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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

天喰村怪異譚

作者: 月影黒子
掲載日:2026/01/18

※この物語は、全てフィクションです

この物語を閲覧している際に、あなたの身に何が起ころうと、作者は一切の責任を負いません


この物語は、とある小説家の書斎で見つかった日記(恐らく遺書と思われる※本文中は遺書として記す)と、完結済みの小説を元に書き起こしたものです

『※この物語はフィクションです

実在の団体、人物、地名、事象とは一切関係ありません』


「これを閲覧なさっている皆様、はじめまして。私は佐山直人。無名作家の女です。年齢は今現在三十四になります。

さて、皆様がこれを閲覧している際、恐らく私はこの世に居ないでしょう。仮に生きていたとしても、恐らくそれは私ではないナニカです。これから皆様に閲覧して頂きたいのは、これの傍らに置いてあるであろう原稿用紙です。そこには、私がこれを書くに至った経緯となる一つの不気味な体験談を記しています。そして、もし可能ならばこの原稿用紙な執筆したものを本にして、私の様なものが現れないように注意喚起をして頂きたい。」


作家 佐山直人の遺書は以上

※ここから先は、例の原稿用紙に執筆されたものを元に書き起こしたもの


『それは、肌寒い秋の日和の事でした

肌を刺す様な冷たい風に当たられながら、私はとある村を訪れていました

理由は小説執筆の取材、もといネタ集めです

村の名前は村の方々から【天喰村】と呼称されていました

詳しい村の場所は伏せますが、とある県の山奥にあるとだけ書いておきます

村には、車を運転していきました

山奥故に、道は舗装などされていない言わば道無き道と言うものになるのでしょう

私は麓から約一時間ほど車を走らせ、漸く村の入口に到着しました

車を降りると、なんとも言えない空気感に思わず息を飲みます


村に入ると、人影は余り見当たらない殺風景な廃村の様な気色が広がっていました

ふと入口近くの民家に目をやると、縁側で一人の老婆が茶を啜っていました

私は、その老婆に声をかけました

今思えば、村に入った時点で引き返せば良かったのではと思います


直人「すみません、この村にはあなた以外に人はいないのですか?」


暫くの沈黙の後、私の問に老婆は答えました


老婆「この村には私以外にも人はおるよ」


老婆はしゃがれたような声でそう言いました

しかし、周辺には人は疎か、誰かの気配すらかんじたせん

私は続けて老婆に問いました


直人「では、この村は一体どの様な村なのでしょうか?」

老婆「この村は、昔から【アマジキサマ】っちゅう神様を祀る村じゃ」


老婆は、私の問に対しそう答えた

アマジキサマについて気になった私は老婆に尋ねてみました


直人「そのアマジキサマというのは、どの様な神様なのでしょうか?」

老婆「アマジキサマは、昔この村の飢饉を救ってくださった有難い神様じゃ」

直人「なるほど、飢饉を救ってくださったと…」

老婆「もう時期アマジキサマを崇める祭がある」

直人「祭…」

老婆「アマジキサマが気になるなら、祭を見ていくといいさね」


老婆はそう言って、湯呑みをお盆に乗せ家の中へと消えていった

老婆の言ったアマジキサマを崇める祭が気になった私は、さらに村を探索しました

暫く探索していると、坂を登った先に他より少し大きめの民家が建っていました


直人「すみませーん!どなたかいらっしゃいますか?」


私は、そう言いながら引戸をノックしました

すると、奥から声がして一人の老人が出てきました


