私、異世界の揉め事に巻き込まれちゃいました。その4
クリュウのギフトの位置は月依のカムイで存外簡単に位置を知る事が出来た。
で、私達はそれぞれアカリ、桜花、月依のカムイで身を隠しながら慎重にクリュウの島を進んでいた。
のだが……それでもやっぱり敵に見つかってしまう訳で。
「お前達、何処から侵入したっ!」
「やっぱそんなうまくいかないかー……。桜花さんお願いしますっ」
「ほいほい、お任せ」
そういうと桜花は自分のカードに何かを念じる。
と同時に、私達の周囲が土の壁に覆われる。
カムイってこんなこともできるのかー……。
そして続いてアカリがカードに何かを念じると衛兵達と私達の間に業火が現れる。
相手が怯んだ隙に月依もカードに何かを念じた後、信じられないスピードで飛び出して行き衛兵達の首筋に手刀をあて昏倒させていく。
「ふう……。何とかうまくいったね」
「なるほどねぇ……三人一組で戦闘っていうのが基本スタイルなんだ?」
「よく分かりましたね」
まぁ見てれば何となくだけど分かるよ。
戦闘ものの漫画なんかでもよくある設定だし。
「とりあえずこの人達、縛っとこうか」
そう言って桜花が再び何かカードに念じると地面から蔓が伸びてくる。
「それじゃほいほいっっと」
そしてみるみるうちに衛兵達は蔓で縛り付けられていく。
「桜花さんは植物系のカムイ得意だよね」
月依が感心したように呟く。
「へへー……それほどでもないよ。その代わり鉄系のカムイがサッパリだからね」
「まーそれはしょうがないよ。その辺は家系なんだから」
「ふーん……そういうもんなんだ」
「ですです。カムイは家系で大体使える系統のカムイが決まって来るんです」
そうアカリは私に解説してくれる。
そっかユズキが始めに私にはカムイが使えないって言ってたのはつまりはそういうことか。
私の家柄じゃ、使える系統のカムイが全く無いっていう事だったのか。
「でも特殊な家柄ってのもあるみたいで」
「それが月依や陽花ってわけね」
「そういうことです」
ホント、そういう話を聞くとこの子達はエリートなんだなぁと痛感させられる。
私もそんなエリートに生まれたかった……!
「でもよー、カムイで隠れてた割には、やけに簡単に見つかっちまったな」
頭の上で手を組んで刹那は呟く。
だから着物でそんな恰好しないの、はしたないっ。
まぁもう言っても聞かんから言わんけど。
この輩系刹那には。
「んー……もしかするとクリュウ以外のカムイを見つける装置みたいなものがあるのかもしれないですね……。
その呟きに月依はそう答える。
「となると強硬突破しかねーってことか?」
「そうなりますね……。でも幸い、そろそろギフトのある場所に辿りつきそうなんでその作戦で行っちゃった方が良さそうですね」
「じゃあとっとと用事済ましちまおうぜ」
「それじゃ、公主さん。霧露乾坤網で辺り一面を霧で覆う事ってできますか?」
「……可能ですよ。クリュウ全土を霧で覆う事も出来るはずです……」
マジか。
クリュウ全土を覆うって結構な効果範囲なんだけど。
公主さんも元始天尊様の推薦人ってだけあって実は結構凄い人なんじゃ……。
「それはすごいですね……。じゃあクリュウ全土を覆う霧を出してもらってくれますか?」
「わかりました……。……宝貝・霧露乾坤網」
公主さんが、そう告げると指にはめた指輪からから水があふれ出してきて水蒸気へと気化していく。
そして気化した水蒸気は見る間に辺り一面に広がっていった。
おおお……なんかすごい。
その様子を私達はぽかんと見つめているしかなかった。
「これで、クリュウ全土が霧で包まれたと思います……」
「あ、ありがとうございます。じゃあ後はギフトまで、私とお姉ちゃんと刹那さん、あと奏さんで向かいましょう」
「ん?私と桜花と公主さんはどうすりゃいいの?」
「アカリ達は先にクリュウから離れておいて欲しいかな」
「えー……なんでなのさー」
「相手に私達の位置が探知されてるんだとしたら、アカリや公主さんがちょっと危険な相手に出くわすかもしれないってことだよ」
「あー……アレか。あれは確かに危険かもしれないや。じゃあギフトの回収は月依達に任せるよ」
「ん?なになに?アカリどういうこと?」
「桜花にはあとで教えてあげるから早く行こっ」
「じゃ、公主さん。二人の事、よろしくお願いします」
「分かりました……。月依様……」
アカリや公主さんが危険で、私達が大丈夫ってどういうこっちゃいな。
と思いながらも私達は二手に分かれて行動することになったのだった。
―――
アカリ達が去って暫くして、私達は再び陽花の操る疾空迅風でギフトの元へ向かうことにした。
今度は陽花の自分のカードで発動した。
それはつまりこの後一時間は、陽花はカムイを使えば暴発するというポンコツ状態になるという事だ。
「ギフトの場所、そろそろだね」
「ああ……確かにもうそろそろみたいだ」
刹那も何か感じ取ったのかそう呟く。
「あったあった。あそこの小岩の前に降ろしてお姉ちゃん」
「うん。分かった」
「降りるのは良いんだが……なんか人が居ねえか?」
「……やっぱりかぁ……」
言いながら苦々しい顔を浮かべる月依。
なんとなくだが、この事態は察しがついていたようだ。
しかしもう降下し始めたのだし、目の前のギフトを前にして止まることはできない。
「ちょっと荒っぽい事になると思うんで奏さんも刹那さんも覚悟しといてくださいね」
「うん……」
「ああ、分かった」
そう言って私達はギフトの前に立つ人物の正面に降り立った。




