80話 打ち上げ
短いぞ
「それじゃあお前ら、コップは持ったか? カンパイだ!」
「「「「かんぱぁーい!!」」」」
ダラークさんの掛け声とともに皆が手にしたコップを掲げる。
本日は、というかユークリッドを倒したその日の夜、オセをも無事アザリカさんやジュガさんが倒したらしく、これで晴れてモンスターボスである『五行同盟』オセを攻略したというわけになる。
オセを倒したと同時に、一週間のログイン禁止というペナルティも消え去り、『五行同盟』に倒されていたプレイヤー達の復帰が可能となった。
「おらお前ら、立役者であるこいつらを褒め称えてやれ。特に、勝手に割り込んだあげく無駄に死んじまったやつらはな」
ダラークさんはそう言って何人かのプレイヤーをからかって回る。
言われた方もすまんすまないごめんなさいと素直に謝り、そしてダラークさんの肩を叩いて褒めていく。
ダラークさんはそれを受けて、嘘だお前らが消耗させてくれたから勝てたんだと労う。
この場に、無駄に死んだ者はいない。
最初に死んでしまった者も、相手の技を引き出し、力を使わせ、対抗策を後から来る者に立てさせることができた。
終わり良ければ総て良しとは言うが、まさにその通りなのだろう。
「リュウキ、お前もよくやった。ユークリッドは技に特化したタイプだ。簡単にごり押しできる相手じゃない」
「いえ、俺は何も出来ませんでしたよ……やってくれたのはキナネさんや、そして止めをさしたブレッシュさんです」
「そうなのか? 俺が聞いた話だと泥人形を倒したのも、ユークリッドまでの道を開いたのもお前だったがな」
「それは、そうかもしれませんが……」
泥人形を海に沈めるよう提案したのは俺だ。
ユークリッドが土の壁に籠城した時、そこにブレッシュさんを運んだのも俺だ。
だけど、
「それで果たして、俺は他の皆ほど活躍できたのでしょうか……」
俺じゃなくてもそれはやれたのではないか。
たとえばシズネならすぐに泥人形を岩で押し潰せただろう。
たとえばマカなら剣に乗ってユークリッドまで砂の地面など容易に超えられただろう。
「だがよ、あの時お前はあそこにいて、そしてお前がやったんだ。他のやつらには出来なかったことをな。お前がいなかったら、それであの『キングオブナイツ』の連中は全滅してたろうさ」
「そうだよリュウキ君」
「ブレッシュさん!」
背後から声を掛けられ振り向くとそこにはブレッシュさんとキナネさん、そしてもう一人知らない男性が立っていた。
「やあ、君がリュウキ君だね」
「……? ええ、そうですけど」
どこかで出会ったっけ? どことなくブレッシュさんやキナネさんと似たような雰囲気を感じるけど。
「俺はブレッシュとキナネの所属するギルド『キングオブナイツ』団長のギリストだ。よろしく」
「……ああ! 俺はリュウキです。ユークリッド戦ではお二人に大変お世話になりました!」
ギリストさんの差し出してきた手を握る。すると、ギリストさんは更に握り返してきた。
「世話になったのはこっちだ。それに、あの闘いでキナネは自分と向き合えたし、ブレッシュはまた1つ強くなった。悪い闘いではなかったよ」
「まあな。お前が倒せなかったやつを俺が倒せたんだ。いつか団長の座はもらってくぜ?」
「ふん、それは怖いな。俺もまた一から鍛えるとしよう。リュウキ君、とにかく君のおかげなんだ。君がいたからユークリッドを倒せた。その事実は変わりない」
「それでも足りないって言うならそうだな……あの場には俺とキナネ、そしてギルド団員がもう数人いて、そしてリュウキ君、君が来た。誰かが欠けても倒せなかったし、誰かが違う行動をしても倒せなかった。あのメンバーで倒したということが事実だ」
それだけ言い残して三人は去っていった。
「そういうこった」
「ダラークさん」
「まあ細かいことは気にすんな。勝ったことを喜べ。反省点なんて後からいくらでも出てくるだろうが、今は辛気臭い顔よりも、楽観的な顔がこの場には似合うだろうさ」
「そうですね……はい!」
それから俺は吹っ切れて打ち上げという名目のパーティーを楽しんだ。
ちなみにこのパーティーの費用は戦闘に参加できなかった非戦闘職や無念のままに倒れていった者達によって出されている。
破損した装備すら只で修理してくれるらしい。……まあ俺は装備ほとんど傷ついてないし、武器は拳だけど。
マカが一番喜んでいたな。たくさん剣を壊してしまったみたいだから。
シズネはその美しい人形のような容姿だし、マカは可愛らしい容姿だからどちらも男性プレイヤーから声を掛けられているが、『五行同盟』の一角をそれぞれ倒した功績を聞いた途端に男性たちは少し引いた顔になっていた。どうも非戦闘職か何かだと思われていたらしい。
しかしながら、そのように話しかけてくる者らは大抵がまともに『五行同盟』戦に赴いていない者達だ。
むしろあの時闘っていたプレイヤー達は、特にギルドを背負っている者達はフリーのプレイヤーを見定めて、勝手に裏でどのギルドがどのプレイヤーを引き抜くか話し合っていたらしい。後でダラークさんに教えてもらった。ちなみに俺たちはダラークさんが先約で話を付けているという設定らしく、1人からも話しかけられなかった。ギリストさんですら、あの後は軽くお話をしただけであった。
そんなこんなで、元々がプレイヤーボス戦の直後ということもあって時間的な問題で1人、2人とログアウトしていった。
俺とシズネ、マカもこれ以上は高校生や中学生ということもあって退場させてもらった。
どうせ翌日になればまたこのゲームに入れるのだ。惜しむことはない。
「ではダラークさん、お先に失礼します」
「おう」
「……バイバイ」
「「「「バイバーイ!!」」」」
「みんな、またねー!」
「「「「またねー」!!」」」
俺に対してダラークさんが。
シズネとマカに対しては会場中から野太い声が返ってきた。
それに笑い、そして俺達はDNOの世界から、戦場から現実へと戻っていった。
戦闘以外は何を書いたらいいか分からない




