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二つ名オンライン  作者: そらからり
3章 アウトサイダーズ
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87話 地を荒らす者育む者

夏コミお疲れ様です!

三日間とも参加したから日焼けと筋肉痛と眠気でやばいよ!

「『ツインドリラー』か。両手のドリルを名にするということはやはりそれが一番の武器ということなのだろうかね」


「その一番の武器をどうにかしないといけないんですけどね……」


 地中を泳ぎ、どこからともなく防御を全て打ち砕くドリルで攻撃する『ツインドリラー』は攻撃こそ最大の防御とばかりに攻撃性にのみ能力を振っているようであった。


 『ロック・ザ・タートー』は自身の防御性を高め、直接的な攻撃は少なく、『ロックラビット』に任せていた節もあった。

 数いる『ロックラビット』を潜り抜ける手数や範囲的な攻撃、『ロック・ザ・タートー』を倒しうるだけの一点に集中した攻撃力。また、巨大であるという事はそれだけの質量を備えている『ロック・ザ・タートー』の足による踏みつけを凌ぐことのできる耐久力。これらのうち、どれが欠けても攻略は難しい。揃っていても困難であると言える。



 それに反して『ツインドリラー』は個としての強さを持っていた。地中を泳ぐ敏捷性を活かしながらの襲撃。もし阻もうとしてもその壁を壊すドリルの性能。

 個として完成した強さ。それ特有の性能に特化した強さである。


「また私の固有スキルで斬っちゃう?」


 マカがそう提案する。

 足止めさえしておけば、攻撃さえ当たるならばマカの固有スキルの攻撃力はおよそ考えられる限り最高位に位置しているだろう。攻撃力ではなく熱量の問題があるため『火炎達磨』には負けるかもしれないが、『金属光沢』の固有スキルである『ダーティライト』とは並ぶ程には強力なスキルである。

 巨体に見合う膨大なHPを持っていた『ロック・ザ・タートー』のHPを半分近くまで削ったあの威力であればなるほど、『ツインドリラー』に致命的なダメージを与えられるかもしれない。

 しかし、


「駄目だね」


「……問題あり」


「難しいだろうな」


 マカを除いた3人が口をそろえて反対した。


「えー? なんでー」


「1つ、まずあのモンスターは地中を潜る。マカ君の固有スキルを実際に喰らった私は分かるが、あれは動く敵には避けやすい」


 マカがこれまでにこの固有スキルを使った相手は『ロック・ザ・タートー』と、そして竹田である。

 竹田がなぜあの時避けなかったのか。あるいは避けられなかったのか。避ける気力すら無かったのか、正面から闘うことを望んだのか。マカの気迫に呑まれたのか。

 真相は竹田自身にもまだ分かっていない。

 しかし、あの時の竹田は今の竹田とは違う。『五行同盟』は悪であると、今の竹田はそうはっきりと認識していた。

 

「2つ目は――」


「……避けない場合。……武器を受け止めるのは体じゃなくてもいいということ」


「うん、俺のセリフ取らないでね。マカの剣をあのドリルで受け止められたらどうなるか、マカなら分かるでしょ?」


「……そっか! 防御無視のドリルは武器破壊の防御にもなる!」


「……正解」


 プレイヤー同士であれば、例えば剣士同士の闘いであれば斬り合う途中でも大多数は鍔迫り合い、斬り結ぶことになるだろう。しかしその時によほどのことが無い限りは拮抗し、互いの武器に損傷こそあろうが破壊されることはない。なぜならそれだけ剣というのは、金属というのは丈夫であり、同じ硬度であっても、格上の武器であっても、人間如きの力では……それどころかプレイヤーやモンスターであっても分子レベルの結びつきを崩すことは不可能であるからだ。

 しかし『ツインドリラー』のドリルはその素材が別物であるのか、回転力が桁違いであるのか、それともそういう能力なのか……触れれば壊される。前者であれば、素材や回転力であれば破壊されない可能性もあるが、それを試すわけにもいかない。

 

「じゃあどうするの?」


「うーん……弱点があればな……。あ、そういえば光が弱点とか言ってたっけ?」


「ふむ、モグラというのは地中にいる分、視力が退化している。そのため光が弱点となったのだろう。逆に聴覚が発達しているはずだから大きな音も同様に弱点となるかもしれない」


