エピソード4
しぶとく日間ジャンル別でランクインしているので二話目投稿します。
「あの、お兄さん。私はどうしたらいいと思う?」
「鍛えるしかねえんじゃねえか。そんなことより俺に用事があるんだろ?」
「私のピンチってそんなことなの!?」
カザハがペタンと座り込んで地面にのの字を書き始める。男は座り込んだカザハから興味を無くし、ゲートを見ていた。男にとってはそんなカザハのことよりも、ダンジョンにいかにして入るかの方が重要だったからだ。世話を焼いてやってもいいが、それはダンジョンに入れてからだと男は考えていた。
見えない壁をじっと見つめ考えを巡らせる。
一方、しばらくの間いじいじとしていたカザハだったが、がばっと立ち上がると男に向きあった。
「たぶん祝福の旅人だから大丈夫。死んでも神殿に戻るだけのはずだし。よしっ。」
「まあお前がそれでいいならいいがよ。それで用事は何だ?」
男の言葉にカザハがポンッと手を打つ。微妙に古い。
「そうそう、お兄さんがこのダンジョンに入れないのってこのダンジョンが祝福の旅人専用だからなんじゃないかと思って。だから私とパーティを組めば入れるかも・・・」
「よし、組むぞ。早く申請を送れ。」
男の決断は早かった。態度の急変した男の様子にちょっとあっけにとられながら、カザハがステータス画面から男へとパーティ申請を送る。男が即決で了承しパーティが組まれた。
男のステータス画面の隣にカザハのステータスが表示される。
~ステータス~
名前:カザハ
種族:金狼族
職業:剣士
称号:なし
Lv12
HP 370/392 MP 85/85
STR 189 VIT 164
INT 78 MID 85
DEX 139 AGI 194
LUK 25
HPは生命力、MPは魔法力、STRは物理攻撃力、VITは物理防御力、INTは魔法攻撃力、MIDは魔法防御力、DEXは器用さ、AGIは素早さ、LUKは運を表す。
まさに物理特化の金狼族らしいステータスだった。男がカザハのステータスを見ていると、同様に男のステータスを見ていたカザハがおずおずと声をかけてきた。
「あの、お兄さんの名前がシンテツさんってことはわかったんだけれど、他のステータスが全く見えないんだけれど。」
「ああ、レベルが20以上離れるとパーティメンバーでも見えんだけだ。気にするな。」
「ええっ!!だいぶ気になる・・・」
ごにょごにょとカザハが何か言っていたがその男、シンテツにとってはそんなことは些細なことだ。今重要なのはダンジョンに入れるかどうかということだった。
「試すぞ!」
「あっ、ちょっと待ってよ。」
シンテツがゲートの前にあった不可視の壁の部分へ向かって歩いていく。その後を追うようにカザハも小走りでついて行く。前回ぶつかったところの前で一瞬躊躇し、しかしそのまま進んだ。壁はそこには無かった。
「良し!!」
「おー、おめでとう。シンテツさん。」
カザハがぱちぱちと拍手する。シンテツも無事に壁を通過出来て上機嫌だ。ゲートに手を突っ込んでみたりと何度も通れることを確かめている。
「おお、助かったぜ。カザハとか言ったな。感謝する。」
「いーよいーよ。困っているときはお互い様だしね。」
シンテツが態度を変え、カザハに向かってお礼を言うと、カザハは手をぶんぶんと振って気にしないでと伝えた。もともとカザハ自身もどうなるんだろうな~という興味本位で試してみただけだし、特に何もしていない。金狼族に関する情報も教えてもらえたので、むしろ得した気分だった。チビ扱いはむかついたけれど。
「よし、じゃあカザハ。俺の肩に乗れ。」
「えっ、何で?」
シンテツが腰を落とし自分の肩に乗りやすいように背を曲げる。カザハは意味が分からず聞き返した。
「ダンジョンを攻略するんだろう。パーティを組んだからには最後まで付き合うぞ。まあ俺の素材採取にも付き合ってもらうがな。」
シンテツがニヤッと笑う。20代中盤に見えるシンテツにはあまり似合わないニヒルな笑い方だった。
「いや、別に探索するのはいいけれど、なんで肩に乗る必要があるの?」
カザハの当然の疑問に、周囲にいた冒険者たちの中にも頷いている者がいる。というか初対面の少女をしかも美少女と言ってもいいカザハをいきなり肩に乗せようとするシンテツを変な目で見ている者が多かった。
しかしシンテツはそんな視線を気にせず、いつまで経っても乗ろうとしないカザハに痺れを切らして、首根っこを掴むと肩車の体勢になる。
