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第一王子はモテない  作者: 東野 千介
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戦いは動きだす

 レスタークス派の作戦会議の5日後、 両軍はシャルル領近くの平地に陣を敷いていた。


 「意外だったな。シャルルは籠城を継続すると思っていたが」


 ぽつりと言うレスタークスの考えは正しい。


 戦力的に劣っているシャルル軍がわざわざ城から出てくるのは不自然だった。


 2日前に急に城から出てウインの別動隊と合流して陣地を構築しはじめたシャルルに合わせてレスタークスも自軍を率いて出陣したのだが、シャルルの意図がまるで読めない。


 レスタークスとしてはシャルルがあのまま籠城していても、攻め落とすことは可能だったが攻城戦はしたくなかった。

 城攻めをすると味方の犠牲も増えるし、何より敵側の戦意のない者まで逃げだすことが難しくなる。また、ウイン率いる別動隊の存在も厄介だった。

 別動隊の所在は把握していたので奇襲を受ける心配はなかったが、備えていても攻城戦の最中に背後に敵がいるのは戦術的にも心理的にもよくない

 しかも率いるのがあの猛将ウインならなおさらだ。


 この戦いはあくまでリサリア王国の内戦だ。勝っても王国の領地が増えるわけでもなく、賠償金がとれるわけでもない。仮に圧勝だとしてもリサリア王国としては国力が落ちるだけだ。

 だから、レスタークスは自軍はもちろんの事、できるだけシャルル軍の犠牲も少なくなるようにしたかった。


 一方のシャルルにはそんな余裕はない。一時はレスタークスに比べてはるかに英邁であるともてはやされていたが、今となっては思慮が浅いと思われるような言動が目立つようになっていた。

 ルーデルの危篤の一報から日がたつにつれてレスタークス軍との戦力差が広がっていく中で、勝利のためなら犠牲を払うのが当然で自軍のいくつかの騎士団が全滅しても構わないと公言している。

 自軍に対してもそうなのだからそれこそレスタークス側の被害など考えるわけもない。


 困るのは思慮が浅くても一応戦術眼があるので、今の勢力では真正面からレスタークス軍にぶつかっても勝ち目がないのがわかっている点だ。

 勝つために籠城しているシャルルをいかにして城からおびき出すかがレスタークスの課題だったのだ。

 挑発のための檄文を送りつけたりもしたが、それに引っかかるほどはシャルルも単純ではない。

 ジュリアスも作戦会議では「お手上げだねえ」と言っていたのだ。

 結局、レスタークス軍が調略を仕掛けるまでもなくシャルル軍が城から出てきた事に対してレスタークスは当然疑問に思う。

 

  「わざわざ城から出てきたシャルルには何か策があるのか?」


 さすがに何も策がないままだとは思えないレスタークスに、


 「シャルルには何も考えがないんだよ。問題ないよ」


 ジュリアスが何かを確信しているように答える。


 「なるほど、わかった。問題ないならいい」 


 ジュリアスの態度にレスタークスは(ジュリアスが何かしたな)と勘づく。


 普段はふざけているジュリアスがこういう落ち着いた言い方をするときは間違いなく裏がある。

 何をしたかを説明してこないが、シャルルのこの布陣はジュリアスの予定通りというところなのだろう。


 「あまり過激な事はしてないだろうな?」


 レスタークスはついきかなくてもいいことをきいてしまう。一度は納得したもののジュリアスがやりすぎていないか心配になったのだ。


 「僕を信じてよ。やってることは軍略の範囲内だよ。もちろん暗殺等の卑劣な手は使っていないしね。あれはシャルルの専売特許ですからね。それをとっちゃあ悪いでしょう」


 ジュリアスは笑顔で皮肉を言いながら、


 (相変わらずレックスは優しいね。だけど、それじゃあ、戦に負けるよ。・・・レックスは甘すぎるんだよねえ)


 レスタークスの甘さを少しバカにしていたのだった。

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