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私、異世界の揉め事に巻き込まれちゃいました。その11

「ほっほっほ……乙姫のやつはしてやったりと思うておるようじゃがな……。儂とてこの事態を予期して無かったわけではないのじゃよ」



元始天尊様の元へと訪れた私達は事の事情を説明した後、こんな言葉を聞いた。



「何か手を打っておいたってことですか?」

「あの動力源の宝貝(ぱおぺい)には自爆装置を仕込んでおいたのだじゃ」

「え゛」


今なんて言った……?

自爆装置……?



「この自爆スイッチを押せばリュウグウは動力炉まとめて塵と化すじゃろうて」

「……」



ち、塵って……。

こえー……。

元始天尊様こえー……。

まじ何考えてんすか、この爺様。



「えっと……それってリュウグウの一般人の人も一緒に諸共にってことですか……」

「……そうなるのう」



私の質問に顎髭を触りながらそう答える元始天尊様。



「ここまで自爆を待っておったのはテラス陛下の要請もあったからじゃよ。お主たちがリュウグウのどこかに囚われていると何度も頭をさげてきたからのう」

「……テラス陛下が……ですか」

「それに、お主たちはともかく刹那を失う事は世界が滅ぶということに繋がるからのう……」



まぁそうですよね。

私や月依(つくよ)の命はともかく刹那の命は大事ですよね、世界の時間の流れの為に。



「ま、俺達が脱出できたんだから、もう良いだろ。元始の爺さん、ポチッとやっちまえよ」



椅子の上で胡坐をかいている刹那が机の上に頬杖をついてそう呟く。



「ちょ、ちょっと待ちなさいよ刹那」

「何でだよ、奏」



だってリュウグウにも普通の人一杯住んでるんだよ?

そんな人達まとめてポチッはあんまりじゃないの。



「儂もそうしたいとこなんじゃがそうもいかんのじゃよ」

「なんでだよ、爺さん」

「テラス陛下がリュウグウのどこかにお主たちが囚われておるから待ってくれと頼んできたといったであろう」



ん……?

まさか、それってつまり……。



「お主たちが自力で脱出してくるとは思いもよらんかったという事じゃよ……」

「もしかしてリュウグウにお姉ちゃん達が潜入してるってことですかっ!!」



元始天尊様の言葉に月依(つくよ)も思い至ったのか、慌てた口調でそう言葉にする。



「そのまさかじゃよ」



はぁ……そっか……。

そりゃそうだよなー……。

妹としっぽりやっちゃってるようなあの姉が動かないわけがないか。



「それで、お姉ちゃん以外に誰が潜入してるんですか?」

「そちらからはそなたの姉を含めた先日訪れた残りの三人。こちらからは公主が出向いておる」

「ですか……」

「本来こちらからは誰も手助けは出さぬつもりだったのじゃがな。公主がどうしてもと言うの許可を出したのだ」

「公主さんが……ですか……」

「普段はあのような自己主張はせぬのだがな……。これもお主たちの人徳かのお……」



そう言って元始天尊様はまるで我が子の成長を喜ぶかのようにほっほっほと微笑む。



「ともかく、四人に私達が脱出したことを知らせないと」

「そうだね。ほら月依(つくよ)あんた私が捕まった時、カムイで連絡してくれたじゃない。それで何とかなんないの?」

「残念だけどここからじゃ完全に有効範囲外。せめて半径5km以内じゃないと無理ですね」

「そっかー……」

「じゃあまた乗り込むしかねーんじゃねぇのか?」

「うん……そうかもしれないね」

「まぁそれは良いんだけど……ちょっと食べ物食べさせてくれない……?本気で目が回って死にそう」



その言葉と共に緊張感のないぐぅという腹の虫が鳴り響くのであった。

はぁ……つくづく難儀な能力だよ、私の能力は。


―――


「それはそうと、月依(つくよ)。あんた何で私の描いたカードでカムイ使えたのよ」



元始天尊様が給仕に持ってこさせた料理を食べ終わって一息ついた頃。

私は牢から脱出する時から疑問に思っていたことを口にした。



「公主さんが言ってたじゃないですか。奏さんの力はまだ何か眠っているものがあるような気がしますって」

「まさか、その言葉だけで、試してみたってだけなの?」

「はい。そのまさかです。こんなにうまくいくとは思いませんでしたけど」

「あんたもなかなかの博打うちなのね……」



まったく……。

あの自信が根拠無しとは恐れ入る。

どっから来るんだろうな、この子の自信は。



「あははは。でも結果オーライじゃないですか」

「まぁね」

「でもこれで一つはっきりしたことが有ります。奏さんの能力はかなりすごいってことです」

「どういうこと?」

「奏さんの能力は奏さんが今まで見てきたものをそのまま力に出来るっていう事ですよ」

「む……よくわかんないんだけど」



それってどういうこっちゃ。



「つまりですね。奏さんは見たことのある宝貝(ぱおぺい)なら何でも使いこなせるという事になるんです」

「……まじか」

「まじだと思いますよ。だって私のカムイカードを完全にコピー出来てましたし」



つまり私も公主さんの霧露乾坤網(むろけんこんもう)や通天教主さんの六魂幡(りくこんはん)が使えるっていうこと?

私の能力ってそんな使い方もできるのか……。

お腹がすくのがたまに傷だけど。



「そうなんです。だから奏さんはこれから一時間、潜入の準備が整うまで宝貝(ぱおぺい)をできるだけ見せてもらって来てください。

「あ……うん。分かった」

「その間に私達は忍び込む準備を整えますので」



そうして私は元始天尊様の案内で宝貝(ぱおぺい)のリストを見せてもらう事になった。

んー……とりあえず何が良いかな。

飛行系の宝貝(ぱおぺい)と……乾坤圏(けんこんけん)なんか良いかな、投げるだけだし使いやすそう。

後はー……番天印か。これも威力がめっちゃ高い宝貝(ぱおぺい)らしい。

スケッチしとこう。

そんな感じで私は一時間の間に出来る限りの宝貝(ぱおぺい)をネタ帳にかきとめるのだった。


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