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第1話~見知らぬ世界~

中々進まない……。(ーωー;)


この小説(?)こそはなんとか軌道に乗せねば!(`・ω・´)

気が付くと、俺は自分の足で立っていた。


「………ボス!?」


寸前の記憶が甦り、慌てて後ろを振り向くも俺の目に映ったのは崩れた石造りの家。家と分かったのも腐った木製の家具が見えたからで、それがなければただの石の山だ。


「は?」


自分の目に映った、全く知らない景色に頭が真っ白になる。なんとか辺りを見渡して分かったのは、ここに人が居ない事と、どうやらこの場所は一昔前は街として機能していただろう廃墟だという事。たったそれだけだった。


そもそも俺は頭を使うのが苦手だ。ボスのお陰で高校は卒業したものの、余り評判の良い学校とは言えない所だった。だから、情報を整理して答えを導き出すなんて不可能なことだ。ましてやその情報が極端に少なく、且つ若干混乱している状態では現状の把握など夢のまた夢。そんな頭が痛くなるだけの事よりも、俺には他に気になる事がある。


それは、俺の身体の中から感じる未知の感覚。ふわふわで滑らかな水みたいな感覚だ。今のところ動かす事は出来ないが、動く様な気がするのも確かだ。


「あれをやるのは久しぶりだな」


俺は呟いた。あれとは、団染ファミリー秘伝の体術。その名も“団染式意識切り替え術”。これは、無意識を意識して意識して行う事を無意識に行う術だ。……ってボスが言ってた。要は筋肉の動かし方を意識したり、銃を無意識に使ったりする体術だ。


今回は、俺の身体の中に当然の如く存在していたふわふわで滑らかな水を意識する。無心になる為に集中する必要があるが、それは無意識側の領域に追いやる。そして、未知な力を強く意識する。


ある一定の強さまで意識した後は、そこに至る感覚を無意識の領域に移動させて秘伝の体術は完了だ。ついさっきまで動かせなかった力が手足の様に自由自在に動かせる。これで俺の気は済んだ訳だが、ふと疑問を思い付いた。


「この力、何に使うんだ……?」


無い頭を捻るも、乾いた雑巾から水が出る訳も無くあっさり断念。手持ち無沙汰な俺は廃墟は散歩する事にした。




右には崩れた石の家屋、左にも崩れた石の家屋、前にも後ろにも崩れた石の家屋。大きさや形に違いはあるがどれも石の家屋だと言う事に代わりは無い。昔ボスと行った映画で見た中世ヨーロッパみたいだ。もしかして俺はタイムスリップしたのだろうか。


見慣れない十字路を曲がると最初に立っていた場所が見えた。これで大方街の形は理解した事になるが、廃墟なだけあって目ぼしい物は何一つ無かった。他の人間が取っていった後なんだろう。


たまたま見つけた無事な椅子に座り、力を身体中のあらゆる部位に移動させてみる。こうも何も無い場所だと暇を持て余す。だから暇潰しに力を移動させて遊んでいるのだが、全身に隈無く行き渡らせると気分が高揚する事が分かった。まるで抗争前の様に体温が上がっている。


「動いてみるか」


高揚感に耐えきれず、身体を動かす事にした。相手が居ない以上筋トレしか道は無いのだが。


片手の腕立て伏せから始まり、腹筋、背筋、足をバランス良く鍛えていく。回数は一律300回。普段は4千回はやるが、そこまでの時間は無い気がする。あくまで勘なのだが。


「なんか、思ったより疲れねぇな」


300でも多少は疲労感がある筈が、力を全身に移動させたままだと全く疲れがやってこない。この力のお陰か、一度死んだからか。


死んだで思いだしたが、そういえば最期の抗争の時の状態と似てる気がする。あの時はもっと感覚が冷めていて、今以上に強い高揚感が感じられた。


「もっと力を濃くすれば……だがそれだと力の量が足りねぇか」


今は少量の力を薄く引き伸ばして全身に行き渡らせている状態だ。もっと力を濃く行き渡らせるには今の数倍の力の量が必要だろう。


「やってみるか」


物は試しって学校で習ったからな。とりあえず挑戦してみよう。


力を強く意識しながら、その力が大量に涌き出る様にイメージする。そのイメージを強く意識しながら今の俺の感覚と1つにしていく。


増えた実感は無いが、とりあえず作業は完了。力を濃く行き渡らせてみる。


「おぉ……!」


最期の抗争を凌ぐ程の高揚感と冷たく鋭い感覚。心は熱く、身体は冷たく。その状態を維持しながら軽く地面を蹴ってみる。


破裂音と共に景色が変わり、事前に移動しようとした場所に俺は立っていた。


思わず笑みが溢れる。今の俺なら銃弾を全て掻い潜って鉛の玉に落書き出来る。それだけ速く、力強い。そして感覚も、今なら廃墟全体の気配を探れる程に冴え渡っている。


「……?」


俺が調子に乗って廃墟全体の気配を探っていると、廃墟内に無数の気配が感じられた。この力と同じ様な気配も感じる。


「ちょっと相談に乗ってもらうか」


俺はニヤニヤしながら、破裂音と共に気配の元に向かった。

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