転校生
稚拙な文章で、すみませんがどうか読んで言って下さい!
そこは白い空間であった。ただただ白く永遠に思われるように広がっていた。そして、そこには人がいた。
俺ともう一人の人物が立っていた。俺はこいつを知っていた。いや、こいつの事今この瞬間まで忘れていた。そいつの顔には靄がかかっていてよく分からない。なんだか久しい感じがする。
「やあ、久しぶりだね。」
そいつはこちらに手をひらひらと振ってくる。
「なんで今までお前の事を俺は忘れていたんだ?。それと今日は何の要件だ?」
「さぁ?後者の方はどうやら亡者が君に接触したようだったからね。様子を伺おうと思って。」
「そうか。お生憎様俺はその亡者って奴のお願いなら断ったぜ。」
そいつは腹を抱えて笑う。
「あははは、断っちゃったか。でもね、君はこの戦いからは逃れられない。」
「戦い?何だそれは。」
「既に他の神候補たちは動き出している。ま、そのうち分かるさ。」
そいつの体が淡く光、同時に空間はそれを維持できないかのように崩壊し始める。
「もう時間のようだ。また会おう。」
「おいっ、待て、詳しく説めい——」
そう言い終わらないうちに俺の意識は途切れた。
————————————
外から聞こえてくる小鳥のさえずりが朝を告げる。カーテンの隙間から朝日が差し込む。
——朝か。大事な夢を見た気がする。なんだっけ、思い出せない…
「おにいーちゃーん。朝だよー。」
綾の声が聞こえる。
この声により霧人の朝は始まる。いつも遅く起きるのはこのためではない。決して。
——とりあえず起きるか。綾が待ってるし
ベッドから身体を起こし伸びをして顔を洗いに行く。
——なんか大事なことを忘れてる気がするんだよな。前にもこんな感覚はあったんだよな。何か大切な事を忘れてしまっている感覚が
色々考えることはあるだろうが
—ともあれ、
——朝飯を食べよう
朝飯をしっかり堪能し、制服に着替え、綾特製の弁当を受け取り家を出る。
「行ってきます。」
「うん、行ってらっしゃい」
外では優と美来が待っていてくれた。
「わりい、待ったか?」
「いや全然待ってないよ。」
優は眠たそうに目をこすりながら答える。
「大丈夫だよ、私もさっき来たとこだから。」
美来が動く度にシャンプーのいい香りが霧人の鼻をくすぐる。
「んじゃ行くか。」
霧人は昨日のこともあり学校に着くまで終始まわりを警戒して登校していた。
——ふぅ、とりあえず何もなくてよかった〜
「じゃあな」
霧人は2人に別れを告げ各々の教室にはいっていく。
教室から先生が入ってきて朝のホームルームが始まる。
「えー、今日は何とお知らせがあります。」
先生の一言で教室がざわつく。
「何と今日女の子がうちのクラスに転校生がやってきます。」
クラスの男どもは歓喜の喜びをあげる。
——転校生…ね、俺には関係のないことだ。
「じゃあ入ってきて。」
黒髪のとても整った顔立ちの女の子が2つの豊満な双丘を揺らし入ってくる。
「お前はっ!」
思わず霧人は席を立つ。
「どうかしたか神谷?」
「いえ、何でもないです。」
霧人は恥ずかしくなりおずおずと席に座る。
「そうか。気を取り直して、今日からこのクラスで一緒に学ぶんだ仲良しでやってくれ。さぁ、自己紹介を。」
「初めまして皆さん。私は亡者…じゃなくて黒川 スピリと申します。どうか仲良くしてくださいね。」
スピリ、もといスピリトゥスは霧人に向けて笑顔をする。
うおお!、とまたも教室内がざわめく。
「黒川の席は神谷の隣だな。あそこの奴の隣に座ってくれ。それと、神谷放課後黒川の案内なー」
クラスの男の視線は憎しみが込められ神谷に注がれる。
スピリトゥスはこちらに向かってくる。
「よろしくね神谷くん。」
「あ、ああ、よろしく。」
霧人は引きつった笑顔でなんとか返した。
その後、授業はつつがなく行われたが霧人の心中は穏やかではなかった。
—————————
授業が終わり放課後が訪れる。チャイムとともに部活の為に走っていく者。教室に残って友達と駄弁っていく者。帰るために準備をする者など様々であるが霧人は——
「じゃあ神谷くん、学校を案内してくれる?」
スピリは俺に近寄りそう言った。
「はぁー、分かってるよ。」
そう言って席を立つ。面倒くさいとは思っているが聞きたいことがあったので丁度良いと腹をくくる。
「付いて来い。」
「うん。」
そう答えスピリも席を立ち一緒に教室の外に出る。
霧人達に忍び寄る2つの影がある。
「ばぁっ!」
霧人は突然背中を押されてびっくりしてしまう。背後を振り返る。
「うわっ、ってまたお前か美来。」
「えへへ、きーくんの反応が面白いんだもーん。」
「2人のところ邪魔したかな?」
するともう1つの影…優がそう言う。
「いんや別に大丈夫だけど。」
「きーくんのクラスに転校生が来たって言ってたけどこの人?」
「初めまして、私が転校生の黒川 スピリ。どうぞよろしく。」
「私はきーくんの幼馴染の音葉 美来。よろしくね!」
「僕は優 よろしく」
——事情をスピリから聞こうと思ったけど、どうしようか
「俺はこれから黒川さんに学校を案内するからじゃあな」
そう言って立ち去ろうとするとが、美来が腕を掴み引き止める。
「ちょおおおっと待って。私も一緒にするっ!」
美来は昔からこうと決めたらそれを絶対にやろうとする。それを幼馴染である霧人は一番知っている為——
「はぁ、黒川はいいか?」
美来が付いてくることは決定事項であるのだが、一応聞いておく。
「私は別に構わないけど?」
スピリはそう言って上目遣いで挑発するように見てくる
——くっ、こいつ
「優もいいよな?」
「いや、そういう事なら僕は先に帰らせてもらうよ。」
そう言って踵を返して昇降口に向かって歩き出す。
優の返答は霧人にとって予想外であった。
「そうか?じゃあな、気ぃーつけて帰れよ。」
「ああ、霧人たちも気をつけて」
そう言って笑みをこぼしていった。
「よし、じゃあ行くか。」
そう言って学校案内を始める。
放課後はまだ始まったばかりなのだから。