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二つ名オンライン  作者: そらからり
3章 アウトサイダーズ
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89話 落下

昨日は動物のほうをひたすら書いてました

まあだいぶ先のほうをですけどね

「……どうする?」


 返答は分かりきっていたが、リュウキは一応尋ねてみた。


「もちろんいくー!」


「……行く」


 マカとシズネは乗り気である。


「竹田さんはどうします?」


 一方、竹田は難しい顔をしていた。何か気がかりがあるのだろうか。リュウキはそう思い竹田に尋ねた。


「……うん? ああ、いや。緊急クエストに行くことは無論賛成だ。だが、私の持ちうる苗木が全て無くなってしまってな。種ならあるのだが、苗木にするには色々と足りぬものがあるのだよ」


「足りないものって?」


「一つはすでに満たしている。十分な日光。幸いなことにこのフィールドは日差しが強い。戦いの合間に日に当てておいたからこちらは十分だろう」


「……他に足りていないものって?」


「水だよ。こればかりは手持ちの水では足りなくてな。日光と違って補充することもこのフィールドではままならない」


 日差しが強いならば水場は自然と少なくなる。この荒野では尚更そうである。

 雨が降る気配も無く、水が足りていないため、竹田の所持する種は育てることが困難であった。


「俺たちの飲み物でも大丈夫ですか?」


 そう言ってリュウキは水筒を差し出した。


「私のもあげるー」


「……私のも」


 マカとシズネもそれに従う。


「……ありがとう。しかし……」


「しかし?」


「先ほどの休憩で見ていたが、その中身はお茶であろう? 残念ながら純粋な水でなければ育たないのだ。気持ちだけ受け取っておこう」


 マカに至っては水筒の中身は果実のジュースである。これでは植物の成長に役立たない。


「こうなると私は足手まといになってしまいかねないのでね。付いて行こうか行くまいか、悩んでいたのだよ」


 木を専門として扱う竹田にとって木が無ければ無力であることは自身でも痛感していた。だからこそ、こまめに持ち運べる数の多い種を冒険中にも苗木にと育てていただのが、ここで水が無くなってしまい今あるのは日光のみを当てた種だけになってしまっていた。


「ちなみにどのくらい必要なんですか?」


「……そうだな。その水筒の容量は1lくらいだろうか。ならばそれで1つの種が苗木になるだろう」


「……」


「……」


「けっこう必要なんだねー」


 今竹田がどれほどの種を持っているかは分からないが、それでも1つや2つではないはずだ。一回の戦いで必要な苗木を育てるのに一体どれだけの水が必要になってくるか。思わずリュウキとシズネは絶句していた。


