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第1話 俺、異世界転移したみたい

「死ね」「キモい」「消えろ」「生きてる価値ないよね?」などと書かれた机を前に俺は歯を噛む。


「チッ……はあ……」


今日もか、と思いつつ机を拭く。

幸いにもチョークで書かれた物なので悪口は少しずつ消えていく。


「さて、今日はもう帰るか……」


カイリは校門を出て、いつもの帰り道を歩く。

いつもなら復讐を考えてあれこれ考えるのだがやはり報復が怖くてなかなか踏み出せない。

恐らく俺はこのまま耐えるだけかも知れない。

いや、それが良いんだろう。


「おーいカイリ~」


憎々しげな口調で話しかけて来たのは俺をいじめているリーダーの取り巻き達だった。


「カイリ相変わらずきもいな」


「顔面キモすぎだろマジでぇ」


などと言い放ち彼らは笑いながら走り去って行った。


「チッ……腹立つなあいつ……! クソがっ!」


※※※※※※※


家に帰った後に夢を見た。いやまさに見ている最中だった。


そこは周りに景色という物は無く、真っ白でぼんやりとした世界だった。


そこには俺の目の前に立っている一人の女性がいた。


綺麗な蒼色の髪に蒼い瞳、スラッとした体で誰もが綺麗と言いそうな人だった。

彼女は振り返り俺に問う。


「君、名前は?」


「あー、カイリです。貴女は?」


「アライブ・ソルティアよ」


「ソルティアさん……」


「うん、ところで君いじめられてるよね?」


ドキリ、と体が跳ねる。


「そ、そそそんな訳ないじゃいですか!?てか唐突過ぎますって!」


「あははっ! 君嘘付くの得意な人間じゃないね!」


可憐な笑顔でソルティアは笑った。


「そこで君達のクラスには異世界に転生してもらいます」


「はぁ!?」


更に唐突な事を言われ、思わず立ち尽くしてしまった。


「じゃあね」


そこで夢は終わった――。



※※※※※※※


今日も学校に来た。


「おはようカイリ」


ドン、と肩をぶつけて挨拶をしてくる奴がいた。いや今日もだが。


「おはようカイリ、今日もキモいな!」


「それな! キモすぎて吐きそうだわ!」


「「あっははは!」」


その取り巻き連中も今日も俺に悪口をぶつける。

毎日恒例の事が終わり俺は席につく。


「早く帰りてえなあ……」


毎日の様に呟いている言葉を飽きもせずに吐く。


「皆! 座って!  先生来た!」


バババッとさっきまで遊んでた連中が席につき始める。


そしてガララ、とドアを開けて入ってくる先生――ではなかった。


黒いローブにうっすら見える蒼い髪、俺はそいつを知っていた。


「まさかソルティアさん……!?」


その異様な光景にクラスメイトはざわめき始めた。


「誰だよアイツ」


「何かヤバくね?」


「先生まだ?」


黒いローブの女は言った、というよりは唱えた。


「現界せよ、物語の語り部達を、燃え盛る炎、焚き付けられしは我等が同胞――」


瞬間、眩い光は教室中に満ち溢れた。


「「「うおおおっ!?」」」


「「「きゃっ!?」」」



ここから俺の復讐劇は始まった――。

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