 さすがは山で生きてきた人間というべきか。専門は木々であるはずなのにモグラに対しても多少の知識は持ち合わせているようだ。


「……私達に光とか音を使える人っている?」


「「「…………」」」


 誰もいなかった。

 強いて言えば、大きな音であればシズネの岩魔法である『ロックインパクト』が地面に激突した瞬間に出ることは出るが、これが果たして弱点を突くに相応しいのかと問われれば、否となるだろう。


「と、いうことは……?」


「正面から闘って」


「……何とか足止めして」


「ついでにドリルも動かせないようにしてから」


「私の剣でとどめかー」


 何だかあの亀さんと一緒だねーとマカが笑うが、そう笑えるほど似たような状況ではない。

 まず、動きを止めるも何も、『ロック・ザ・タートー』は基本的にその場から動かなかった。竹田の木々は確実にマカの剣を当てるための言わば保険でしかなかったのである。

 対して『ツインドリラー』は動く。動く相手を拘束し、尚且つその拘束を維持しなければならない。


「雄大なる木々であってもあのドリルではひとたまりもないだろう」


「では俺かシズネがやりますか?」


 もし竹田の木々が『ツインドリラー』の体に巻き付けたとしても、確実にドリルによって木々は斬り解かれる。

 そのためリュウキかシズネによる攻撃で『ツインドリラー』の動きを止めようかという提案だったのだが、


「……リュウキじゃ無理。……少しでも掠ったら致命傷」


「……だよなぁ」


 『ツインドリラー』のドリルの威力はシズネの岩魔法を容易く破壊してみせたことから相当なものであると計り知れる。防御無視の攻撃であり、それがどれだけの防御力であっても貫通するほどの攻撃力であったとしたならば、リュウキの紙装甲では掠ることすら許されないであろう。


「シズネ君の岩魔法であのモグラに当てることはできるかい?」


「……難しい」


「ふむ。……ならリュウキ君が囮になり、その隙にシズネ君が岩魔法で当てることはどうだい?」


「……それも難しい。……そもそもあのモグラにあまり接近戦を挑みたくはない。……あのモンスターは速度のある遠距離で仕留めるべきだと思う」


「俺じゃなくても、あの攻撃力なら誰だって一撃で死ぬ可能性があるってことか……」


 ならばどうするか。

 シズネの言う通り、速度のある遠距離攻撃を持つ者はこの場にはいない。

 竹田の木々は遠距離からの攻撃は出来、範囲的なものも得意ではあるが、速度を求めるには少し物足りない。シズネの岩魔法も言わずもがな。リュウキに至っては近距離しか出来ない。


「あ、ならアリアはどう? ミサイルやらビームやら出せるよね?」


「……『全点突破』の二つ名は損傷する程残った部位の攻撃力が上がる能力。……今出したところで、回復しきったアリアの攻撃ではあのモグラは止められない」


「アリアちゃんだってあのドリルを受け止めるのは難しそうだよねー」


 マカはいつでも固有スキルを発動できるよう、大剣を手に持ち、空中に8本の剣を浮遊させている。


「1つ、手がある。しかし、賭けになる上に、もし失敗したら私はこの後何もできなくなるだろう……」


 と、竹田が1つの策を話し始める。

 竹田の持ちうる限りの木の苗を使った策を。


「遠距離で、尚且つあのモグラを止められる手段……」


「……失敗したらその時。……また考える」


「だね! やってみよう!」


「……ふむ。では賭けてみようか」


「では俺はマカを守りますね」


「……私は竹田さんの補助を」


 リュウキとマカ、シズネと竹田にそれぞれ別れ、行動を開始した。


「キイ、キイ、キイィィィ」


 『ツインドリラー』が地中に潜る。

 潜るが地中から音はしない。地中を移動する音も、ドリルの音も。

 完全に無音。それ故にどこから出現するのかが分からない。対して『ツインドリラー』はリュウキ達が地面を踏む音が地中を振動させ、それを聞き取ることで個人こそ特定は出来ないが、そこで何かが動いているくらいは分かっていた。


