シーファとエクセル
一方そのころ、シャルルの動向を探るためにエクセルの元を訪れたシーファだったが・・・
「シーファ、そろそろ俺のものになれよ」
「私はレスタークス様つきの侍女ですよ。そのような事できるはずがないじゃないですか」
エクセルの最初の一言ですでにげんなりしている。
美少女であるシーファはエクセルから何度もアプローチを受けていたが、そのたびにうまくごまかしていた。
「だが、俺に会いに来てくれたではないか。それはなぜかな?」
自信に満ち溢れた顔のエクセルを見てシーファは思わず半笑いになってしまう。
(このキザ男の頭の中では会いに来る女はみんな自分の事が好きだというシステムになっているのかしら・・・。このまま殴り倒して、すぐに帰りたいところだけど、殿下のためにも我慢しなくちゃね)
シーファは気持ちを切り替えて笑顔で話を続ける。
「たまに見たくなるのです。エクセル様の事が。なぜでしょうか」
自分でも白々しいセリフだがエクセルはすぐに食いついてくる。
「それは当然だな。なんら疑問に思うことはない。普通の女ならば当たり前のことだ!はっーはっはっは!」
「あはははは・・・」
自信たっぷりに言い放つエクセルとは対照的にシーファは渇いた笑いを浮かべている。
(あははは・・・。ホントにたんじゅんな方ね)
「でも、いつもエクセル様に会いに来るわけには行かないですよね。私にも仕事がありますから」
「確かにあの王子のおもりは大変だろうが、まあ、後少し待っていろ。俺がお前を開放してやるからな」
「そうですか。でもそんな事どうやって?」
(だーれが『お前』よ!調子のんなや!このクソが!)
シーファは心の中で毒付きながら上目遣いでエクセルをみる。
「これは秘密なのだが、レスタークスの側近の中でシャルル殿下に味方する者がいるのだよ。そこからの情報をもとに俺の部下たちが動くってわけだ」
(こちら側に入り込んでいるスパイがいるって事?でもいったい誰が・・・)
シーファは疑問を覚えるが顔には一切出さずに、エクセルをおだてていく。
「そんなことを知っているなんてエクセル様ってすごいんですね。でも、そんな大事な話なら私ごときが聞いてはダメですよね」
残念そうに顔を伏せるシーファを見て、エクセルはキメ台詞(と本人は思っている)を言う。
「ふっ、そんなに自分を卑下することはない。お前の美しさは身分を超えるものだ」
(うげー、そんなことを真顔でいう人間が存在するとはね。吐きそうだわ。まあ、それでもレスタークス殿下に言われたら気絶するほど嬉しいけど、まずそんなことは言わないだろうな)
「そんな私なんて・・・。でも、本当にレスタークス殿下のお付きから私が外れるような事になるなんていったいどんなことを?」
「普通なら言えないことなのだが、お前なら教えてもよい。これは特別な事なのだぞ?」
「ええっ?そんなっ?よろしいのですか?!」
シーファは「お前」呼ばわりされたことにイラつきながらも、その事は微塵も出さずに大げさに喜んでいるふりをする。
(王宮の娘達は皆「素敵!」「かっこいい!」とか騒いでいるけど、アレのどこがいいのかしら・・・バカの相手は疲れる)
お互いに相手の陣営の様子を探りに来たのだが、いつの間にかエクセルはシーファに一方的に情報を引き出されている。
このあとシーファはエクセルが話したことに耳を疑うが、それはレスタークスとシャルルの争いに大きな意味を持つことになるのだった。




