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1話【罪人達】

俺は伊藤和俊、22歳。

今は職を探しているがどれも面接で落ちてしまう。

最近は実家の自分の部屋に引きこもってばっかりだ。

「和俊!!!家にこもってばかりじゃなく職を探せ」

両親は俺の部屋に来て毎日そんな事を言う日々。

「お父さんはアナタの事を思って言っているのよ…」

父さんは昔からエリートだから他人に恥をかくのが嫌なだけだ。

自分勝手だ…コイツらは。

「一応探してるよ…俺にもペースがあるんだ…!」

ムキになって俺は両親に向かって怒鳴っていた。

二人はとても驚いていた様子だったけど しばらくすると溜息をついた。

「お前には俺が言いたい事は伝わらないんだな…」

両親の瞳を見ると失望に満ちたような感じで俺のほうを見ていた。

「もういい。今のお前に言ってもムダになるだけだ」

その言葉で俺の中の何かが切れた気がした。

昔から父がエリートだから俺は周りの目を気にしながら頑張っていたんだぞ……。

人の気も知らないで…

二人は俺に背中を向けて部屋から出て行こうとする。

俺は昔やっていた野球で使っていたバットを手に握り締める。

(いなくなればいい…そうすれば俺は自由だ!)

迷わず俺は二人を背後から頭を思い切り殴った。

倒れ込む二人。

何かを言っている二人。

でも今の俺には何も届かない。

それから何回も何回も何回もバットを振り下ろし続けた。

そのうち二人は動かなくなった。

「ハァ……ハァ………」

我に返ると自分の体には返り血がベットリとついていた。

「…やった……これで俺は自由なんだ!!!!!」

俺はそのままベッドの上に倒れ込んだ。

そして俺の意識は途絶えた。


****

「ん……」

どれくらい眠っていたかはわからないが和俊は目を覚ます。

しかし目が覚めた場所は和俊の部屋ではなかった。

廃墟の建物ような場所の床で寝ていたのだ。

「どこだ……。ここ…」

起き上がろうとするが手に違和感があり見ると手錠がかけられていた。

「なッ……なんだよ!!コレ…!」

手錠に焦る和俊だが、とりあえず立ち上がり薄暗い部屋を出た。

両手は前で手錠をかけられているので、そこまで不便ではなかった。

(ここはどこだ……俺はいつのまに……)

薄暗い廊下を歩いているとどこからか話声が聞こえてきた。

(!!誰がいる)

和俊は急いで声のするほうへと向かった。

するとある一室から光が漏れていた。

(あの部屋から……!!!)

和俊はドアを開ける。

そこには5人の男女がいた。

5人も自分と同じように両手に手錠がかけられていた。

「まだ人がいたんだな」

その中の一人の30歳くらいの男性が和俊に言う。

「あ…あの……ここはどこなんですか?」

「私達も今それを話し合ってたのよ」

和俊よりも年上であろう女性が言う。

【みんな目が覚めたようだね……】

ガガッ………

古びたスピーカーから声が聞こえ、みんなはスピーカーを見る。

【ここは処刑場だ。お前達は人を殺した事があるな?】

和俊は両親の事が頭に過ぎる。

他の人達も顔を曇らせていた。

【その罪を償わせるためにお前達を呼んだ―…。お前達は自らが殺した奴よりも苦痛を与えてやろう…】

「ふざけんじゃね―よ!」

若い男性が壁を蹴りながら怒鳴る。

「俺達ばっか悪い奴みてーじゃねェかよ!!」

若い男性の怒鳴り声でかは知らないがスピーカーの声が止まる。

きっと監視カメラからコチラの様子はわかるのだろう。

(確かに…殺された側にも原因はあるのに…)

和俊も心の中で思っていた。

【――…気づいていないからこそ…お前達は悪いのだ】

スピーカーの声にみんなは黙り込む。

【お前達は気づくのか―…それとも死ぬのか―…】

「“気づけ”ば…俺達は生きてここから出られるのか…?」

和俊の質問にスピーカーの声の主は黙ったままだった。

【――…5時間後にコチラからまた連絡をしよう】

そう言うとスピーカーがプツンと切れてしまった。

その瞬間、建物内にジーと大きな音が鳴り響いた。

「きゃっ……。な、何?」

「タイマーか何かの音じゃないかな…。開始の合図みたいな」

音が鳴り止むと再び沈黙が流れる。

そしてその場にいた6人は顔を見合わせる。

(俺達は……一体何に気づいていないんだ!!!)



2話へ続く……

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