老人「おやおや、こんな山奥の村にお客人とは珍しいねぇ」

直人「こんにちは、私は佐山と申します」

老人「佐山さんかい、この時期に村に来たということは、どこかで祭の事を聞いたのかい?」

直人「はい、先程入口近くの民家の方から伺いました」

老人「あぁ、アサミさんから聞いたのか、なら祭の事は詳しく知らんみたいだな」

直人「はい、もし宜しければ祭について教えて頂けないでしょうか」

老人「いいだろう、さぁ中へお入り」


そう言って老人は私を家の中へ上がらせてくれました

そして、居間の様な場所へ連れていかれちゃぶ台の横の座布団に座るよう促されました


老人「佐山さんと言ったかね、アマジキサマについては聞いたかい?」

直人「はい、昔村に起こった飢饉を救ってくださったと伺いました」

老人「そう、アマジキサマは村の飢饉を救ってくださった…それから、毎年アマジキサマが飢饉を救ってくださった日に祭と称して村総出でアマジキサマを祀っているのさ」

直人「なるほど、それでその祭はいつ開催されるのですか?」

老人「明後日だ…明後日の朝十時頃から始める」

直人「明後日の十時頃…その祭、私を参加してもよろしいでしょうか?」

老人「あぁ、問題ない」

直人「ありがとうございます」

老人「そうなると、宿がいるな…この家を出て坂を降った右手側にある家に泊めてもらうといい」

直人「突然伺っても宜しいのでしょうか?」

老人「それもそうだな、ちょっと待ってろ」


そう言って老人は立上り、廊下の黒電話で電話を始めました


老人「もしもし、アキラかい?今し方客人が来て祭を見てみたいと言うておってな、暫くの間お前の家に泊めてやってくれんか?…そうか、なら今向かわせる」


電話を終えた老人は、私に対し言いました


老人「泊めてくれるそうだ、さっき教えた道は覚えているかい?」

直人「はい、大丈夫だと思います」


私は、老人の家を出てアキラと呼ばれた方の家へと向かいました

教えてもらった道の通りに進んでいくと、他よりも少し新しめの家がありました

私は、引戸を軽くノックしました

すると若い男性が出てきました


青年「あぁ、アンタがイチロウさんが言ってたやつか」

直人「はじめまして、私は佐山と申します」

青年「佐山さんか、俺はアキラだ…悪いが、アンタ歳は?」

直人「三十四です」

アキラ「三十四か…」

直人「どうかしました?」

アキラ「いや、なんでもない」

直人「そうですか、それよりもら祭までの暫くの間泊めてくださるという事で…」

アキラ「あぁ、そうだな」


アキラさんは引戸の影からキョロキョロと辺りを見渡し、私に家の中へ入るよう最速しました

家の中へ入ると、村の雰囲気似合わないような快適そうな内装が広がっていました


アキラ「そこの座布団に座ってくれ」

直人「ところで、先程扉で辺りを見渡していましたがどうしたんです?」

アキラ「あぁ、その事か…アンタ、祭が見たいんだろ?」

直人「はい、そのつもりですが」

アキラ「だったら、辞めといた方がいい」

直人「どういう事ですか?」

アキラ「この村の事はイチロウさんから聞いたろ?」

直人「はい」

アキラ「この村、多分アンタが思ってるような村じゃない」

直人「と言いますと?」

アキラ「この村は、その昔村を襲った飢饉からアマジキサマとかいう神が救ってくれた事から天を喰らうと書いて天喰村と呼ばれるようになった」

直人「それは先ほどイチロウさんから聞きました」

アキラ「ここまではいいんだ、問題はここからだ…アマジキサマが飢饉を救ってくれてからというもの、その日になると村総出の祭が開催されるようになった…その祭は、イチロウさんの家の奥の御神木で行われる」

