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最強のNPCは鍛冶師でした  作者: ジルコ
第三章:初公式イベント
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エピソード75

「しまったな、こっちじゃなかったみてぇだ。」


・・・

 《表彰状。あなたのパーティは新入生歓迎会において優秀な成績を収められましたのでこれを賞します。AWO学校校長 アルフレッド・フォン・マルイヌ。おめでとうございます。》


 マルイヌが器用にしっぽで賞状をつかみ、読み上げるとふよふよと飛び白衣の男の前で止まりその賞状を男へと差し出す。白衣の男は少し顔をヒクヒクさせながらもその賞状を受け取った。


 《あとの2人は同じだから省略します。おめでとうございます。》


 ライオンの獣人の男の前とカザハの前に順番にマルイヌは止まり、どこから出したのかわからない賞状をそれぞれ2人に手渡した。2人とも微妙な顔をしながらその賞状を受け取る。その賞状は長方形の綺麗な紙に金の枠ぶちがされたごく一般的なものだった。

 本来ならここで拍手が起こるようなところではあるのだが、会場は何とも言いにくい雰囲気に包まれていた。


 お前、校長だったのかよ。しかもなんて名前してんだよ!!


 そんな突っ込むに突っ込めない思いが会場を満たす中、賞状を受け取ったカザハたちにマルイヌがしっぽで戻るように指示する。カザハたちは微妙な顔をしたまま壇上から降り、自分たちの座っていた席へと戻っていった。


 《これにて式典を終わります。『お楽しみ引換券』や、今後の新入生歓迎会場についてはWA履歴にて詳細が記載してありますのでご確認ください。それでは今後ともAWOをよろしくお願いいたします。》


 マルイヌがふよふよと浮き上がりぺこりと頭を下げる。とはいっても頭しかないので全体を回転させるように動かしただけだ。そしてしっぽをばいばい、とでも言うかのように左右に動かすとシュン、とその姿を消してしまった。

 そして壇上に時計が現れる。それは「30:00」と表示され1秒ごとにその数値は減っていっていた。残り30分でこの会場から戻されるということだと全員が理解していた。


 カザハたちは周囲のプレイヤーにおめでとう、と言われそれに応えたりしながらしばらく過ごし、そしてその声が落ち着いた。


「いや~、まさか表彰されるとは思わなかったよ。」

「びっくり。」

「私としてはマルイヌさんの方が驚いたわ。主に突っ込みどころが多いって方向で。」

「運営のお遊びキャラってところですかね。」


 他のプレイヤーが名残を惜しんだり、ステータス画面からWA履歴を見て情報を確認したりしている中、カザハたちもイベント最後の時間をゆっくりと過ごすことにした。ユカナがステータス画面を開いて詳細を目で追う中、他の3人は自分たちのアイテムボックスにこっそりと送られていた物を眺めていた。



 <絆のミサンガ>


 VIT +5

 耐久 500/500

 品質 最上級

 装備ランク ユニーク

 作成者 新入生歓迎会 優秀者特典

 歓迎会を盛り上げてくれたあなたたちの絆の強さを表す腕輪。譲渡不可。非破壊。装備している者がパーティを組んでいる場合、その数に応じてステータスがわずかに上昇する。



 それは真っ赤な糸で編み込まれたミサンガだった。あれっ、赤い糸って恋人じゃなかったっけとカザハは思ったのだが、まあ気にしても仕方がないかと諦めた。カザハとエニシとガクがそれぞれ自分の腕にミサンガをつけていく。


「おそろい。」


 エニシが嬉しそうにニヤッと口角を上げた。その姿を見ていたカザハの中に先ほどまでのエニシの様子が思い出される。


「そういえば、エニシって人見知りじゃなかったっけ?」


 そうなのだ。カザハたちと初対面の時はガクの背中に隠れるようにしていたのだが、先ほど大勢の前に立っていたエニシは堂々としており、衆目を集める雰囲気を漂わせていたのだ。カリスマとでもいうのだろうか。そのカザハの疑問に答えたのは当のエニシではなくガクだった。


