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第一王子はモテない  作者: 東野 千介
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陣容発表(シャルル派)

同じようにシャルル陣営でも陣容が発表されていたのだが・・・。


 シャルルの発表に敢然と異議を唱えた者がいる。

 リサリア王国三将軍の一人でありシャルル陣営最大の戦力を有するウインだ。


 「なぜ私が先陣ではないのです!戦いは初戦の勢いが肝心、もっとも強い部隊が先陣を務めることが勝利への道ですぞ!」


 ウインはシャルルの守役だけあって指導するように言うが、シャルルはハッキリとそれを否定する。


 「ウイン、お前は余の側にいるのだ。先陣はリアカに任すことにする」


 リアカはウインの甥で勇猛な男として知られている。若いが今のシャルル軍のなかでは戦巧者の一人だ。


 「わかっていると思うが、最初は適当に相手をしてこちらにレスタークス軍を攻め込ませておく必要があるのだ。そうすることでザガンの援軍がやつらの背後をつきやすくなるのだよ。ウインが先陣に出てしまってはこちらに引き込むのが難しくなるだろう。何しろ相手はあのドラゴン騎士団だ。お前もドラゴンが相手なら熱くなりすぎるだろう」


 からかうようにいうシャルルに、


 「あちらの先陣がわかっているのですか?」


 疑いの声をあげるウインにシャルルは笑って答える。


 「叔母上がザガンの使者を買収したと言っていただろう?ジュリアスからあっちの陣形については全て知らせが届いているのだよ。先陣にはドラゴンと近衛騎士団があたるそうだ。やつらは先陣に最強の戦力をもってきて勢いに任せて一気に決着をつけるつもりだろうが、相手を引き込んで挟み撃ちにするというこちらからしたら好都合だな。はははっ!」


 シャルルの言っている事が作戦上は正しいことがウインにもわかる。こちらの陣にレスタークス軍を引き込んで、ザガンの援軍と挟み撃ちにするのは当初の予定通りだ。


 (だが、この不安はなんだ?なぜか勝てる気がしない。説明はできない私のカンがそう告げている)


 ウインほど戦場の経験が豊かな者にはなんとなくわかるのだ。

 その戦いが勝てるかどうか。

 どうやって判断しているかと問われれば、ウインも答えようがない。

 あえて言うなら『戦場の臭い』か。

 『戦場の臭い』と言った言い方をすれば胡散臭く思われるかもしれないが、相手の戦力や戦場の風景、自軍の雰囲気などを肌で感じ取って直感的に判断しているのだろう。

 その勘ではこのままでは間違いなくこの戦は負ける。どちらに転ぶかわからないのではなく、確実に負けると感じるのだ。


 そんなウインの思考を止めるように、


 「叔父上、心配されることはないですよ。私がしっかりと戦ってみせます。ドラゴン騎士団なにするものぞ!です」


 リアカが張り切って声をかけてくる。


 ドラゴン騎士団を率いる双子はリアカの親友だったが、こうして敵同士になってしまったからには手加減するつもりはない。

 ここで躊躇しないのがリアカが戦士として優れている証明だろう。


 「ドラゴン騎士団を甘く見るな。ベテルギウスが率いていなくとも脅威だぞ」


 ウインもリアカの騎士としての能力は認めているが、リアカの強気は長所でもあるが同時に短所でもあると思っている。


 「もちろん甘く見てなどいません。しかし、先陣が臆してはならないと教えてくれたのは叔父上ではないですか」


 口の減らない甥にウインは軽く舌打ちをするが、思い直す。


 (まあ、ここで守りに入らせてこやつの長所をつぶしても仕方ない、か。ドラゴン騎士団が相手の先陣ならば初めから引き付けるつもりで退いていくよりは、こちらも突撃するくらいの気持ちでいって丁度よいくらいだろう)


 「わかった。しかし、わしの手勢をいくらか連れていけ。それでなんとかしろ」


 「叔父上も過保護ですな」


 叔父の慎重さにリアカはあきれたように言うが、


 「なにを馬鹿な。これは必要なことなのだ」


 「わかりましたよ。ありがたく使わせていただきます」


 リアカもそれ以上は逆らわない。なんだかんだと言ってもこの勇猛で知られる叔父の事を尊敬しているのだ。その叔父がここまで言うのなら警戒しても損はないだろう。


 リアカの軽い言い方に一抹の不安を覚えるがウインとしては最良の手を打ったと思うしかなかった。

次話は自動投稿で22日7時設定しています。

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