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最強のNPCは鍛冶師でした  作者: ジルコ
第三章:初公式イベント
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エピソード51

京都です。

なぜか京都と言うだけで風情があるように感じるのは私だけでしょうか?

 壁を作っていた木の根が崩れ落ちるように萎れていく。レベルの上がった音がその戦闘が終了したことを知らせていた。

 エニシとガクがほっ、と安堵した表情を見せる。そして勝ったという実感がじわじわと湧いてきて、安心感が嬉しさへと変わっていく。エニシたちにとってはこれが初めてのボス戦だったからだ。


「ガク。」


 それだけ言って両手を上げる姉とハイタッチする。パン、といい音が鳴った。いつもは眠そうなエニシの目も嬉しそうに緩んでいる。


「じゃあぼくも、いえーい。」


 ガクがユカナともハイタッチをし、カザハの方を見るとカザハは倒れているボスの近くに立っていた。

 カザハは小太刀を納め、巨大な包丁のような形の片刃の剣を取り出す。


「【解体】。」


 ボスの表面に光の線が現れる。そこに寸分の違いもなくカザハがその剣を刺し、なぞっていく。成功するごとに線が現れ、そして複雑になっていく。

 カザハは慎重に、しかし手早く剣を動かす。しかし・・・


「あっ。」


 ほんの少しの手のブレにより光の線をはみ出す。カザハの目に見えていた光の線が消えうせ、ドロップアイテムを残してアングリーオールドスタンプは光の粒子となり消えていった。

 はぁ、やっぱり(まとい)を使った後は集中力が続かないな、と考えながらその手にある包丁を見る。


 その包丁の名は練習包丁・バンノウ。シンテツがカザハのために打った解体包丁シリーズとはまったくコンセプトの違う解体用の包丁だった。解体包丁シリーズが自動解体に重きを置いているのに比べ、このバンノウは【解体】スキル使用時にそのスキル効果を一時的に成長させる能力を持っていた。

 まだまだ【解体】スキルのレベルが高くないカザハが効率的に成長できるように、そして何か珍しい素材を見つけたときに少しでも多く素材が得られるように、シンテツが打った解体専用の剣だった。

 ちなみにシンテツにこのバンノウを渡されたカザハは、その日からしばらく解体の修行と称してシンテツがモンスターを倒す横で解体し続けるという苦行のような修行をさせられていた。まあそのおかげでかなり解体のレベルは上がったのだが。


