33話 分断
「左右に散れ!リュウキは右、シズネとマカは左だ!」
ダラークの号令により左右に6名ずつ別れていく。
デーモンのほうにはリュウキやダラー、アザリカが。
ドラゴンのほうにはシズネ、マカ、ジュガがいる。
「ジュガ、センザ、一発頼むぞ」
ダラークの言葉によりジュガがドラゴンに砲弾を、センザと呼ばれた剣士のような男が黒い何かに火魔法を浴びせた。
ドラゴンは砲弾によりわずかながらダメージを受けたようだが、全体からすればかすり傷にもならない程度。
デーモンは少し身をよじって火魔法を躱してしまった。
だが、ドラゴンもデーモンも攻撃されたこと自体は分かっているようで、それぞれジュガとセンザに向かって行く。
「よし今だ。壁となれ!」
ダラークがカザラからもらった謎の箱――アイテム名を壁箱と言う――を部屋の中央に投げつける。
箱は地面にぶつかると壊れ、中から煙が噴き出す。煙は中央を分断するように広がり固まっていく。まるでデーモンとドラゴンを分断するかのように。
「これで俺はダラークさんたちとデーモンを相手にすればいいのか……」
リュウキは思い出す。先日ダラークたちより伝えられた攻略の今作戦を。
「アスタロト、あいつは召喚系の二つ名だ。そいつが呼び出すモンスターはお前とシズネに似ているな」
「俺とシズネですか?」
「ああ、防御に秀で威力の高い攻撃をするドラゴン、速度に特化したデーモン。この二匹のコンビネーションのせいで俺らは苦渋を舐めさせられてるんだ。ドラゴンの防御を突破できるような攻撃はどうしたって隙が生じる。そこをデーモンにやられる。逆にデーモンを倒そうとこっちもAGI特化したやつで迎えうとうとしたんだが紙防御だからな、ドラゴンの使う全体攻撃で軒並みやられてった」
「そこでこのアイテム、壁箱を使うんですね」
「ああ。ちなみにアスタロト自体は弓使いだ。毒矢を使うから解毒ポーションを忘れないように。遠距離から飛ばしてくるからこいつはマカみたいなもんだな。
カザラから渡されたアイテムを鑑定したところ、1時間の間破壊不能な壁を形成するという効果を持つものであった。
使いどこをを間違えればドラゴンとデーモンを同じ場所に閉じ込めたうえでこちらだけが分断されてしまうかもしれない。だからプレイヤー12人はまず左右に分かれ、引き付けてからダラークが壁を生成することになった。
「機動力のある俺とお前、そして速度にも対応できるアザリカがデーモンを相手だ。ドラゴンにはシズネ、マカ、ジュガを当てる。他の6人はそれぞれ回復やタンク、サポートのできるようなやつらを連れていく」
「実際に闘うのは俺たち6人ってことですか」
良いのだろうか、いやそれよりもできるのだろうか。
これまで1ヶ月、誰も倒せなかった相手を、壁箱があるとはいえまだ闘ったこともないリュウキたちが加わって倒せるとは思えない。それならばこれまでの経験があるダラークたちの仲間が行ったほうがいいのではないか。
そうリュウキが言うと、ダラークはハアーっと深いため息をついた。
「これはまあ俺のミスってことになるんだけどな。俺の仲間、ギルド『フレクション』のメンバーは俺が集めただけあって対人戦はかなりのもんだ。対人戦はな……」
「つまりモンスターとは……」
「そこらのモンスター相手なら別にいいんだけどな。ボスとなると駄目だ。人型のモンスターなら強いが今回のドラゴンみたいな相手となるとただ突撃するだけになっちまう。だから俺らの仲間は今回はボスまでの護衛とボス戦での援護に留めておく。なあに、『クラッシュタイラント』とかいう馬鹿でかいモンスターを倒したお前らなら大丈夫だ」
ダラークの指示通り、デーモンとドラゴンを分断したうえでこちらも分かれそれぞれで闘う準備はできている。
「……ちっ、アスタロトはこっちに来ちまったか」
「そうね、できればあっちに行ってくれてればね」
アスタロト自身にはそこまでの戦闘力はない。あくまで弓矢でプレイヤーたちに毒状態を仕掛けるだけだ。だが、アスタロトを守る二匹が問題なのだ。近づけばデーモンが、遠距離からはドラゴンの硬い皮膚がそれぞれ守る。
デーモンとドラゴンを分断する際、アスタロトがどちらに行くかを考えなかったわけではない。だが、攻撃されればプレイヤーに向かって行くモンスターと違いアスタロトは意志あるプレイヤー、もしくはNPCだ。簡単には動かないためどちらに分断されるかは運次第であった。
もし分断された際にドラゴンのほうであればどれだけ楽だったか。
あちらには攻撃力の高い遠距離攻撃のできる者が揃っている。アスタロトを狙った攻撃をすれば当然ドラゴンは守ろうとし、一方的に攻撃できたであろう。
アスタロトさえ倒せばデーモンとドラゴンは消える可能性が高い。そのため今までアスタロトからデーモンとドラゴンを引き離そうともしたのだが、必ずどちらかから離れることはなかった。
「デーモンを無視してアスタロト本体を攻撃できるような余裕はねえ。魔法もセンザくらいしかできないしな。だからまずは、デーモンを叩くぞ!」
