私、異世界生活始めちゃいました。その3
そんな訳で、私と刹那がインスタントラーメンを食べ終わった後、私と刹那はユズキから借りているヘッドセットと眼鏡をみにつけた。
そしてユズキは持って来た本やら地図を広げ私達にこの世界の事について説明してくれた。
「ふーん……まぁだいたいここがどんな世界なのか分かったわ」
「理解が早くて助かるよ」
「それは一応誉め言葉として受け取っておくわ」
にしても、ここが日本の神社で祭られてる神様達の子孫が住む国、タカマガハラで、高い壁に囲まれた街ねぇ……。
で、この街の外は妖がうようよ居て、歩いたり車じゃ他の国に向かう事は普通はしなくて。
他国に行くにはカムイによる瞬間移動がメインっと。
千年前に降った『ギフト』についての資料は天御中学園の理事会が管理している……か。
それで、『ギフト』はこの国だけじゃなくて他の国にも降った可能性が高いと。
「それじゃその理事会とやらに話つけてもらえないかしら」
「そうしたいのは山々なんだけど、そう簡単にいかないんだよねー」
「どういうことよ、それ」
「いやー、理事会にはちょっとボクら目を付けられちゃっててね。あんまり関係が良くないんだよね」
「いったい何したのよ、あんた……」
「あははは、後輩がちょっと色々とね……」
そう言ってユズキはらしくもなく苦笑いしている。
ユズキの後輩とやらが何やらかしたかしらないけど、私達には関係ないんですけど。
とりあえずその天御中学園とやらに行ってみるしかないかな。
「じゃあとりあえず学園に行ってみるだけ行ってみるから案内してよ」
「その件については学園に詳しい子がいるからその子にお願いしておくよ」
「あんたが案内してくれるわけじゃないんだ」
「いやー、ボクがいくと波風たちそうでさ……」
ほんと、何やらかしたのよ、あんたの後輩は。
そんな風にぼかされるとかえって気になるわっ!!
まぁ話したくないならべつにいいんだけどさ。
「役に立たないわね、あんたも」
「ごめんね。その代わりと言っちゃなんだけど、この街で使えるマネーカード渡しとくから」
「まじで。もしかして使いたい放題?」
「流石にそこまでは……。でも経費の範囲なら使って良いからさ」
「そ。んじゃありがたく借りとくわ」
「この通りにあるお店に行けば日本の冷凍ものとか手に入るはずだから」
「へー……そんな店まであるのね」
「一応、この区画は日本の為の区画になってるからね」
ふむ……それなら寂しいカップ麺生活ともおさらばできそうだ。
「あ、ついでだしあのピンク髪の可愛い子のお店も教えといてくれない?」
「それなら生田亭って言って、ここから先に行った商店街の端にあるお店だよ」
そう言ってユズキは地図を示して場所を教えてくれる。
ふむふむ……生田亭ね。
ユズキは他にも地図に衣料品やら食料品を買える店を書き加えてくれた。
「とりあえず今日はこんなとこかなー」
「そうね。後は天御中学園とやらに行ってみないとわかんないわね」
「それじゃ、明日案内してもらえるように連絡とっとくから」
「うん。お願い」
そんな感じで、本日のユズキとの話も終了し。
ユズキは再び会社へと戻って行った。
ほんと仕事熱心なことで……。
アイツ位の人気サークルなら別に会社勤めしなくてもいいだろうに。
さて……。
夕方までまだ時間あるなー。
ユズキに借りたカードで生活必需品買って来るかな。
思えば昨日から下着とか上着も着替えてないしね。
そういや刹那の着替えはどうしよう。
というか刹那の背中の翼ってどうなってるんだろう。
小さくなったり大きくなったりしてるし。
「刹那、着替えってどうしようか?」
「着替え……ですか。私に合う服なら何でも構いませんよ」
「いや、だってあんた背中の羽……」
と言いかけたところ背中の羽をよくよく見てみると
着物の小さく空いた穴から生えていた。
どうなっとんねんこれ。
「ちょーっと、一回服脱いでみてくれない?」
「え……脱がなきゃダメですか……?」
「うん。刹那に合う服、買ってきたいし」
「恥ずかしいですけど、奏さんがそう言うなら……」
真っ赤な顔をして刹那はそう答え着ている着物を脱ぎ始める。
スルスルスル……と帯を解く音がし着物の下に隠れていた刹那の体があらわになる。
……ちょっと待て。
「ストップ、ストップ、ストーーーーップ!!」
「はい?」
「なんであんた下着付けてないのよ」
「下着って何でしょう?」
赤い顔をした刹那はクエスチョンマークを浮かべた顔で私に問い返してくる。
そうですよね。
和服だからはいてないんですよねー。
常識ですよね。
ホントすいませんでした。
「と、とりあえず、また着て良いから。ていうか、さっさと着なさい」
「はい、わかりました」
刹那はホッとした顔で再び裸体を着物で隠し、帯を締め始める。
しかし……刹那の着替え問題は解決したわけでもなく。
「んー……似たような着物を買ってくればいいのかな」
「はい、出来ればお願いします」
でもこの異世界に着物なんてあるんかいな。
あー……でもここは日本の神様の国なんだからあるかな。
出前に来てたピンク髪の子も和服着てたしね。
そんなわけで私は刹那を連れて着替えその他諸々を買いに街へとくりだした。