プロローグ—始まり
ここは人ならざるものが住まう世界。
玉座の間には異様な空間が広がっていた。
荘厳な佇まいで座る神と跪く12人の亡者がいる。
玉座に座る神は言う。
汝らは神の欠片を持つ神候補をそれぞれが見つけ自らの主人とし全ての神の欠片を持つ人間を次代の神にし、主が神となった暁には自由の翼を与える、と。
神は手を上に挙げ12の色を放つ光を伴いそれらを撃ち放った。
それらは、ばらばらに四方八方に飛んで行った。
そして、
亡者は下界に舞い降りる。
神の欠片を宿す人間を探し、自由を得る為に。
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夢を見た。
己が己である事を自覚する事が出来る夢。
白い空間が広がっていた。
そこには人がいた。
顔は靄がかかっていてよく見えない。
その人の右手が黒く光っている。
どこかでこの人に会ったことがある気がする。
なんだか懐かしい…。
「お前は誰なんだ。」
「私はさ神の欠片。君の一部でもある。君と私の波長が合ったから、この空間を作り出せたんだ。ただ君と会うために私は現れたんじゃないよ。君に能力を授ける為に現れたんだ。」
「能力?」
「ああそうさ。右手を出してくれ。」
そう言って、こちらに右手を差し出してくる。
自分も右手を差し出す。
その人は俺の右手を包み込む。
瞬く間に黒い光が俺たちを包み込み俺の右手に収束した。
右手の甲には黒い紋様がほんのり光を放ちながら浮かび上がっていた。
「これは君のある言葉に呼応する。くれぐれも使うのには注意してくれ。」
そう言い残して、質問をする前にその人は消えてしまい、白い空間が消滅していき意識が薄れてくる。
これは夢である。
覚めれば忘れてしまう。
ただの夢…。