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私、異世界で天使に会っちゃいました。その2

宙を舞う少女は言った。

自分の事を永久(とわ)……『輪廻の守護者』と。



「どうもあんたの事を手伝いをしにきたとかそんな雰囲気じゃないわね」



それは少女の眼を見れば分かる。

あれは他人の事を見下した目つきだ。



「『輪廻の守護者』様が何の為に俺の記憶を回収してるんだ?」

「ククク……そんなことも分からないのか?『刻の番人』よ」



嘲笑うかのような笑みを浮かべながらそう永久(とわ)は続ける。



「天使はこの世界に二人も必要ないんだよ、刹那」

「何だと?」

「だから私も記憶の星を回収する。そして最後にお前の存在そのものを消し去ってやるんだ」



刹那の存在を消し去るだ?

天使は世界に二人も必要ないって、何言ってんのコイツ。

今まで二人で仲良くやって来たんじゃないの?



「ちょっと、何そんな勝手な事言ってんのよ、あんた!!」

「たかが人間如きが、この私に口をきいて良いわけが無いんだよ!!」



そう叫ぶと同時に永久(とわ)は手に刀を召喚し私に向かって振り下ろしてくる。

ちょ……!

いきなりそう来るんかいっ!



宝貝(ぱおぺい)掃霞衣(そうかい)っ!!」



慌てて私達の周囲に掃霞衣(そうかい)の布を何重にも展開する。

しかし。

掃霞衣(そうかい)はただの薄布の様にスパスパと切り裂かれていく。

な、何なのよ、この力。

掃霞衣(そうかい)じゃ全然防ぎきれないじゃないっ!



「奏さんっ!!」



後方にいた月依(つくよ)がそう叫ぶと私と掃霞衣(そうかい)の間に鉄の大きな壁を幾重にも張り巡らせる。

けれど、ザシュッザシュッという音と共に鉄の壁もいとも簡単に切り刻まれていく。



「ま、まじか……」



私達は呆然とその姿を見ていることしかできなかった。



「何呆けてんだ、このアホッ!!」



そう言って刹那は私と永久(とわ)の間にたちふさがる。

そして。

永久(とわ)の刀は刹那の喉元に突き付けられるように止められていた。



「刹那よ……何故その人間を庇う?」

「てめーこそ、何でその刀を止めたんだ?俺を殺せるチャンスだったんだぜ」

「フン……さっきも言っただろう。貴様は最後に存在そのものを消してやると……」

「そうかよっ!」



そう言うと同時に刹那も両手に刀を召喚し永久(とわ)に向かって振り下ろす。

けれど、その刀は簡単に永久(とわ)の刀に弾かれ再び喉元に刀を突きつけられる。



「クソったれめ……」

「ハハハハハハッ!太刀筋が全然なっちゃあいないんだよっ!!」



永久(とわ)は言いながら刹那の体を薄皮を削ぐように傷つけていく。



「ハハハハ。どうした刹那、お前の力はそんなものか?」」

「くっ……」



ちょっと……。

ちょっと……やめなさいよ。

やめて……やめてよ……!



「刹那を傷つけないでっ!!」



私はそう叫ぶと宝貝(ぱおぺい)・番天印をネタ帳から召喚し永久(とわ)に向けて放り投げていた。

永久(とわ)に接触するとともに大爆発を起こす番天印。

私と刹那はその爆風によって吹き飛ばされてしまった。



「ってー……。奏……。おまえ、あぶねーだろうがこんな高火力の宝貝(ぱおぺい)を至近距離で使いやがって!!」

「だって、刹那が心配で……」

「フン……こんな傷くらい平気だ。それに……」



言いながら爆煙のたちこめる先を見つめる刹那。



「アイツにゃ全然効いてねーみたいだしな……」



爆煙に包まれた永久(とわ)が刀を一閃すると、風圧で一瞬にして煙が晴れていく。

そこには傷一つない永久(とわ)の姿があった。



「……う、嘘でしょ」



番天印は確かコンロンで最強の威力を持つ宝貝(ぱおぺい)のはずなのに。

それでも傷一つ付けられないなんて……。

まずい、まずすぎる……。

こんな奴が相手だなんて……。



「フン……それが貴様が天の神から与えられた能力か……」

「……そ、そうよ、悪い?」

「クククク。全然なっちゃいないな、愚かな人間よ……」



ほくそ笑みながら永久(とわ)は私達の元へと歩いてくる。



「ここでお前たちの命を奪うの容易い。しかしそれではつまらんからな。今日はこの辺で見逃してやろう」



再び刹那の喉元に刀を突きつけながら永久(とわ)はそう告げる。



「……後悔するぜ、お前」

「ハハハハハ。ならば私を後悔させるくらい力を取り戻すことだな、刹那よ!」



そう言うと永久(とわ)は天高く舞い上がり何処かへと飛び去ってしまった。



「……助かった……の?」

「今日の所はな……」



刹那はボロボロになってはだけた着物をなおしながらそう呟く。

そんな私達の元に月依(つくよ)がとぼとぼとやってくる。

そして。



「……ごめんなさい、奏さん、刹那さん……私……私、怖くて動けなかった……」



月依(つくよ)が涙を浮かべた顔で私の胸に抱きついてきた。

しょうがないよ。

私と掃霞衣(そうかい)の間に作った鉄の壁だって月依(つくよ)の全力のカムイだったに違いない。

それがあんな豆腐みたいにスパスパと切られてしまったのだし……。

あんな馬鹿みたいな力、誰にもどうしようもできないのかもしれない。

私だってさっき動けたのが、嘘みたいなんだから……。


はぁ……それにしても『輪廻の守護者』永久(とわ)か……。

この先また鉢合わせることも有るのだろうか……。

その時はもう逃げるしかない……かなぁ。

それか刹那が永久(とわ)に対抗する力をみにつけるか……。

まだ回収されていないギフトの数は六十八個。

その中に刹那を元の強さに戻すことが出来るギフトがあるんだろうか?

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