彼と彼女の始まり
導入部分です。
魔方陣の輝きが収まると彼の目の前には長い赤髪をポニーテール状に括った少女が立っていた。
魔法使いらしく、手には杖、体にはローブを纏っている。
少女の年齢は17歳位であろうか、勝ち気な表情とややつり目な瞳が特徴であった。
少女は開口一番に、「貴方が私の主アルミリアよ!これからは私の言葉には従って貰うわ!」
俺は一言「全面的に断る」
少女は呆気に取られた表情をしている。
「何でよ!召喚主である私の言葉には服従するのが召喚された貴方の義務じゃないの!?」
「俺は召喚に応じた訳でも、納得して召喚された訳でも無いからな、いきなり強制的に召喚されたんだから、そんな要求は御断りだ」
「でも、でも召喚された貴方には召喚主の命令を聞く術式が掛かっている筈なのに……」
俺は自らの内側へと意識を向ける。
確かに召喚主へと従属する術式の存在が確認出来た。
「むぅ、こんな術式が組み込まれているのか……」
召喚された時点では涸渇していた魔力もこの世界に来た影響か、召喚主である少女から流込んでいるのか、多少の回復をしているようだ。
「こんなものは、無い方が良いな…」
再度自身の内側へと意識を向けると従属の術式の解析を開始、程無くして起点を見付けると回復した魔力によって術式を破壊した。
「従属の術式は今破壊した、これで俺はお前の命令には従う義務は無い訳だな」
「嘘…こんなに簡単に魔術に介入して、改変までしちゃうなんて、貴方、一体何者なの?」
「ん?名前も名乗って居なかったか、俺はクリスト・シン」
「元居た世界を滅ぼした男だ」
書き手って、本当に難しいですね。