「エピローグ」
ステージに立つ少女、その目の前に立つのはシルクハットに燕尾服にマントを着た、牛の仮面を被った怪人。二人は見つめ合い、手をとりあう。
「ファントム……どうして、私にそこまで良くしてくれるの? あんなに熱心に演技を教えてくれるなんて……」
「それはね……私はお前の才能を買っているから……そして、お前のことを愛しているからだ」
「そんな……私もまた、あなたのことを愛してしまったというのに……」
「なあ、私と……踊ってくれないか?」
「もちろん……」
ファントムと少女は、互いの愛を確認し、踊る。少女はバレリーナのようにくるくる回り、ファントムは少女の手をつかみ、安定させる。その姿を見た観客が、拍手喝采で迎えても二人は踊り明かす。まるで、本当に愛し合っている二人のように。
そして、ファントムを演じている白井と少女を演じている和香は、こっそり小声で会話をしていた。
「彩花さんがいるのに、私をこんな役にして大丈夫なんですか白井さん?」
「大丈夫だよ、君の方はあくまで役者。本当の妻は彩花だけさ」
「この間彩花さんに怒られたのに?」
「だ、大丈夫だよ! 全く……君は……」
「うふふ、可愛い……」
白井と和香。二人は名優として、二人は役者として世の中を少し騒がせていくのであった。
「全く、あの二人は……」
……遠目で呆れている彩花と共に。