 カザハの目の前には【解体】とカザハの職業の素材ハンターの効果により通常ドロップの2倍以上のアイテムが残っていた。

 ふぅ、とため息をつきバンノウをアイテムボックスへ収納し直したカザハのもとに3人がやって来る。


「おつ~、カザハ。」

「お疲れ。」

「大丈夫でしたか。」

「こっちは大丈夫よ。解体しちゃったけど大丈夫よね。」

「はい、僕たちはスキル持っていませんので。」


 エニシもコクリと同意する。そして全員でドロップアイテムの確認をしていった。

 ドロップアイテムはアングリーオールドスタンプの丸太が8本とアングリーオールドスタンプの枝12本、そしてアングリーオールドスタンプの魔石が1つだった。


「とりあえず丸太と枝は均等に分ければいいわね。問題は魔石だけど・・・トドメを刺したエニシでいいかな?」

「ぼくもそれでいいよ。」

「よかったね、姉さん。」


 カザハが魔石を広いエニシへと差し出したが、エニシはふるふると首を振って受け取ろうとはしなかった。


「今回勝てたのはカザハとユカナのおかげ。装備ももらったし、お礼。」

「えっ、でも・・・」

「いいんだよ、カザハ。こういう時はありがとうって受け取っておけば。」


 こくこくとうなずくエニシを見て、カザハが柔らかな笑みを浮かべる。


「わかったわ。ありがたく受け取らせてもらうわね。」

「うん。」

「うんうん。じゃあいよいよ、討伐報酬の受け取りだ~。」

「じゃあ行きましょう。とは言え中身は掲示板でわかっているんですけどね。」


 ボスを倒したことで出現した宝箱を4人でせーの、と手を合わせて開ける。そこには想像通りの金色の『お楽しみ引換券』とそして想定外の物が入っていた。


「なに、これ?」


 そう言ってカザハが取り出したのは、お楽しみ引換券の4分の1程度の大きさの紙の切れ端だ。それが4枚、カザハたちの人数分用意されていた。

 その紙の切れ端の鑑定の結果は、『招待状(1/4)』とだけ書かれておりそれ以上の詳細は不明だった。


「ガク?」

「いや、掲示板には載ってなかったと思う。」

「とするとレアボスの特典かな。いや、でもそうすると・・・」


 ユカナが招待状の切れ端を見て、ブツブツと言いながら考えにふける。カザハは1/4なんだから4枚くっつければ変わらないかな~、と試していたのだが、その4枚は全く同じ形をしておりくっつくようなことはなかった。エニシもその隣でパズルのように切れ端を動かしていた。

 ユカナのつぶやきが終わり、カザハたちの方を見る。


「うーん、確証はないし推論になるけど話していい?」

「えっと、姉さんもカザハさんも遊んでいますから別にいいと思いますよ。」

「ガク、後でお仕置き。」

「うわっ、姉さんいつの間に。」


 突然背後に現れたエニシにガクがビクッ、と体を震わせて驚く。その様子に苦笑いしながらカザハも話を聞きに戻ってきた。


「ガクのお仕置き内容はあとで話すとして・・・」

「いや、やめてください。」

「多分だけどこの『招待状(1/4)』はレアボスの報酬じゃないと思う。」

「無視ですか。」


 ガクが諦めたような顔をしているが、3人は気にもとめずに話を続ける。


「どうしてそう思うの?」

「まず、この1/4という表記。これはあと3/4があるということ。まあ間違いなくほかの3つのダンジョンにあると思うよね。」


 その言葉に3人が同意する。


「で、今回僕たちはレアボスにたまたま当たったわけだけど、10日間で4つのダンジョンすべてのレアボスを倒すって実質無理なんだ。どんなに早くてもダンジョンの移動に3時間、つまり不眠不休、ダンジョン間の移動時間をなくしたとしてもチャンスは80回あるかないか、レアボスの出現率は1%以下って言われているからまず無理だね。」

「うん、無理。」

「つまり他に条件があるってことでしょうか?」


 ガクの答えにユカナが満足げにうなずく。


「で、ぼくが考えたのが新規プレイヤーと既存のプレイヤーがパーティーを組んだ上でダンジョンを攻略した場合にもらえるんじゃないかなってこと。イベントの内容上その線が濃厚だとぼくは思ってるよ。」


 素直にその推理に納得したガクとエニシだったが、カザハは首をひねってそして手を挙げた。


「はい、カザハ君。」

「えっと、それなら掲示板に情報が載っているんじゃない?もともとの知り合い同士とか最初からパーティを組んでいたグループもいるだろうし。」


 確かにその通りだった。カザハとユカナは初日に2人でダンジョンを攻略しているし、夜も普通に眠ったので早いとは言い難い。睡眠をとらないことで起こるステータスの低下は3時間程度眠れば収まるので、攻略を優先するプレイヤーはほぼ徹夜で進めているのだ。

 その言葉にガクたちは納得し、ユカナもうんうんと相槌を打っている。


「そうだね、たぶんぼくたち以外にも既に手に入れている人はいると思うよ。でも掲示板にはわざと載せていないんだと思うんだ。」

「なぜ?」

「うーん、そうだね。掲示板に載っていないアイテムを手に入れたとしたら、ここにいる皆なら掲示板に情報を公開してもいいと思うでしょ。ぼくたちも使っているわけだし。」

「あぁ、そういうことですか。」


 ガクが納得したように声を上げる。エニシとカザハはまぁ公開してもいいかな、と考えていた。

 そんな3人の様子にユカナが微笑む。


「そう考えない人もいるってことだよ。公開しなければ自分たちが独占できるかもしれない。他のプレイヤーに対してアドバンテージが取れるかもしれないってね。」

「汚い。」

「うん。なんか嫌ね。イベントの趣旨と違うし。」


 その言葉に、ユカナがちょっと悪い笑みをしながら、二人に向かってウインクする。


「うん。だから情報を公開しようと思う。皆、いいよね?」


 誰からも反対の意見は出なかった。こうして新入生歓迎会は本来の姿を取り戻していく。





 ◇----登場人物ステータス----◇


<登場人物1>(スキルレベルアップ)

