甘いのはお好き?
その日はそわそわ
朝からそわそわ
いてもたってもいられない
とんとん
とんとん
リズミカル
熱を通したフライパン
激しく踊る玉ねぎは
色鮮やかに染まりゆく
飴色になる頃合いで
牛が遂に放たれた
モーモーなんて叫ばない
ジュージュー
ジュージュー言っている
隣でどっしり存在感
大きな鍋が待ち構え
まだかまだかと恋い焦がれ
煙は順風満帆に
いざ飛び込みを開始する
先ずは濾された水道水
鍋半分に注がれて
飽なき灰汁が滲み出す
火力はMAX エンジン全開
皆はひとつに纏まりたい
ようやく手にしたその欠片
茶色い塊 刻まれる
グツグツグツグツ煮込まれて
鼻腔を擽り 薫り立つ
とろみを付けたい白濁よ
共に交われ ごゆるりと
農家のめぐみは炊き上がる
一粒一粒 際立って
白き器に装われる
なのにメインは仕上がらず
苛立つ私は叫ぶのだ
「カレーライス! まだーーー!?」
やがて出揃う輝きに
銀の匙は突き刺さる
思いの外
─── 辛かった ───
ああ至福のひとときよ
おかわりなんて当たり前
カレーなぁ。
カレーライスって飽きないなあ。