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第一王子はモテない  作者: 東野 千介
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近衛騎士団対神聖近衛騎士団①

右翼の前線は一方的な展開になりつつあったが、左翼で神聖近衛騎士団と相対している近衛騎士団は攻めきれずにいた。

 左翼は近衛騎士団1200人とサンズ家三兄弟及びその配下30人に対して神聖近衛騎士団1800人(メリッサの私兵400人を含む)の戦いだ。


 近衛騎士団は副長を含め300名をレスタークスの直掩にまわしているので数的不利はいなめない。


 (やはりこうなったわね・・・。おチビ軍師の命令は無茶なのよ)


 クロエは向かってくる敵をあしらいながら舌打ちする。

 ジュリアスから『できるだけ敵の被害も抑えてくれよ』と言われているために思い切った攻撃ができないのだ。


 ジュリアスの言うこともわかる。


 高位の貴族の子弟で構成されている神聖近衛騎士団の騎士たちを殺しすぎたらあとあと遺恨を残すことになるだろう。この戦いはあくまで内戦なのだ。レスタークス側はすでに戦いの後のことまで考えている。

 そのため近衛騎士団の騎士たちの方が実戦経験が豊富で実力が上にも関わらず傍からみたら互角の戦いをしているように見える。


 「でも、さすがに団長はすごいわね」


 クロエは嘆息している。


 相手を殺さないように戦っているために近衛騎士団の騎士たちは普段の動きができていないが、ラングだけはいつものように平然と立ちはだかる相手を蹴散らしているのだ。それもきちんと急所をよけて気絶させるにとどめている。

 普通、どんな経験豊富な戦巧者でも戦場に出たら高揚し、冷静でいられないものだがラングは初陣の時から落ち着き払って戦うことができていたらしい。そんなラングだからこそこういう無茶苦茶な戦い方でも平然としていられるらしい。

 しかし、そんなラングの活躍があっても、致命傷になるような傷を与えていないため神聖近衛騎士団の戦意は落ちていない。


 (負ける気はしないが、勝てる気もせんな)


 ラングは何十人目かわからない騎士を槍の石突で突き落としながら、戦況を分析する。剣を下手に使っては殺しかねないので今回は槍を使っているが槍を使わせてもリサリア最強の騎士に恥じない腕をもっているのだ。


 「ジュリアスのやつが面倒な事を言うからだ」


 クロエが思っていた事と同じことをラングは口に出している。

 殺しに来ている相手を殺さないで戦闘不能にするには力量にかなりの差があっても難しい。

 戦うときに敵の被害を抑える事を考えながら戦うなど策士の机上の空論にすぎない。


 「やり方はいろいろあると言っていたが・・・」


 ジュリアスに「戦いは勢いだ。戦場ではバカになって相手の事は藁人形とでも思って遠慮なく切り刻まなければ負ける」と言ったときに「今回はそれでは困るよ。戦力差から言っても勝つのは当たり前なんだ。やつらが高位貴族だから命を助けろと言ってるだけじゃないんだよ。これからもレスタークスの役に立ちたいと思っているなら一つ上の戦いかたもできるようにならないといけないから言ってるんだ」返されている。


 (一つ上の戦い方ってなんだよ!意味が分からんな!)


 ラングは心の中で愚痴りながらジュリアスとのやり取りの続きを思い出す。


 そして「それにはどうしたらいい?」の問いには「敵の被害を減らす戦い方はいろいろあるよ。まずは自分で考えてやってみなよ。まあ、僕も一応手はずは整えておくよ」としか答えなかったのだ。

 ラングとしては敵の被害を減らすには相手を殺さないようにするしかないと、できるだけ傷つけないようにしているが、


 (どうやらこのやり方は正解じゃないらしいな)


 相手の被害を出さないためにこちらが被害をうけていいはずもないのでラングは自らの周りの敵を片付けながら味方の弱い部分のフォローに入っているが全くらちがあかない。


 (くやしいがジュリアスの手はずに期待するしかないか)


 ラングがそう思い始めた頃・・・。


 「やはり、こうなったか・・・。ラングもまだまだだな」


 主戦場から少し離れた丘の上に陣取っていたアレスがにやりと笑っていた。

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