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第一王子はモテない  作者: 東野 千介
敵か味方か
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あせるシャルル

 ドラゴン一行が王宮を後にして二日後、シャルルの号令によってシャルル派が緊急招集されていた。


 「くそう、あのくたばりぞこないが!余に対してあのような態度をとるとは!」


 開始早々シャルルは爪を噛み噛み悪態をついている。


 「しかし、まずいですな。ドラゴン候が敵にまわればかなり不利になります。先の謁見もかなり効果があったようで、態度を決めかねていた者の中にはレスタークス殿下につく事を決めた者が多数いるようです」


 深刻な表情のウインに、


 「クロエからの情報ではベクター侯爵もグズ殿につくことを決めたようです」


 情報を持ってきたことを誇るようにエクセルは言っているが、


 (そのような事は知っておるわ。ベクター侯爵がレスタークス殿下のつく事の重要性がわからないのか。誇らしげにするならベクター侯爵がこちら側につくような工作を成功させてからするべきなのだ)


 ウインは相変わらずピントのずれた報告をするエクセルを軽蔑している。


 「こうなれば非常の手段も使わなくてはいけませんね」

 

 メリッサはそのきれいな顔に悪辣な笑みを浮かべている。


 「叔母上、非常の手段とは?」


 「暗殺です。あのグズ殿を亡き者にしてしまえば・・・」

 

 皆まで言わせずにウインが口をはさむ。


 「私は反対です。以前も中途半端なことをして失敗しているではありませんか」


 ウインが1度失敗している事をもちだすとメリッサは嫌な顔をするが、


 「今度は失敗しません。あの時は素人が暗殺しようとしたから失敗したのです。今回は違います。アズチの民を使います」


 「アズチ・・・。あの暗殺部族ですか」


 ウインははき捨てるようにいう。


 もともとウインはシャルルが自分に無断で神聖近衛騎士団から暗殺者を送った事も気に入らなかったが、それは差し向けたのが仮にも騎士だったので戦いの一つの手段として容認する事ができた。しかし、外部の暗殺者を雇うなど、もはや王たる者のすることとは言えない。


 「よいではありませんか。成功すればもうけもの、失敗したとしても我らには関係ないものとして処理できる。私はメリッサ様の案に賛成です」


 メリッサの犬のような態度を貫いているエクセルは薄笑いを浮かべている。


 (ウイン殿は頭が固すぎるのだ。戦は強いかも知れないが、政治は向かないな。まあ、その方が私にとっては都合がよいが)


 エクセルはすでにシャルルが王位を継いだときの自分の立ち位置を考えている。その考えではとにかくメリッサの言うことに賛成しておけば問題なかった。


 「ウイン、反対しても遅いのです。すでに使者は送っています」


 すでに矢は放たれているとメリッサが子供を諭すように言うとウインは顔色を変える。


 「まさか、殿下も知っておられたのですか?」


 「いや、この度は余は知らなった。本当だ、ウイン」


 以前暗殺に失敗したときに「事を起こす前には相談するように」とウインにくぎを刺されていたシャルルはうろたえたように答える。

 シャルルはウインに対しては素直なところがあるので、この反応は正直なものだった。


 「シャルルはあずかり知らないところです。このような細事にまで王たるものが気にすることはありません」


 「敵首魁の暗殺が細事ですか・・・それならば、このような会議は必要ないですな!」


 ウインは「失礼する!」と言い残して去っていく。


 「・・・ウインを怒らせてしまったな」


 さすがにシャルルは顔を曇らせるが、


 「なに、ウイン将軍も事が成功すれば喜んでくださるでしょう」


 軽薄なエクセルは耳障りのいいことしか言わない。


 「そうですとも。大事なのは結果なのです。それを忘れてはいけませんよ、シャルル」


 妖艶な笑みを浮かべてメリッサはシャルルの肩に両手を置いたのだった。

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