 名前:カザハ

 種族:金狼族

 職業:剣士

 副職業:素材ハンター

 称号:『剣聖の弟子』、『鍛冶師ギルドのお墨付き』、『世界を股にかける者』、『一匹狼』、『レアボスハンター』、『神のきまぐれ』、『坑道名人』、『ドワーフの友』、『ゴーレムスレイヤー』、『孤高のハンター』

 従魔:サスケ


 Lv30

 HP  791/865  MP  156/175

 STR 452   VIT 310

 INT 148   MID 166

 DEX 332   AGI 470

 LUK 46


(スキル)

【剣術 Lv46】、【採掘 Lv40】、【斬鉄】、【剣聖術 Lv19】、【HP上昇 Lv10】、【STR上昇 Lv10】、【VIT上昇 Lv10】、【AGI上昇 Lv10】、【気配察知 Lv30】、【解体 Lv20】、【***】


  (装備)

 武器  黒銀の小太刀(カザハ用)

 頭   なし

 腕   軍隊赤蟻の小手(カザハ用)

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(カザハ用)

 服   軍隊赤蟻の道着袴

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(カザハ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(カザハ用)

 アクセサリ なし

 アクセサリ なし


<登場人物2>(レベルアップ)

 名前:ユカナ

 種族:銀狼族

 職業:付与術師

 副職業:鍛冶師

 称号:『神級鍛冶師の弟子』、『鍛冶師ギルドのお墨付き』、『世界を股にかける者』、『神のきまぐれ』、『坑道名人』、『ドワーフ王の教え子』


 Lv24

 HP  315/475  MP  160/256

 STR 166  VIT 135

 INT 289  MID 188

 DEX 444  AGI 296

 LUK 93


(スキル)

【付与術 Lv26】、【採掘 Lv12】、【鍛冶 Lv38】、【杖術 Lv20】、【皮細工 Lv19】、【***】、【***】


(装備)

 武器  黒鉄の杖

 頭   なし

 腕   軍隊赤蟻の小手(ユカナ用)

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(ユカナ用)

 服   森林狼のローブ(ユカナ用)

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(ユカナ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(ユカナ用)

 アクセサリ なし

 アクセサリ なし


<登場人物3>(レベルアップ)

 名前:エニシ

 種族:エルフ族

 職業:魔術師

 称号:なし


 Lv18

 HP  320/367  MP  18/296

 STR 108  VIT 95

 INT 262  MID 240

 DEX 150  AGI 149

 LUK 28


(スキル)

【短杖 Lv15】、【火魔法 Lv17】、【風魔法 Lv14】、【INT上昇 Lv4】、【MP回復上昇 Lv9】、【***】、【***】


  (装備)

 武器  杉の短杖

 頭   なし

 腕   一角ウサギの小手

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(エニシ用)

 服   一角ウサギのローブ

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(エニシ用)

 足   軍隊赤蟻の靴(エニシ用)

 アクセサリ なし

 アクセサリ なし


<登場人物2>(レベルアップ)

 名前:ガク

 種族:エルフ族

 職業:僧侶

 称号:なし


 Lv18

 HP  231/372  MP  77/294

 STR 106  VIT 98

 INT 258  MID 245

 DEX 147  AGI 153

 LUK 28


(スキル)

【料理 Lv11】、【本 Lv14】、【回復魔法 Lv17】、【MP上昇 Lv4】、【MP回復上昇 Lv9】、【気配察知 Lv11】、【***】


  (装備)

 武器  古びた本(状態 破損)

 頭   なし

 腕   一角ウサギの小手

 上半身 軍隊赤蟻の胸当て(ガク用)

 服   一角ウサギのローブ

 下半身 軍隊赤蟻のすね当て(ガク用)

 足   軍隊赤蟻の靴(ガク用)

 アクセサリ なし

 アクセサリ なし

空から降ってきた隕石が直撃し心臓へと埋まってしまったカザハ。手術で取り除くのは不可能と言われ、仕方なく日常生活を送るうちにカザハは自身の体の変化に気づき始める。


次回:星の贈り物


お楽しみに。


あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。

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「大地転生 ~とりあえず動けないんだが誰か助けてくれ~」
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少しでも気になった方は読んでみてください。

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「外伝用お題募集ページ」
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