3話【疑惑】
6人は部屋に戻り、静かに床に腰を下ろす。
「そういえば…電気を付けたのって歩さん達ですか…?」
「あぁ…。偶然見つけたんだよ。明かりがついて良かったよ」
和俊の質問に歩は丁寧に答えてくれた。
周りを見渡すと、綾架はまだ涙目で傍に明美がついている。
「そういえば歩さん達が行った方向には何かありましたか」
すると歩だけでなく明美と哲郎もピクッと反応する。
その反応に和俊は首を傾げる。
「和俊君と裕次郎君。ちょっとついて来てくれないか?見せたほうが早い…」
「綾架ちゃんは私と哲郎さんと待ってようね」
明美は綾架がついて行かないようにする。
歩に続き、和俊と裕次郎は立ち上がり部屋を出る。
少し部屋から離れると歩は口を開いた。
「綾架ちゃんが見ると、刺激が強いかもしれないからね…」
その言葉に和俊は先程見た腕の事を思い出してしまう。
明かりはついているが、薄暗い廊下を三人は歩く。
一直線の廊下に、部屋がいくつかあるだけの建物。
すると歩がある部屋の前で立ち止まった。
「ここに何があるんだよ」
「見ればわかるよ」
歩の返答に舌打ちをしながら裕次郎はドアノブに手をかける。
少し錆びているためドアは少し開きにくくなっていた。
ギイィ…と不気味な音をたてながらドアを開く。
「な…んだよ……コレ」
和俊も部屋の中を見てみる。
するとその部屋は床にも壁にも渇いた血がベッタリとついていた。
他にも、人を張り付けにする板などの拷問に使われるような道具がたくさんあった。
どの道具も使用された痕跡が見られる。
「最初はこの部屋がよくわからなかったけど、さっき見た腕でわかったよ…」
歩が静かに言い出した。
「俺達…ここで処刑されるの…?」
「こんなの処刑じゃねェよ!!!!あの腕見ただろ!!!」
裕次郎の言葉に和俊は黙る。
「爪は剥がされて指だって全部骨が折られてた…
腕を切り落とした所を見ると切れ味の悪い鋸で切られたか、
何回もオノを叩きつけられたような切り傷だった…」
和俊はあまりしっかりと見ていなかったため、裕次郎の説明にゾワッとする。
「凄い観察力だな」
歩が冷静に裕次郎に言う。
裕次郎はハッとしたように言葉を続けるのをやめて目をそらす。
「……別に…それくらい当たり前だろ…」
裕次郎と歩の間の空気が少し悪くなったように感じた和俊。
「と、とりあえず戻ろう。皆で一緒にいたほうがいいし…」
「あ…あぁ……そうだな」
和俊が言うと裕次郎は部屋から出て廊下を歩いていく。
和俊と歩も部屋を出てドアを閉める。
先を歩く裕次郎に和俊がついて行こうとすると歩が腕を掴んで止めた。
「?どうしたんですか…?」
「俺は裕次郎君が怪しいと思う…」
いきなりの言葉に和俊は困惑する。
歩は和俊から手を放してコソッと話す。
「ずっと思っていたんだ…。もし俺達があの腕の主のようになるんだったら誰がそれを実行するのか…」
「誰って…あのスピーカーの人とか…」
「それならスピーカーからじゃなく、直接来てればいいだろ?」
歩の核心をついていくような言葉に和俊は少し戸惑う。
「俺は【処刑】を執行する奴は、すでに潜んでると思っている」
「……だったら全部の部屋を調べれば…」
「そしたら僕達にバレてしまう…だから僕達の中に潜ませたんだよ…執行人を…」
歩の言葉に和俊はビクッとする。
「それで裕次郎さんが怪しいって…?」
「まぁ何人そういう人がいるのかはわからない…。もしかしたら自分以外かもしれないしな」
その発言に驚いて和俊は歩の事を見る。
「おーい、早く行こうぜ」
先を歩いていた裕次郎が振り向いて二人の事を呼ぶ。
「あぁ、今行く」
そう言って歩は裕次郎のほうへと何事も無かったかのように歩いていく。
和俊も歩の言葉を気にしながらも、二人の後に続いて歩きだした。