「まああれだけ自在に木を操れるならそれだけの準備が必要ってことなんですかね……」


「そうだよ。木を育てるのは大変なんだ。むしろこれだけで済んでるのは楽なくらいだ」


 竹田が遠い目をする。何かあったのだろうかと心配になるほど遠くを見る。


「それでも、この下に地下水とかあるかもしれないよ!」


 と、マカが楽観的に発言する。あって当然という顔をしている。


「そうですね。どんなクエストか分かりませんが、全く水が発見出来ないとも限りません。見つけ次第竹田さんの苗木に使いましょう!」


 リュウキもあえてマカに賛同する。


「……ここはゲームの世界。……飲み水なんて必要ないし、水の使い先が決まっているなら私たちには必要ない」


 シズネも竹田に譲ると宣言する。

 まだ水があると確定しているわけではない。それどころか全て憶測での発言である。


「……分かった。私も付いて行かせてもらおう」


 しかし3人の温かな言葉で竹田はクエストのYESボタンを静かに押した。





「この下に飛び込むのか……」


 全員がYESを押すとモグラによって開けられた穴は4つを除いて全て塞がった。

 どうやら1人1つの穴に飛び込むようで、クエストの詳細欄には穴の先は繋がっていると書いてある。


 思い出すのはライフ工場での出来事。宝箱に吸い込まれて行ったラビを追って行ったら見事シズネとマカの下敷きになってしまった。

 もうあの惨劇を繰り返さないようにしよう。でも2人が怪我をするくらいなら受け止めよう。

 どの道リュウキが下敷きになりそうな予感はしながらも底のなさそうな穴を見下ろす。


「私から行こうかね?」


 不安げに穴を見下ろすリュウキを見て竹田が声をかける。


「いえ……全員一斉に行きましょうか」


 穴が繋がっているにしろ、どこかへと行き着くならば一斉に降りれば下敷きにはならず、手を引っ張ることで穴の中に危険があったとしても助けられるかもしれない。


「ふむ……リュウキ君がそう言うのならば私は何も言わないが……」


 竹田はリュウキの顔を見て高所恐怖症なのだろうと勘違いしていた。

戦いの最中では空を飛んではいたがあれは無理しているのだろうと。


「私いっちばーん!」


「……2番」


 男性陣がそれぞれ仲間について危惧していると女性陣はさっさと穴の中に飛び降りてしまった。


「ちょっ!? 待ってよ2人とも! とりあえず追いかけましょう竹田さん!」


「あ、ああ……分かった……あれ? ……高所恐怖症じゃなかったのかな……」


 リュウキの高所恐怖症説が竹田の中で消えかけたがすぐに愛の力だと思い直す。

 愛の前では怖いものなどない。竹田が娘のためを思えば何だって出来るのと同じであった。


 兎にも角にもマカとシズネを追いかけリュウキと竹田も穴の中へと飛び降りて行く。

 暗闇で除いてもどれだけ夜目が効こうとも、暗視能力に長けていようとも、それ以上の闇が穴を作り上げていた。

 その穴へとなんの準備も心構えもなく飛び出したリュウキは1分程落ち続けても何も変化が起きない時点で後悔し始めていた。





「わあぁぁぁぁぁぁ」


 どこまで落ちようとも周囲に変化は無く、ただ落ち続けているという実感が風を切る音と体が下へと引かれる感覚でしか感じ取れない。少し先に飛び降りて行ったマカの声もシズネの気配も感じず、ただ1人、孤独にリュウキは落ち続ける。

 穴といっても人1人入る程度の穴である。それを暗闇の中、狭い場所で1人ではいずれ暗所恐怖症や閉所恐怖症にでも陥るのではないかと危惧し始める。


 室内型のジェットコースターで座椅子が動き、目の前のモニターの映像が絶えず変化し続けるというタイプがあったなとリュウキはやがて考え始める。映像に合わせて風が出たり音が出たり水をかけられたりもした。もしかしたら今の状況も同じで、実は落下なんてしていないんじゃないか。長時間落下する映像を見させられているんじゃないかと思い始めた頃に、


「あぁぁぁ……うっぷ!?」


 リュウキは水中にいた。気づけば着水していた。

 必死に水面へと上がると、そこは大きな空洞であり、そこに水が溜まっているようだ。天井近くには穴が4つあり、付近には松明がいくつも点火した状態で設置されてある。

 足は付いておらず、水底はどこまで下に泳げばあるのか見えない。

 ふと隣を見るとシズネとマカもリュウキと同様にあっぷあっぷと水面を必死に掻いていた。


「シズネ! マカ!」


 良かった。やっと再会出来たなどとは喜べない。むしろこの状況での再会は最悪である。

 2人とも泳げないわけではないが、それは水着での状態であって、着衣泳など慣れていなければ難しいだろう。まして防御力を上げるためにそれなりの重量はある。


「何か……何か考えないと……」


 打開策を見つけなければこのまま全滅してしまう。


「ユークリッドの時のようにはいかない。……これは水、固めることなんて冷やさなければ出来ないことだ」


 底無しの砂の地面は水を撒くことで踏み固めることができた。だが、水だけであるならば、しかもその中にすでに自分達がいるならば、固めることはできない。よしんば何か、水中コンクリートでも用いて固めたとしても自分達も同様に固まってしまう。……まあそれではなくとも、たとえば大量の片栗粉と熱であったとしても難しいだろう。外部から行うのが正解であって、内部から固めることはこの場合は不正解となるだろう。


「何か……そういえば竹田さんは?」


 先程から水面にいるのはリュウキとシズネ、マカの3人である。

竹田が見当たらない。


「まさか溺れた……?」


 あり得そうな話である。話す限りでは木一辺倒である彼は海や川に対しての興味は薄そうだ。一度も泳いだことがないと言われてもリュウキとしては信じてしまいそうである。


「あれ? 竹田さんって……」


 ここでリュウキは思い出す。先程の会話を。


「そうか、竹田さんなら……」


 解決策をリュウキは見つける。しかし、肝心の竹田は見つからない。

 溺れてしまい意識を失っているのだろうか。ならばそこまで得意ではないが、『悪鬼変身』の能力を使ってでも助けださなければならない。


「……よし、『悪鬼――」


 リュウキが二つ名を発動し、水中へと潜ろうとした瞬間であった。


「ようし、これで条件は整った! 水だ、水だ、水だぁぁぁ!」


 水中から一本の大木が伸び生え、その頂上から竹田嬉しそうな声が聞こえてきた。

慣れないiPadで書いたため、色々と変換しづらい……


はよメンテ終わらないかな。水着……10連……ウッ頭が……

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