「リュウキ君、マカ君を連れて後方へ退避だ。真下から来るぞ!」


「分かりました!」


 『ツインドリラー』が地中を掻き分けマカの足元から飛び出しマカの体を削り取ろうとした瞬間、リュウキがマカの体を掴み後方へと飛んでいた。


「キイィィィ」


 『ツインドリラー』は飛び出した勢いそのままに再び地面へと落下し……地中へと戻っていく。


「……次はシズネ君の方だ。まだ余裕はあるから出来るだけ右へ移動するといい」


「……了解」


 再び『ツインドリラー』が顔を出し、ドリルをシズネのいる位置に向けた瞬間にはシズネはその場にはいなかった。


「キイィ?」


「疑問かね? まあ貴様のような木々を育む大地を何とも思わないモンスターには分からないだろう」


 竹田の行ったことは普段とは逆、木の幹を成長させるのではなく、根を成長させた。辺り一帯の地中へと張り巡らされた根は細く長く伸びていく。『ツインドリラー』のドリルはその根を何の抵抗も無く千切っていくが、それを感じ取った竹田は『ツインドリラー』のおおよその位置を特定できていた。


「見よ。こうして穴だらけになった地面を貴様は一体どうするのだ? 貴様らモグラはミミズを食べるというが、ミミズは大地にとっても貴重な栄養源なのだ。……日本であれば鳥獣保護法により貴様らは守られているが、ここでは関係ない! あの鬱憤を今、晴らす時がきたようだ!」


 『ツインドリラー』は2度の奇襲の失敗により原理こそ分からないが、奇襲の効果は薄いと判断したようだ。

 地上にて立つと、ドリルを構える。


「どうせ防御が出来ないのだからそのままドリルで貫こうというのだな。ならば受けてみようではないか。木々こそが、大地を貪欲に荒らす害獣を始末すると思い知らせてやろう!」


 2つのドリルが回転し始める。

 竹田の木々が成長を始める。


「この2つの苗が最後の苗だ。失敗すれば私はそのまま貴様に貫かれるだろうな。だが、生死を別つ闘いを今、私は楽しんでいる!」


 『ツインドリラー』は両手のドリルを竹田に向けるとそのまま駆ける。

 何物もそのドリルを阻むことは出来ない。避けることしか出来ないのだ。そして避け続けていればいずれ掴まる。

 何人ものNPCも、プレイヤーですらも貫いてきたドリル。ただそこにあるだけの木ごときに止められるはずがない。そう『ツインドリラー』は思っていた。


 ドリルと木が交錯する。どちらにせよ金属と木である。どちらがより硬いかは明白であり、回転力や威力関係なく木がドリルを破壊するのは困難であることは『ツインドリラー』にも、勿論竹田にも分かっていた。だから、竹田の木は正面から当てることはなかった。当てさせなかった。


 ドリルの回転に合わせて木をドリルに巻き付かせる。回転で木を削ろうとするドリルであったが、木はすれすれでドリルに当たらず、そのため木は削れることなくドリルの周囲をぐるぐると円を描くようにしてドリルのその先を目指す。


「キイイィィ!?」


 竹田の木はそれぞれ『ツインドリラー』の腕を絡めとり、固定する。決してドリルに木が触れることのない位置で。


「今だ、シズネ君、リュウキ君!」


「……『ロック・ド・ロック』」


 シズネの岩魔法によって生み出された岩が空中から『ツインドリラー』に降り注ぐ。しかしながらこれは攻撃のための魔法ではない。固定するための岩魔法。岩魔法特有の頑強さはそのまま固定性へと繋がる。

 木に絡めとられ両腕を動かせなくなった『ツインドリラー』の四肢体躯を更に岩が封じる。直接体の上に岩が落とすということはしない。その衝撃でドリルがわずかでも動いてしまえば……ドリルが木に当たってしまえば竹田の苦労が水の泡となってしまう。そのため腕や体の間に岩を落とすことで動きを封じた。


「『ネリチャギ』」


 リュウキの足が『ツインドリラー』の顎を蹴り上げる。

 『ツインドリラー』のHPが目に見える分削れるが、この場合求めているものはそれではない。

 リュウキの蹴りは顎を蹴り上げ、脳を揺らす。脳震盪に近い症状を起こした『ツインドリラー』に眩暈を覚え、判断力を無くす。


「これでもう避けられないよね! 固有スキル『コレクターズ・ウェポン』!」


 防御も、攻撃すらも容易く砕き貫くドリルは何をも砕き貫くこともなくただ宙で回り続け、そしてマカの剣は『ツインドリラー』のHPを、ほとんど満タンに近かったHPを完全に一撃で消し去った。


闘いに置ける竹田さんというか木の便利さあるなこれ

どっかで弱体化させる手もあり

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