません。気を引き締めて行きますよ! 」
オームが皆を鼓舞する。流石、落ち着いている様子だ。
「はい![マルチ・アップ]! 」
「[エレキテック・ブラスト]! 」
「[バーン・タックル]! 」
俺以外の三人が、スキルを使い始める。
オームの目の前には電気の塊が現れ、キンの身体は炎に包まれ始めている。偶然にもどちらも知っているスキルだ。たぶん、キンが前衛として、オームは後ろから攻撃するスタイルなのだろう。
何はともあれ、この2人がいるなら心強い……と、思った矢先。
「Bランク以上のスキル使用ヲ感知。[グレー・ゾーン]」
と、敵から灰色の波動が放たれる。
「なにっ! 」「なんだと!? 」
「あれっ? 」
それと同時に、3人から出ていたスキルのエフェクトが消えた。
「どうした、皆!? 」
予想外の出来事に、全員が動揺を隠しきれていない。そりゃそうだ、最初からこちらの動きを封じてくるモンスターなんて、聞いたことがない。
「だったら、[エレキテック・フィールド]!……ダメですね……」
オームが別のスキルを使おうとするが、何も出てこない。
「それならさっき預かった……ええと、[アイス・ハンド]!……いけました! 」
エルの腕と剣とが、冷たい氷に包まれる。
こっちは使えるのか。だったら、どんな違いがあるんだ……? アイツの使ったスキルは[グレー・ゾーン]。つまり……?
「なるほど、名前からしてCランクのスキルしか使わせてくれないって訳か……」
「道理で所長は俺達にこのメダルを……?知ってたんなら教えてくれよ……」
「これは苦戦しそうですね……」
俺以外は皆、元から持っていたスキルがBランク以上だ。影響をもろに受けている。
俺が頑張らなくちゃいけない。
「[カブトワリ・ブレイド]」
見れば、既に敵は目の前まで来ており、高く剣を掲げている。切りかかって来るってことか。
……というかマズイ、考えすぎた!どう対処する!?
「うおっ、やばっ!……そうだ!」
俺はとっさに、あることを思い付いた。
「[リバース・ハンド]! 」
「どういうつもりですか!?まだスキルは受けてないんじゃ……」
訳が分からないとでも言いたげに、オームが言う。
「こういうことだ!」
読んでくださりありがとうございます。秋継梓です。
一日休んでしまったのが大分効いているようで、色々と目に見えて減ってしまいました。
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