ボツ案:ユイと妖夢の剣術試合
ボツ案です。
ほんとは「動骸異変」のラストでこんな決闘じみたものをさせようかななんて考えていました。
結果的に太極に吹っ飛ばされてなんとも面白みのない終わりになってしまいましたが…
流石にこれだけだと短すぎるのでもうちょい書き加える予定でした。
「私がケリをつけます。」みたいな…
2人の人影が剣を手に向かい合っている。
1人は刀を両手で構えた魂魄妖夢。
白玉楼の庭師だ。
もう1人は刀のような片手剣を同じく両手に持ったユイ。
「文字を操る程度の能力」を持つ。
両者の間に静かな沈黙が訪れる。
次の瞬間2人は同時に飛び出し互いの剣と剣が激しい音を立ててぶつかり合う。
あまりの鋭さに2人の剣から火花が飛び散る。
そこからはとんでもないスピードの応酬が始まる。
妖夢が右手を振った瞬間に上体を後ろに傾ける。
その一瞬後、ユイの剣がさっきまで妖夢の体があった場所を捉える。
ユイが左手に持った剣で妖夢を突く。しかしそこに妖夢の姿はなく、後ろから首に向けて鋭い一閃が飛ぶ。
さらにそれをユイは流してカウンターを仕掛ける。
妖夢が素早く下がるとそこに斬撃が飛ぶ。
2人は流れるような動作であらゆる剣を交わす。
流し、斬り、弾き、突き、防ぎ、しのぎを削る。
遠くから見たらまるで踊っているように見えただろう。
しかしそれは動きを止めた瞬間命を落とす、剣の舞だ。
剣を合わせ、跳びのき、移動して、剣を合わせる。
卓越した剣士同士が戦うとまるで1つの芸術のようになるそうだ。
だがこの命のやり取りに芸術はいらない。
どちらかが一太刀を入れる。
それのみを目指して2人はただ剣を操る。
2人の顔には笑顔があふれていた。
強き者との手合わせによる感謝。
ただそれだけが剣士達を満たしていた。
「どちらかが命を落とす。」
「そんな事は気にしない。」
「「どちらの腕が上か!」」
もはや斬撃すらも2人は視界に捉える事はない。
ただただ本能がそれらを弾き、防ぎ、流していた。
飛び上がり、跳びのき、飛びかかり…
応酬は1000を越えようとしていた。
2人とも身体中から汗を流し、ただ剣を振り続ける。
剣戟の鋭さには鈍くなることを知らない。
どこまでも鋭く、相手の体を目指して飛んでいく。
それを防ぎ、躱し、時に交わす。
体力が底をつこうとそんなものは知らない。
意思だけで剣を合わせる。
長かった武の境地もやがて段々と落ちて行く。
2人の体にも鈍りが出てきた。
それでも無心で剣を手に踊り続ける。
満身創痍。
最終的にそうなるまで2人は戦った。
もう、まともに動くこともできない。
体を動かすだけで意識を保つことが難しい。
それでも、2人は相手に一太刀入れるべく動き続けた。
動きも緩慢になり、吹けば飛ぶような弱々しさを感じる。
鋭い奇声をあげながら2人は剣を振り下ろす。
ズサッ。
妖夢の顔にユイの血が飛ぶ。
ユイは微笑みを称えたまま地面に倒れる。
妖夢はそのまましばらく立ち尽くした。
ドサッ。
妖夢はユイへの敬意を胸に意識を手放した。