「「「「「おう!!」」」」」
ドラゴンを相手にするのはシズネ、マカ、ジュガ含め6人である。
みなドラゴンの攻撃力に耐えられる防御力、ドラゴンの防御力を貫ける攻撃力を持つ者であり、その代わりに速度は捨てている。
実は今までの攻略においてこのドラゴンのHPを半分以下にまで削れたことはない。
デーモンの邪魔もあったが、それ以上にこのドラゴンのHP、DEFがずば抜けて高いのだ。その巨体に比例したHP、生半可な攻撃を受け付けない硬い鱗を土台としたDEF、そして口から吐き出される炎や巨体を駆使しての攻撃が特徴である。
「ダラークがいないからな、俺が指揮をするぞ。シズネは一番後ろでアラダ、キウイと一緒に魔法を使ってくれ。マカは中距離、場合によっては近距離でドラゴンを攪乱、富田はみんなを守っていてくれ!」
「……ジュガさんはどうするの?」
「俺はたぶんこの中で一番機動力があって打たれ強い。なら、俺が身体を張るしかないだろ?『重機戦車』!」
ジュガは今ドラゴンと相対している者の中で攻撃を避ける機動力、攻撃を受けても耐えられる装甲、鱗を貫ける砲台を唯一持っている。特に機動力と装甲に関しては前線で闘うのに一番適している。
「ジュガさん頑張ってー!」
「おう!年下の女の子に応援されるのは悪い気がしねえぜ。ドラゴンよ、今回ばっかしは勝たせてもらおう。さあ火でも噴いてみろよ、俺の装甲に火は効かねえぜ?」
ジュガの砲弾が、シズネの岩が、マカの剣が、火が水が雷が飛び交う中、最後に飛び足したのはドラゴンの炎だった。
リュウキ 格闘家 L19
『悪鬼変身』 LV3
HP 270
MP 78
ATK 90
DEF 34
INT 26
AGI 71
DEX 29
LUK 24
*ATK・AGIに補正
所持スキル:格闘家スキル
装備:スカーレットメイル
スカーレットナックル
【スカーレットナックル】
スカーレットメイルと一緒に装備することでよりATKとAGIの補正が上昇する。
握る部分は黒いが、相手を殴る部分はまるで血のように赤くなっている。
刃はついていないため、純粋に拳を強化する武器である。
シズネ テイマー LV19
『地底神王』 LV3
HP 155
MP 160
ATK 20
DEF 41
INT 86
AGI 16
DEX 61
LUK 46
*HP・MP・ATK・DEF・INT・LUKに補正、AGI・DEXが微減少
所持スキル:岩魔法 テイムスキル
装備:アニマルサクセス
謙虚な杖
精神の指輪
【アニマルサクセス】
動物と会話をしているかのような気分になれるローブ。DEXとLUKに補正がかかる。
素材は全て動物型モンスターが使われているため、人間の臭いを消すことも可能に。ちなみにクマミミパーカーでもある。
【謙虚な杖】
INTの補正がかかる。魔法・スキル使用時のMP消費を減らす効果がある。
見た目は青い宝石が先についた金属製の杖。
【精神の指輪】
INTの補正がかかる指輪。
どの指につけても効果は一緒だ。
マカ 剣士 LV19
『舞空剣技』 LV3
HP 250
MP 54
ATK 69
DEF 57
INT 24
AGI 36
DEX 41
LUK 24
*ATK・DEXに補正
所持スキル:剣スキル
装備:トイ・ファンクション
センスソード
ライトソード(多数所持)
経験の指輪
【トイ・ファンクション】
DEF・DEXの補正がかかる全身鎧(金属製)。
鎧内側についてあるボタン一つで着脱可能であるが、装備は画面からでも着脱できるため要は気分である。防具としては優秀。
【センスソード】
見た目は大剣であるが、実際に持ってみるとそこまでの重さはない。切れ味を重要視しているため使いすぎると壊れる可能性も。使い手の腕が試される。
【ライトソード】
職人が経験を稼ぐためにつくる武器。そこまでの特徴はないが、それぞれ切れ味や重さ、耐久値が違うのは作成者のせい。
【経験の指輪】
経験値がわずかながら上昇する指輪。
どの指につけても効果は一緒だ。
ラビ ブラッドラビット LV15
『赤黒毛皮』 LV3
HP 170
MP 34
ATK 36
DEF 40
INT 17
AGI 46
DEX 18
LUK 20
アリア ドールマター LV15
『全点突破』 LV3
HP 210
MP 42
ATK 24
DEF 97
INT 38
AGI 14
DEX 13
LUK 13
装備:機械仕掛けの鎧
防御の指輪(他2つの指輪)
【機械仕掛けの鎧】
DEFに補正がかかる金属鎧。
アリアが元々使っていた装備をギャブーが改造したもの。ライフ工場のモンスターの素材が使われている。
【防御の指輪】
DEFに補正がかかる指輪。
どの指につけても効果は一緒だ。
前話ではなく、こっちのほうにステータス載せておきます
理由はこっちのほうが文字数が少ないという悲しい理由です