直人「御神木…」

アキラ「そして、その御神木の下に祭壇を設置し、その上に生贄を捧げる」

直人「生贄?」

アキラ「あぁ、十五からアンタくらいの歳の女だ」

直人「だからさっき私の年齢を…」

アキラ「恐らくだが、イチロウさんはアンタを生贄にしようとしてる」

直人「そんな!?」

アキラ「イチロウさんのあの電話口での声の高鳴り具合的に、活きのいい生贄候補を見つけた様な感じだろうな」

直人「それなら、私は生贄にされるんですか?」

アキラ「可能性としては高い…けど、今すぐこの村を離れるなら逃れられると思うが…」

直人「思うが?」

アキラ「見たいんだろ?祭」

直人「はい、できる事なら…」

アキラ「悪い事は言わない、祭に参加すればアンタは生贄にされる」

直人「…それでも、見てみたいと思っています」

アキラ「そうか…なら、少し着いてきな」


アキラさんはそう言って私を連れて向かいの家に向かった


直人「アキラさん、ここは?」

アキラ「物置部屋だ」

直人「物置部屋?」

アキラ「あぁ、祭の時に使う道具とかを保管してある」

直人「そんな所になんで私を?」

アキラ「俺は、祭の準備を任されてるんだ…だから、ここにあるものは自由にできる」

直人「どういう事ですか?」

アキラ「この物置部屋の地下に、アマジキサマがいるんだよ」

直人「え?」

アキラ「どうする?見るか、見ないか」

直人「見てみたいです」

アキラ「わかった、ただし条件がある」

直人「条件?」

アキラ「アマジキサマは、女を魅了する」

直人「魅了?」

アキラ「あぁ、それもさっき言った生贄の年齢の女を」

直人「って事はつまり…?」

アキラ「アンタも魅了されるかもしれない」

直人「私も?」

アキラ「あぁ、それでも見てみるか?」

直人「はい、お願いします」

アキラ「わかった」


アキラさんは、そう呟くと地下へと続く扉を開けた

物置部屋の真ん中にあるその扉は、錆び付いているのか、開けるのに苦労していた

開かれた扉の奥からは腐敗臭と排泄物の臭いが混ざった様な鼻を突く臭いが漂ってきた


直人「うっ…」

アキラ「行くぞ」


アキラさんの後ろに付き、私は地下へと続く階段を降っていく

それにつれて、臭いもどんどんと強くなっていく

階段を降った先には、開けた空間が広がっていた

その広間の奥、中央の壁にソレは居た


アキラ「アレがアマジキサマだ」

直人「アレが…?」


人間の女性の様な見た目に近しいソレは、部屋の中に散乱する汚物の中でうずくまっていた

身体に大量の傷跡が残されているが、見た目のそれは確かに少女の様だった


アキラ「ここは、祭が始まった時からあるらしい」

直人「え?それなら、この場所にはずっとアレがいたんですか?」

アキラ「それはわからない…イチロウさんに頼まれて、生贄をこの部屋に投げ込んだり、たまに残飯を持ってくる程度だ」

直人「生贄を?」

アキラ「あぁ、イチロウによればこの部屋に居るものは不老不死のバケモンらしい」

直人「なら、アレがそうなの?」

アキラ「それもわからない…少なくとも、確かに言えるのはこの部屋に散乱する排泄物は今まで投げ込んできた生贄とアマジキサマのものだと思う」

直人「だとしたら、一体今まで何人の生贄を…」

アキラ「俺が知る限りでは、ザッと三十人くらいだ…もしかしたら、それよりも多いかもしれないが…」

直人「そんな…」

アキラ「気は済んだか?」

直人「え?」

アキラ「こんなものを見ても、まだ祭が見たいと思うか?」

直人「…見たくないと言えば、嘘になります…けど、これを見て思うのは、もし私が生贄としてアマジキサマに捧げられるのなら、今すぐに帰りたいと…」

アキラ「だろうな、俺も最初にコレを見た時は今すぐにでもこの村を出たいと思ったさ」

直人「なら、なんでまだここに残ってるんですか?」

アキラ「できないからさ」

直人「どういう事…?」

アキラ「俺は、この村で生まれ育った…故に、この村から出る事はできないのさ」

直人「それは、一体どういう…?」

アキラ「この村で生まれ育った者がこの村から出ようとすると、村の敷地を出た瞬間に失踪する」

直人「敷地を出た瞬間に失踪?」

アキラ「あぁ、そして失踪してからしばらくすると御神木の下で死体となって見つかる」

直人「死体となって?」

アキラ「理由はわからないが、恐らくアマジキサマの仕業だろうな」

直人「そんな…なら、この村では一体何人の犠牲が…」

