お友達
朝早くついてしまったのが問題だったかも知れない。それとも寝ぼけているせいかも知れない。
「クラスが六組もある・・・どうして」
呆気に取られた状態で静まった廊下に立ち尽くす。私達一学年はクラスは合計で三組まで。今の状況はその倍あることになる。明らかにおかしい。私が焦った表情で辺りを見回していると、女子生徒だろうか、私の方向へと近づいてくる。半歩足を後ろに下がり、回れ右をし反対側の方向に逃げようとしたが、私の企てはすぐに阻まれた。
腕をつかんだまま、微動だにしない女子生徒に目を向けるも、顔色を一つも変えず、整った顔立ちで私に目を合わせる。凛とした姿、品行方正とはまさしくこの子のことだろう。目を泳がせ、汗ばむ手に神経を持っていかれるが、手を放す勇気が出ない。
「あなたお名前は?」
「へ?」
いきなり話しかけられ、思わず自分でも驚くような甲高い声が出てしまった。
「いいから名前教えて」
「朝日、夕夏、です」
「そう、夕夏ね。私は水森さな。いきなりだけど私とお友達になってくれない?」
言葉通りいきなりだ、いきなり過ぎる。なぜ?どうして?頭の中は疑問だらけだ。とにかく突拍子もない事を言う目の前に立つ水森さなという人物。
頭を思わす抱える、いや、もう抱えている。
その様子をまじまじと見るさなは満足そうな表情で私を思いっきりハグする。体勢が崩れ腰からがくんと落ちた私の体は低く嘆いている。
「良かったわ!これでもう親友ね!」
いつの間に友達から親友に昇格したんだか
私は小さく溜息をついた