静寂 2
落ち着いたところをお見せできてうれしいです。
「許されし者」
薄い午後の光の中に
寝椅子にもたれ掛け
淡い疲れにまどろみと戯れる
外は静かに流れる時の足音と
幽かに騒ぐ水の音だけ
その時、小鳥の声にも予感はなく
すべてがなだらかな筋を残して
去りつつあるだけだった
眼に何が映ろうと関わりのないものの如く
すこしづつ安らぎに落ち込んでいく
一瞬の輝きの中にも
ハッキリとしみをみとめる感じやすい
そして、怯えやすい肌を持ちながら
ただ、永遠の自然の中に消え去り
没しつくしてしまう願いを持った
許された者の孤独
もう再び、瞳を煌めかせることなく
内に秘めた情熱を見せることなく
何物も恐れることなく
凋落の淋しさに堪える
「髭のソネット」
昔から賢者も、聖人も
何かしら立派に
何かしら荘厳に佇んだ
美しく、豊かな、そして
清楚な力強さを秘め
気品と情熱を漂わせてもいた
遠く、人間の歴史の始まる頃より
大地が幾度かの氷河を迎えたころより
両手を青空に大きく広げたころより
太陽が昇り、永遠に向かって叫んだ頃より
今、流れの真っただ中
エネルギーの渦巻く変化の時
抵抗と模索と混迷の世
みんな伸ばすのかなぁ、ちょっと嫌かも・・・
「悲しみの淵に沈みて」
さて、一杯のお茶でも飲もうか
口に合った番茶の熱いのを
湯気に乗せて、悲しみを旅させようか
紅茶はなんだか似合わない
コーヒーという柄でもないし
ゆっくりと湯気の行く先を眺めて
放心している時間が愛おしい
「今、思うことは・・・」
凋落の流れの中に
ふと浮かび来るかつての想い
青い海、白い砂漠
どこまでも限りない空
神々の住む山々・・・
幼い日々の憧れだった
そして今も・・・
ああ、なおも迸るように溢れ出る思い出
熱く燃え上がる恋に
強く叫び、苦しみ続ける愛なども
人生の智慧を尽くして
生き続ける人よ
夢がすべて
「野よ、山よ、海よ」
今しばらく、堪えておくれ
誰も長くは居られない
雨が、風が、太陽が、すぐに元に還してくれる
青々とした海と緑が、蒼穹を浄めてくれる
今しばらく、堪えておくれ
独りよがりの人たちは、少し多くなりすぎた
でも、もうその日も遠くない
思えば長い、長い、時間の流れのその中で
ほんの一瞬
瞬きの中で、暴れまわる細菌は
宿主を殺してしまえば終わる生命
喰いつくされた大地も
十万年も過ぎれば落ち着くさ
その時は、また異なった世界
「都会の季節」
輝きを失ったネオンサインの周りを
物言わぬビルの谷間を
低く、煙のような霧が
白く、光ながら流れる
雨が上がって、濡れた歩道に溢れる
盛り上がるような騒めきと
過ぎ行く人々の靴音・クラクション
十一月
街の中には、たしかに
晩秋の匂いが立ち込めている
沈黙の中に時は移り
そして、大きな流れの中
家路を急ぐ足音は停まらない
この調子が長く続くといいのですがね。