アキラ「わからない…ただ、アンタはまだ助かる…」

直人「本当に?」

アキラ「あぁ、けど祭に参加すれば恐らく命はない」

直人「なら、一刻も早く帰らないと!」

アキラ「そうだな…」


そう言って、アキラさんは階段を登っていった

私も後ろに続き登っていく

階段の下からは絶えず不快な臭いが漂ってくる

登り終えると、アキラさんはすぐに扉を閉めた

それと同時に臭いも消えた


アキラ「なぁ、佐山さん」

直人「はい?」

アキラ「アンタ、さっきの部屋で何が見えた?」

直人「え?ちいさな女の子?がうずくまっている様に見えましたが…」

アキラ「そうか…なら、助からないかもしれない」

直人「…え?」

アキラ「あの部屋にはな、身体の部位がめちゃくちゃに生えたバケモンしかいないんだよ」

直人「そうなんですか?私には、女の子しか見えませんでしたが…」

アキラ「俺達が話してる間、ずっとアレはアンタを見つめてた」

直人「私を?」

アキラ「あぁ、ただ何をするでもなく、ずっとな」

直人「それはつまり、私は魅了されたと言う事ですか?」

アキラ「だろうな、恐らくアンタが見たのは去年生贄になった少女だ…」

直人「去年生贄になった少女…?」

アキラ「あぁ、去年の祭で生贄としてアマジキサマに捧げられた少女…」

直人「だとしても、何故私にはその女の子が見えたのでしょう?」

アキラ「アマジキサマに、次の生贄として選ばれたんだろうな」

直人「そんな!なら、私は帰ることは叶わないのですか?」

アキラ「帰る事はできるだろうな…けど、明後日の祭の時刻にアンタは死ぬ」

直人「そんな…私は死ぬ…?」

アキラ「申し訳ないが、俺にはどうする事もできない…ただ、言える事はここに残っても、アンタの家に帰っても死ぬって事だけだ」

直人「な、なら…」

アキラ「ん?」

直人「私は、この村の事を小説として執筆しようと思います」

アキラ「そうか、ならアンタのやりたいようにやればいい…もし俺の推察通りアンタが魅了されたんなら、確実にアンタは死ぬ」

直人「それでも、私は抗って見せます」

アキラ「好きにしろ…俺は止めない」

直人「イチロウさんには何と?」

アキラ「イチロウさんには、俺から何とか伝えておく」

直人「ありがとうございます」

アキラ「さぁ、早く行け…時間はないぞ?」


その後私は振り返る事なく車に向かった

そして、車を発進させ自宅へと走らせた

村から自宅までの間、頭の中でアキラさんの言葉が何度も再生された

私がアマジキサマに魅了されたと言うのなら、私は助からない

どこへ行こうと必ず祭の時刻に死亡するという言葉が

自宅へ着くと、私はすぐにこの小説の執筆を開始した

私が体験した奇妙な出来事を…鮮明に、正確に』


『※この物語はフィクションです

実在の団体、人物、地名、事象とは一切関係ありません』


これより先は、最初の遺書の続きである


「ここから後は、小説の閲覧後に閲覧ください

この物語の閲覧に伴って、あなたの身に何が起ころうと、私は一切の責任を負いかねます

何故なら、あなたがこれを閲覧している頃には、もう私はこの世に存在しないのですから

頭の中にずっと私を呼ぶ声が聴こえるんです

幼い少女の声で、私の名前を呼ぶ声が

何度も何度も、アタマの中で木霊するんです

視界の隅であの少女が私に手招きをしているんです

いつしか、私の書斎には例の臭いが充満している様な気がしてきました

これを書いている今も、ずっと…

あぁ、頭が痛い、両腕が痛い、両足が痛い

全身に抉られたような痛みが生じてきたので、もう時期私は死ぬのでしょう

あと数時間後には、例の祭の時刻となります

あなたがまだこれを閲覧しているのなら、忠告させてください

もし、天喰村という村を見つけても、絶対に立ち入らないでください

立ち入ってしまえば、あなたがもし私と同じ女性ならば、確実に私と同じ道を辿るでしょう

長らく閲覧して頂きありがとうございました」


以上で、遺書は終わっている

もしあなたが女性で、この小説を読んでいるのなら

絶対に天喰村には近づかない事を推奨します

何故って?

それは、佐山直人がその身を持って証明して見せたでしょう?

アマジキサマという怪異の呪いを

天喰村にまつわる怪異譚を


『※この物語はフィクションです

実在の団体、人物、地名、事象とは一切関係ありません』

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