「えっと、姉さんはスイッチが切り替わるとあんな感じになるんです。知らない人が多すぎたり、緊張が振り切れたりするとそうなることが多いですね。」

「はぁ、なんかガクも大変ね。」


 カザハが同情するかのような憐みの目でガクを見つめる。その視線に対してガクは肩をすくめることで答えを返した。ガクにしてみればもう慣れてしまったことなので今更どうということもなかったからだ。そのころ、ひとしきりミサンガを眺めて満足したエニシは食べかけのクッキーを再び取り出してカリカリとかじっていた。

 その時、ステータス画面で詳細を確認していたユカナが顔を上げる。


「とりあえず、大体は把握したから説明するよ。」


 カザハたち3人がユカナへと注目する。ちなみにエニシの口はまだもごもごと動いていた。その姿にちょっとユカナが苦笑する。


「まず『お楽しみ引換券』だけど現実世界で1週間以内ならいつでも交換が可能。使用するとリストが表示されるからその中から選ぶ形だね。特に専用ってわけじゃないから売買も可能みたいだね。しばらくはフィールドの外へ出ない方がいいかも。引換券狙いのPKが頻発しそうだしね。」


 その言葉に3人もうなずく。このイベントに参加できなかった者の中にPKプレイヤーもいるはずだ。そのプレイヤーが手に入れるためには引換券を持っているプレイヤーを殺してランダムドロップで落ちるのを期待するしかない。荒れそうだ、それは4人の共通認識だった。


「あと、引換券の種類についても書いてあったよ。やっぱり金、銀、銅の3種類あってそれぞれもらえる物のリストが違うらしい。金は希少っぽいからそのリストに期待だね。」

「そうですね。幸運にも僕たちは手に入れられましたからいいものがあるといいですね。」

「楽しみ。」

「私は師匠と相談かな。師匠の欲しいものがあればいいんだけど。」


 カザハとしてはそこまでもらえる物に興味は無かった。小太刀はシンテツやユカナが作ってくれるし、シンテツと剣の修行をするだけでも楽しいからだ。まあ壁走りとかできる靴があれば欲しいなとは思っていたが。


「他にもいろいろ書いてあったけど引換券関係で大きいのはこれくらいかな。で、次は今回の新入生歓迎会場のフィールドだけど、モノミルから出てすぐのところにチュートリアルダンジョンとして存在するようになるんだって。」

「何、そのチュートリアルダンジョンって?」


 聞きなれない言葉にカザハが首をかしげる。エニシとガクは何となくわかっているようでユカナの言葉の続きをただ待っていた。


「チュートリアルダンジョンは、なんて言えばいいのかな。カザハにわかりやすく言うなら練習場ってところかな。しかもそこで死んでも大丈夫で、外に出れば入った時と同じ状態になる場所ってことで。もちろんレベルは上がらないけどね。」

「へぇ~、死んでも大丈夫なら対戦にはもってこいのフィールドね。」

「そうですね、色々なダンジョンもありましたしプレイヤースキルを磨くにはいいかもしれません。」

「ドラゴン肉?」


 じっと、ユカナを見つめるエニシの視線が言わんとしていることは簡単にわかった。ユカナがうんうんとうなずく。


「もちろん、アイテムやドロップ品の採取は可能だよ。ただレベルは上がらないから本当に採取だけ出来る場所ってイメージかな。それに、料理や鍛冶とかの生産系は外に出てからやらないと意味が無くなっちゃうから注意が必要だね。こんなところかな。」


 エニシの顔がぱぁ、と明るくなる。エニシにとって最重要である、ドラゴン肉の確保が出来ることが確定したからだ。おそらくそれに付き合わされることになるガクが若干嫌そうな顔をしているが、放置することなどガクの性格からして出来ないと簡単に予想がついた。

 話し終えたユカナがみんなの腕に巻かれているミサンガを見て、自分のアイテムボックスを探ると同じようにミサンガを取り出し腕へと巻いた。


「これも面白い効果だね。」

「そうですね。パーティを組んでいるだけでステータスがアップしますしね。微量らしいですけど。」


 ガクとユカナが楽しげに話し合っている姿を見ながらカザハは腕を組み、少し考えるような仕草をしていた。


「もしよければこのままパーティを組む?」


 そんなカザハの提案に3人は笑顔で応えた。





 ◇----登場人物ステータス----◇


<登場人物1>(装備変更)

