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私、異世界の揉め事に巻き込まれちゃいました。その2

「クリュウってあれでしょ!六魂幡(りくこんはん)とかいう名前を書かれた人を呪い殺す旗型の宝貝(ぱおぺい)とか持ってる超有名な通天教主さんが治める島でしょ!」



真っ青な顔で月依(つくよ)の体を揺さぶるその姉の陽花(ひはな)

にしても、名前を書かれた人を呪い殺すって……。

何その超物騒な宝貝(ぱおぺい)

私達、明日からそんな人が居るとこに向かうの?

めっちゃ嫌なんですけど……。



「大丈夫大丈夫。たぶんその六魂幡(りくこんはん)はそんなに怖いものじゃないはずだから」

「どっからくんのよ、その自信はっ!!」

「まぁまぁ。私の想像が正しければ平気だから。安心してってば」

「うー……ホントでしょうね……死んだら恨むからね、月依(つくよ)……」

「それが私の為に死にかけた人が言う言葉かな……」

「それはそれ、これはこれなの!」

「はいはい、わかったから……」

「ねぇ、月依(つくよ)……六魂幡(りくこんはん)?の話、本当なの?」



私も流石に不安になりそう尋ねる。



「お姉ちゃんの言ってることは本当です。でも平気ですよ、きっと」



自信満々にそう答える月依(つくよ)

まぁそこまで自信があるんなら平気なんだろう、きっと。



「とりあえず、陽花(ひはな)、でいいのかな」

「はいっ。ノノムー先生のお好きなように呼んじゃってください!」

「ノノムー先生はここじゃやめてよ。奏で良いよ。その本持ってるってことは年も近いでしょ」

「あ、はい。私は今年で二十一になりました」

「じゃあ一つ違いか。本当は二つだけど」

「ん?どういうことです?」

「私が死んだのって一年近く前の事じゃない?」

「はい。あの時はめっちゃ悲しかったです」

「ありがと。でも私にとっちゃまだ一か月前の話なのよ」

「そうなんですか……なんか不思議な話ですね」

「ホントにね」

「その辺はたぶん俺の(とき)の番人の力が関係してるんじゃないかとおもうんだけどな」



黙って私達の様子を見ていた刹那はそう告げる。

ていうかいつの間にか胡坐書いて座ってるし。

着物で胡坐かくのやめなさいよね、本当に。



「やっぱりそうなのね……」

「ギフトが千年前に降り注いだりしたのも時間が狂ってる証なんだろうな」

「ともあれ、明日からよろしく、陽花(ひはな)

「はい。えっとそれじゃ。お言葉に甘えて、奏で」



なんだろうな。

年の近い同じ趣味の友人なんていなかったからちょっと嬉しいかも。

ユズキはなんていうか友人というよりはライバルだしね。


―――


「おおおお、本当にあのノノムー先生だあ」

「だからその呼び方はやめてっ」



翌日、私の部屋にアカリと共にやって来た髪の毛の一部をツインテール風に結びまとめている少女にそう告げる。



「いやー、だってノノムー先生と言えば私達の超憧れの先生でしたし」

「ありがとね。でも私は今は野々(ののむら)(かなで)。ノノムー先生は休業中なの、ごめんね」

「あ、いやこちらこそすいません。ちょっと舞い上がっちゃってました」



そう言って少女はペコリと頭を下げる。

彼女の名前は野口(のぐち)桜花(おうか)

陽花(ひはな)月依(つくよ)と同じく日本からの留学生らしい。

背丈はアカリや月依(つくよ)よりも小さく幼く見えるけど、歳は陽花(ひはな)と同じだっていうんだから世の中、分からないなぁ……。

ただ、学年は一個下なんだとか。

何でなのかは深く追求しないことにした。

だって知ったってしょうもないことだから。



「えっと、じゃあ私も陽花(ひはな)と同じく奏って呼ばせてもらいますね」

「どうぞご自由に。私も桜花(おうか)って呼ばせてもらうから」

「はい。私もその方が気楽で良いよ、奏」

「それじゃ、全員揃ったことだし、コンロンに向かいましょうか」



月依(つくよ)の言葉に私達は賛同する。



「本当は(わたくし)もついていきたいところですけど、足手まといにしかならないので……」

「ううん。気にしないでサクヤちゃん。しっかり留守番よろしくね」



そう言って陽花(ひはな)はサクヤの頭を撫でる。

撫でられながらサクヤは頬を朱色にそめていた。

うん……。やっぱそういう関係なのね、あんた達……。



「皆さん、気を付けて行ってきてくださいね」



サクヤの言葉を背に受けて私達はコンロンへと向かうのだった。


―――


「こちらからの申し出を受けていただき、誠にありがたく思う」



私達六人に向かって元始天尊様はペコリと頭を下げる。



「それはいいんだけどよ、そっちからの助けになる人材ってのはどこにいるんだ?」

「こらっ!刹那っ」

「あははは……奏も大変だね……」



隣にいた陽花(ひはな)が苦笑いしながら私に囁く。

ホントにね。

この輩系(やからけい)刹那は口が悪いったらしょうがない。



「竜吉公主。入ってまいれ」

「はい……。元始天尊様……」



言葉と共に現れたのはまるで仙女のように美しい黒髪のお姉さんだった。

ほえー……めっちゃ美人だ……。

そして僅かに宙に浮いている。

何かの宝貝(ぱおぺい)の力だろうか。



(わたくし)の名は竜吉公主……。公主とでもお呼びください……」

「えっと……じゃあまずは私から。霧島(きりしま)月依(つくよ)です」

「私は霧島(きりしま)陽花(ひはな)月依(つくよ)の姉です」

「私は野々(ののむら)(かなで)。奏で良いよ」

「俺の名前は刹那だ。よろしくな」

「私はアカリ=マスミダ。気軽にアカリって呼んでください」

「私は野口(のぐち)桜花(おうか)桜花(おうか)でいいですよ、公主さん」

月依(つくよ)様に、陽花(ひはな)様、奏様、刹那様、アカリ様に桜花(おうか)様ですね……。よろしくお願い致します……」



う……ノノムー先生ってよばれるのもあれだったけど、様付けか……。

私、様って柄じゃないんだけどなぁ……。

まあいっか……。

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