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私、特殊能力みにつけちゃいました。

私は少女、刹那の言葉を聞いて愕然としているしかなかった。

刹那の言葉を聞いてどれぐらいの時間が経っただろう。

私はとりあえず自己紹介をし、私が何処の何者なのか一通り説明し終わった後。



「それで、私は何者なんでしょうね?」

「さぁ……?姿形は天使ぽいし、衣装は死神にも見えるし、どっちなんだろう」



二人で答えの出ない問いにため息をつく。



「ホッホッホ……お困りのようじゃな!!」



そんな時、突如として私達の頭上から声が響いてくる。

声のした方を見上げると光に包まれたかなり歳をくった白い服のお爺さんが空から降りてきていた。



「お爺さん、誰……?」

「儂か!?儂は……神じゃっ!!!!!」



……う、胡散臭ー……。



「お主、今、儂の事を胡散臭いクソジジイだと思ったであろう!?」

「胡散臭いとは思いましたけど、クソジジイだとまでは思ってませんよ!」

「そうか、それは見当違いであったか!それはすまぬ!!」



そう言ってペコリと私に頭を下げるお爺さん、もとい神様。

素直でいい人だなこの神様。

でもなんで語尾にいちいち気迫を籠めているんだろうか。

なんか神様の背景にいつも集中線が入ってるように見える位、とってもうざい。

うん。やっぱクソジジイでいいかもしんない。



「それはそうと刹那よ!」

「はい」

「お主、記憶を失くしてしまったようじゃな!」

「はい。自分の名前以外、自分が何者かさえ分かりません……」

「そうか!ならばこちらへ来るとよいっ!」


いやだから、なんでなんで語尾にいちいち気迫を籠めてるのこのクソジジイ。

そんな神様の様子に呆れている私を知ってか知らずか、神様の言葉に従い素直にその傍へと向かう刹那。

刹那が傍に来ると、神様は刹那の頭に手をのせ何かしら念じ始める。

と同時に刹那の頭に乗せた手が光り始め刹那はペタンと尻もちをついてしまった。



「こ、これはっ!!」

「ど、どうしたんですか?」



特大の集中線の入ったような神様の驚いた顔に私は思わず問い返す。



「お主のツッコミにより、刹那の記憶は星となり剣と魔法の統べる異世界へと降り注いだようじゃ!!」

「……私、そんな記憶が星になるような派手なツッコミした覚えないんですけど……」



そもそもツッコミで記憶が星になるってどういう事やねん。



「という訳じゃから、お主達はこれから、その異世界を巡って刹那の記憶の星を集めるのじゃ!!」

「マジですか」

「マジじゃっ!!!」



えー……。

だって剣と魔法が統べる異世界なんでしょ?

私みたいな普通の女の子が旅できるような場所じゃないって。

そもそも記憶の星って何なんだろう。



「ただでとは言わん!お主には何か特殊な能力を付加してやろう!!」

「私はそんなものより安息の来世が欲しいんですけど」

「ここでこの仕事を投げ出せばお主の安息の来世は未来永劫無いものと思うが良いぞっ!!」



なにそれ。

神様が脅迫ですか。

そうですか。

酷い神様もいたものだ。

このクソジジイめ……。



「わかりました。やります。やらせていただきます……」



私は神様のその言葉に渋々従うしかないのだった。



「そうじゃな!!現世で同人作家だったお主には『描いた絵が実体化する能力』を授けてやろう!!!」



ふむむ……。

『描いた絵が実体化する能力』かぁ……。

結構面白そうな特殊能力だなぁ。

それなら剣と魔法が統べる異世界でもやっていけそう。

うざったい語尾のクソジジイの割に面白いこと考えつくじゃない。



「それではこちらへ来るがよい、奏よ!!」

「はい」



私が神様の傍に歩み寄ると、神様は刹那の時と同様に私の頭に手を乗せ何かを念じ始める。

そうすると私の体が光り輝き始めた。

お、おー……。

なんかよくわからないけど妙な力が溢れてくる気がする。



「これで、お主は『描いた絵が実体化する能力』を会得したはずじゃ!!試してみるがよい!!!」



そう言われ、私は懐にしまってあった生前使っていたネタ帳にさらさらっと猫の絵を描いてみる。

描き終わると同時に、描いた猫がピクピクッと身震いをしたかと思うとネタ帳の中から飛び出してきた。



「わ……すごい……」



ネタ帳から飛び出てきた猫は、本物の猫そのもので。

ニャーと一鳴きすると尻もちをついている刹那の頭の上に乗っかるのだった。



「実体化したものはお主の意志で元に戻すことも可能じゃ!!やってみるがよい!!!」



神様の言う通り猫に元に戻れーと念じてみると。

刹那の上で胡坐をかいていた猫は私のネタ帳に吸い込まれていった。

おー……。

これは使いようによってはめっちゃ便利な能力なのでは。



「それでは奏に刹那よ!!刹那の記憶の星を求め旅へと出るがよい!!!」



そう言って神様は光り輝くドアを私達の前に作り出す。

そのドアを開けて私達に旅に出ろということらしい。

しょうがない。

私の安息の来世の為に旅に出ることにしよう。

でもその前に。



「あのー……その前につかぬことをお訊ねしますが、あなた本当に神様なんですよね?」

「そうじゃが!!!」

「神様なら刹那の記憶を戻すことも可能なんじゃないんですか?」

「それは……できぬっ!!!!!」

「……」



私に絵を実体化させる能力を持たせることができるのに、刹那の記憶を取り戻すことができないとか。

どんだけ無能神なんなんですかね。

やっぱこのクソジジイ、私に厄介ごと押し付けようとしてるだけなんじゃないの。



「お主、今、儂のことをクソジジイだと思ったであろう!!!」

「ええ、思いましたとも、このクソジジイ!!!」



そう神様に言い放つと、私は刹那の手を取り、光り輝くドアへと手をかける。

するとドアはギギィっと音を立て開かれていく。



「刹那の記憶の星を全て集めた時、再び会おうぞ、奏よ!!!」



その言葉を背に私と刹那はドアから溢れる光の奔流に飲まれていった。


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