 名前:カザハ

 種族:金狼族

 職業:剣士

 副職業:素材ハンター

 称号:『剣聖の弟子』、『鍛冶師ギルドのお墨付き』、『世界を股にかける者』、『一匹狼』、『レアボスハンター』、『神のきまぐれ』、『坑道名人』、『ドワーフの友』、『ゴーレムスレイヤー』、『孤高のハンター』、『ハムハム』、『良き先輩の証』

 従魔:サスケ 


 Lv30

 HP  865/865  MP  175/175


 STR 452   VIT 310

 INT 148   MID 166

 DEX 332   AGI 470

 LUK 46


(スキル)

【剣術 Lv46】、【斬鉄】、【剣聖術 Lv26】、【投擲 Lv23】、【HP上昇 Lv11】、【STR上昇 Lv11】、【VIT上昇 Lv11】、【AGI上昇 Lv11】、【気配察知 Lv33】、【採掘 Lv42】、【解体 Lv31】、【釣り Lv6】、【***】


(装備)

 武器  黒銀の小太刀(カザハ用)

 頭   なし

 腕   軍隊赤蟻の小手(カザハ用)

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(カザハ用)

 服   軍隊赤蟻の道着袴

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(カザハ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(カザハ用)

 アクセサリ 絆のミサンガ

 アクセサリ なし


<登場人物2>(装備変更)

 名前:ユカナ

 種族:銀狼族

 職業:付与術師

 副職業:鍛冶師

 称号:『神級鍛冶師の弟子』、『鍛冶師ギルドのお墨付き』、『世界を股にかける者』、『神のきまぐれ』、『坑道名人』、『ドワーフ王の教え子』、『良き先輩の証』


 Lv29

 HP  547/547  MP  294/294

 STR 194  VIT 157

 INT 334  MID 218

 DEX 517  AGI 346

 LUK 108


(スキル)

【付与術 Lv31】、【採掘 Lv12】、【鍛冶 Lv38】、【杖術 Lv23】、【皮細工 Lv20】、【釣り Lv4】、【***】、【***】、【***】、【***】



(装備)

 武器  黒鉄の杖

 頭   なし

 腕   軍隊赤蟻の小手(ユカナ用)

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(ユカナ用)

 服   森林狼のローブ(ユカナ用)

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(ユカナ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(ユカナ用)

 アクセサリ 絆のミサンガ

 アクセサリ なし


<登場人物3>(装備変更)

 名前:エニシ

 種族:エルフ族

 職業:武闘家

 副職業:美食家

 称号:『挑戦者』、『良き後輩の証』



 Lv24

 HP  570/570  MP  329/329

 STR 206  VIT 154

 INT 302  MID 277

 DEX 195  AGI 268

 LUK 33


(スキル)

【格闘術 Lv27】、【釣り Lv3】、【***】、【***】、【***】、【***】、【***】、【***】


(装備)

 武器  黒鉄のグローブ(エニシ用)

 頭   なし

 腕   一角ウサギの小手

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(エニシ用)

 服   一角ウサギのローブ

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(エニシ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(エニシ用)

 アクセサリ 絆のミサンガ

 アクセサリ なし


<登場人物4>(装備変更)

 名前:ガク

 種族:エルフ族

 職業:僧侶

 副職業:料理人

 称号:『博愛者』、『良き後輩の証』


 Lv26

 HP  474/474  MP  407/407

 STR 137  VIT 124

 INT 360  MID 336

 DEX 198  AGI 203

 LUK 36


(スキル)

【料理 Lv17】、【本 Lv22】、【回復魔法 Lv24】、【MP上昇 Lv5】、【MP回復上昇 Lv15】、【気配察知 Lv20】、【釣り Lv3】、【***】


(装備)

 武器  初心者の本

 頭   なし

 腕   一角ウサギの小手

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(ガク用)

 服   一角ウサギのローブ

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(ガク用)

 足   軍隊赤蟻の靴(ガク用)

 アクセサリ 絆のミサンガ

 アクセサリ なし

4人でパーティーを組むことにしたカザハたち。ハーレムパーティーとなったガクに降り注いだのは、嫉妬の視線ではなく生暖かい視線だった!?


次回:ガクは男の娘ポジション


お楽しみに。


あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。

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「大地転生 ~とりあえず動けないんだが誰か助けてくれ~」
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「外伝用お題募集ページ」
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