「いやっ、シンテツさん。ちょっと、これ恥ずかしいから!!」
「うるせえ!お前の速度だと探索するのに時間がかかり過ぎんだよ。黙って乗っとけ。あと言っておくが・・・声を出して舌を噛むなよ。」
そう言うが早いかシンテツがゲートへと突入した。しっかり見ていなければ見落としそうなほどの速度で。
「いやぁぁぁー!!」
本来なら年相応に高いカザハの悲鳴は、その場に残った冒険者たちにはドップラー効果により低く聞こえていた。
「うぅ、えぐっ、えぐっ。怖かったよ~。」
「だー!!悪かったって何度も言ってるだろうが!!」
ガン、ガンっというつるはしで壁を掘る音が響く中、カザハの泣き声とそれに対して謝っているのか怒っているのかわからないシンテツの謝罪によって、場は混沌としていた。
このダンジョンは洞窟型のダンジョンだった。土がむき出しのごつごつした通路が蟻の巣のように張り巡らされており、そこをシンテツがカザハを肩車したまま疾走したのだ。向かってきた蟻のモンスターはシンテツによって文字通り蹴飛ばされて死んでいった。
そして採掘ポイントを発見したシンテツが立ち止まると、いきなりカザハが泣き始めたのだ。それを見てちょっと悪かったなとは思ったのだが、時間がもったいないと採掘を開始したのだ。
「謝るならちゃんと謝ってよ。と言うかなんで天井に逆さまにぶら下がってつるはしを振るっているのよ!?」
カザハのその言葉に、天井に足をつけて逆さまになっているシンテツが、2メートルほど下にいるカザハを見下げる。
「天井に採掘ポイントがあったからに決まっているだろうが。何言ってるんだお前は。」
「さも私がおかしいみたいに言わないで!!」
シンテツが髪を重力によって逆立たせながら、不可思議な生物を見るかのような目でカザハを見つめる。カザハは手をぶんぶんさせて怒っているがシンテツには届かなかった。
「と言うかどうやってぶら下がっているのよ?はっ、もしかしてそのブーツに秘密が!?」
シンテツの履いているブーツにカザハが期待した目を向ける。何の変哲もない茶色の革のブーツに見えるがもしかしたらそういう装備なのかもしれない。それならば私もいつか壁を走る忍者プレイが出来るかも、そう期待していたのだがシンテツの回答はそんなカザハの夢をぶち壊すものだった。
「何言ってんだ、ただのブーツだぞ。こんなの壁に靴をめり込ませれば済むことだろ。」
「出来るはず無いでしょうがー!!」
カザハの突っ込みはダンジョンにむなしく響き渡った。
◇----登場人物ステータス----◇
<登場人物1>
名前:シンテツ
種族:unknown
職業:unknown
称号:unknown
Lv***
HP *****/***** MP ****/****
STR ***** VIT *****
INT **** MID ****
DEX ***** AGI *****
LUK ***
(スキル)
【採掘 Lv***】、etc.
(装備)
武器 unknown
頭 なし
腕 なし
上半身 unknown
服 unknown
下半身 unknown
足 革の靴
アクセサリ unknown
アクセサリ unknown
<登場人物2>
名前:カザハ
種族:金狼族
職業:剣士
称号:なし
Lv12
HP 392/392 MP 85/85
STR 189 VIT 164
INT 78 MID 85
DEX 139 AGI 194
LUK 25
(スキル)
【剣術 Lv12】、【***】、【***】、【***】、【***】、【***】、【***】
(装備)
武器 鉄の剣
頭 なし
腕 一角ウサギの小手
上半身 一角ウサギの胸当て
服 街娘の服
下半身 一角ウサギのすね当て
足 皮の運動靴
アクセサリ なし
アクセサリ なし
壁を歩いていたシンテツは覗き男と勘違いされる。山へと逃げたシンテツに住民総出の山狩りが迫る。
次回:覗き男を狩れ
お楽しみに
あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。
3/28 全般の文章を加除しました。
4/12 登場人物ステータスを追加。
感想、指摘などいただけるとやる気が増しますので暇なら書いてやってください。
よろしくお願いします。m(._.)m




