私、異世界の装備を集めます。その5
今日も今日とて異世界の世界巡り。
今日やって来た街はジャンナというイスラム風の人達が住む国だ。
で、いつも通り長老様と話をしてギフトの回収の許可をとり、天使対策の装備の話を私達はしていた。
「天使対策になるか分かりませぬが……シャムシール・エ・ゾモロドネガルを見ていってください」
「えっと……シャムシール……なんですか?」
「シャムシール・エ・ゾモロドネガルです」
「はぁ……」
なんていうかめっちゃ長い名前だな。
しかもなんかややこしいし。
「この剣で傷つけられたものは特殊なポーションでしか回復できません」
おお……それってなかなか良いんでないの。
「まぁそれでも回復するだろうけどな。アイツは」
「まじか……」
どんだけやねん、永久のやつは。
どうやったら倒せるのかわかりゃしない。
まぁいいや。
とりあえず模写させてもらっとこう。
「あー……あとその特殊なポーションの模写もいいですか?」
もしも間違って私達が怪我したときが危ないしね。
そんな訳で、また一つ私のネタ帳に物騒な武器が増えるのだった。
あー……これもう絶対にアカリなんかにはみられたくないな。
絶対変なあだ名つけられるよきっと。
「今週も順調だねー」
「まぁあんだけ傷負わせてやったんだからな。そんな簡単に回復されたら困る」
「まぁね……」
「それじゃ今日もさっさと最後のギフト回収しちゃいましょ」
「あいよ」
そう言って刹那はジャンナのギフトに手を振れる。
同時にギフトは刹那の中に溶け消えた。
と思ったら刹那はちょっとふらつくので私は慌てて彼女の体を支えてあげる。
「大丈夫?刹那」
「ああ……ちょっとふらついただけだ」
「ならいいけど」
「それはそうとさっさとここ離れようぜ……奴が向かってる」
「は?まじで?」
「ああ、まじだ」
「ならさっさとタカマガハラに帰った方が良いわね」
そう言って私達は転移門へと駆け始める。
そして、手続きを済ませ無事タカマガハラへとたどり着いた。
「にしても、あんた永久の場所わかるようになったの?」
今日の報告をしに皇照宮への道すがら刹那にそう尋ねる。
「ん?ああ……かなり近づかないと分からないけどな」
「ふーん。じゃあ、いきなり鉢合わせっていう事態にはならないってことか」
「そうだな。今週回収した分で残り四十四個。大分回収できたって感じだな」
「そうだねぇ……そう考えると随分いろんな国を巡ったんだなぁ……」
「あと二週間はこのペースで行けるとは思いますけど、そっから先は大変ですよ」
私の言葉に月依は難しい顔をしてそう告げる。
「タカマガハラと国交がない国と関係が最悪な国だっけ」
「そうです。それにもしかするともうその国のいくつかはギフトを回収されちゃってるかもしれません」
「ねぇ……それってもしかして、ギフトのこと話題に出した途端に」
「捕まるって可能性もありますね」
「はぁ……めんどうなことで」
でもまぁやっとこさ折り返しってとこかな。
ここまで一か月と二週間。
なかなか良いペースなんでないの?
まぁ週一の休みしかないブラック企業並みの働かされ方ですけどね。
「とりあえず、今週もご苦労だった。明日の件だが月依、陽花もつれてきてくれ」
「はい、分かりました」
テラスちゃんの言葉に月依はそう答える。
「当然俺もつきあうんだよな」
「無論だ。お前がいないと実験にならんからな」
「あいよ。わりいな、つきあわせちまって」
「なに、こちらこそすまんな、貴重な休みを使わせてしまって」
「まぁ世界の為だって考えれば安いもんだろ」
そう言ってにははと刹那は笑う。
どうやら明日も私は一人で休みということらしい。
皆で何の実験をやってるのか、刹那に聞いてみたけどおまえはすぐ顔に出るから駄目だと言われてしまった。
んー……そうかなぁ……。
けど実際そうかもしれない。
オタクは割とそういうの顔に出やすいって言うし。
ま、いいんだけどさ。
それから二週間が過ぎた。
その間、私達は順調にギフトの回収と装備のメモを行う事が出来た。
刹那の話では記憶は九割、能力は七割戻ってきているらしい。
それでも性格が輩系に固定されているのは……。
まぁそこは深く追求するのは野暮ってもんかな。
残りのギフトの数は外交の無い国の二十個。
関係が最悪の国の四個。
その中には奪われてしまったギフトもあるのかもしれない。
それでも私達はその国々を巡らなければならない。
刹那を元の刹那に戻すために。
世界の崩壊の猶予まで残り約三か月。




