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私、異世界生活始めちゃいました。その2

はぁ……しかし。

なんかどっと疲れたなぁ。

こんな時はポテチでも食べて気分を紛らわせよう。

つってもこの部屋にはそんな気の利いたもの置いてないんだけどさ。

でも私には絵を実体化させる能力があるもんね。


という訳で、ネタ帳にポテチを書いてっと。

実体化しろーと念じると、ポテチの袋が実体化する。

と、ともに『グゥ~~ッ』と小さなお腹の虫が……。


え?え……?

ちょっと……待って。

どういうことよ。

さっき私まぐろ丼食べたばっかだよね?

何でまたお腹すくの?


はっ……まさか!!

もう一度ネタ帳にペンを走らせ炭酸飲料を実体化させる。

と、ともに今度は『グゥ~~~ッ』と大きなお腹の虫が鳴る。

やっぱりそういうことか……。

どうもこの能力、使うと急激にお腹が空いてしまうようだ。



「……」



あんのクソジジイーーーーーーー!!!

こんな欠陥付き能力よこしやがってえええええーーーーーー!!!!

どんだけ無能神なのよ、あいつはぁーーーーー!!!


くそー……聞いた時は何て便利な能力だと思ったのになぁ。

こんなデメリット付きの特殊能力だなんて、私聞いてない!!!


はぁ……。

ここで今更怒り狂っててもしょうがないし。

とりあえず出したポテチでも食べて栄養摂取しよう……。

ポリポリポリ……ゴクゴクゴク。


あー……美味しい……。

空きっ腹のおやつにはポテチに炭酸飲料だね、うん。

……自分のカロリーマイナスした分を元に戻してるだけな気がするけど。

そこはもう気にしないでおこう。

ポリポリポリ……ゴクゴクゴク。


……虚しい。

やっぱちゃんとした食事とろう……。

そう思い部屋に常備してあるインスタントラーメンを作ることにする。

あー……マジであのクソジジイ、今度会ったらぶん殴ってやる……。

そう決意を新たにする私なのだった。


―――


「奏さん……奏さん……」



なんか声が聞こえる。

うー……あと五分寝かせてー……。



「奏さん……かーなーでーさーんー」



声と共に体が浮く感覚。

と同時に、ドスンッ。ゴンッ。



「ぐえっ」



しこたまお尻を床に打ち付け続けざまに後頭部を強打してしまった。

うーーーーー……何すんのよ……人が気持ちよく眠っていたっていうのに。



「大丈夫ですか?奏さん」



強打した後頭部を抑えながら涙目で声のした方を見ると、心配そうな顔をした刹那が私を覗き込んでいた。

大丈夫ですか?って、あんた。

あんたが机で寝てた私の椅子を引いたから後頭部を強打したんじゃないの。

めちゃめちゃ痛いんですけど。

おかげでバッチリ目は覚めましたけどね、ええ。



「あんまり大丈夫じゃないわよ」

「すいません……」



私の恨みを乗せた言葉にしょぼんとした表情を向けてくる刹那。

う……なんか私が悪いことしたみたいじゃないの。

むー……まぁ私の寝起きが悪いのがいけないんですね、すいませんね。



「そんな顔しないでよ。私がいじめてるみたいじゃない」

「あ、はい。すいません……」



ますますしょぼんとした顔になる刹那。

めんどくさい子だなぁ……。

そう思いつつ私は刹那の頬に手を伸ばす。

そして。



「あんたかわいいんだから、そんな顔似合わないわよ」

「ひゃ」



言いながら私は頬を両側から引っ張ってやる。

ぐにぐにぐに……。

ほっぺたふかふかでやわらかいなー……。



「いひゃいです、はなでひゃん……」

「じゃあ、私の前であんまりしょんぼりした顔しないことね」

「ひゃい……」



刹那の返事に私はパッと手を放しニッコリと笑いかける。

なんというか我ながら無茶苦茶言ってるなぁと思うけれど。

けれど刹那は私の顔を見てニコリと笑い返してくれた。

うん、可愛い可愛い。

刹那は絶対その顔の方が似合うって。


さてっと……。

今何時かなぁ。

備え付けの時計を見ると丁度正午の時間になる頃だった。

む……ちょっと寝すぎたか。

昨日は色々調べてて、いつのまにか机の上で寝ちゃってたんだよね。

で、刹那に椅子を引かれて叩き起こされるまで爆睡っと。

刹那が何時から起きてたのかわからないけど、私の椅子を引きたくなる気も分かる気もする。


とりあえず、朝食兼昼食をとることにしよう。

そう思い私は立ち上がるとインスタントラーメンを作るために鍋の水を沸かし始めた。

水が湯だったタイミングで麺を投入。

麺が茹で上がったら一度湯切りをして麺を器に移す。

そして再び湯を沸かして今度スープを作ってそれを器に注ぐ。

本当はここで卵とかあれば入れたいところだけど……。

あの欠陥能力で卵を出そうもんならお腹がさらに減ってしまうのでやめておくことにした。


で、刹那と二人で味気ないインスタントラーメンをすすっていると。

ピンポーンとインターホンの音が鳴ったので玄関へ。

扉を開けるとそこには昨日と変わらずにこやかな顔をしたユズキの姿があった。



「こんにちわ、奏さん」

「今、朝食兼昼食中よ、私達は」

「そうなんだ。それは悪い事しちゃったね」

「で、今日はここで話するの?」

「そうだね。そのつもりで色々持って来たよ」



ユズキはそう言って背中に背負ったリュックサックを見せる。

結構な量の本が詰まってそうだな……。



「まぁとりあえず上がりなさいよ。私達まだ食べてる途中だから」

「うん。そうさせてもらうね」

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