2話「仕様がちょっと分かってきた」
予約するの忘れてました(´・ω・`)
「あ、はい」
一瞬頭が混乱したが、聞きなれた言葉に思わず荷物を受け取ってしまう。
そしていつものようにサインをし、ペンを返す。
「それでは失礼いたします」
「ありがとうございます」
配達員さんは軽く頭を下げると、茂みのほうに躊躇することなく歩いていき、やがて霞のように消えていった。
「……何だったんだ」
普段使っている運送会社の制服だったのは勿論分かる……分かるがここは元居た世界ではなく異世界だ。
当然向こうの人がこちらの来られる訳はない……はずなのだがチャイム音がしたことからもしかするとネット環境だけではなく、こう物理的にも繋がりがあるのだろうか。
「ただの茂みだな」
そう思い配達員さんが消えたところを調べてみるが何も起こらない。
向こうの人だけ行き来が自由なのか、それとも人に見えるだけで人では無い可能性もある。
荷物は……ちゃんと注文したソーセージが入っている。
「……寝るか」
色々あって布団で横になりたい気分だ。
最後に一つ確認して今日は寝てしまおう。
「ああ、全部のサイトで共通か」
個人のHPだけではなく、大手通販サイトやスーパーなどの宅配サービスといったネットで支払い可能なものは、全て2000円から先ほどの代金を引いた値になっている。
各サイトでお財布が別であればと思ったが、そう上手くは行かないようだ。
とりあえず毎日2000円が貰える生活を続けるしかないのは分かった。寝るとしよう……。
そして翌朝。
いつもなら日が昇る直前ぐらいに自然と目が覚めるが、今日は太陽がだいぶ高いところにあった。
時計をみるとすでに8時をまわっている……そういえば若いころは長時間寝られたな。
さて、朝食にしよう。
朝は簡単にトーストとハムエッグ、あとコンビニのサラダに牛乳だ。
サラダは今後どうするかな。野菜を買って自分で作ったほうが安上がりだとは思うが、一度に大量に野菜を買っても痛む前に食べきれるかと言うと……なるべく少ないものを買って試すとしよう。
「あれ!?」
そして朝食を食べ終えて、さて何か買おうかと大手通販サイトを眺めていたのだけど予想外のことが起きた。
「なんでまた2000円に……」
昨日の残金どこいった。
ヘルプ……ヘルプはどこですか。
「お金残しておくことは出来ないってことか……2000円だと大分買えるものが限られてくるぞ。まいったな」
節約して一気にでかいの買おうかと思っていたが、まさかこう来るとはな。
ちょっとばかし予定が狂ってしまった。
うーむ。
「そして食べたものは自動で補充はされないと」
慈悲はなかった。
見事に食べた食材はなくなっている。
「燃料は減ってないな?」
家からキャンプ場まで走ったにも関わらず満タンのままだ。
……いや、満タン状態でこちらに飛ばされただけで、使えば減るかもしれない。
他も確認したらちょっと試すか。
「バッテリーは残量は……しっかり減っていると」
昨日PC起動したり、しばらく明かりも付けたいたり、それに冷蔵庫も稼働していた。
その分はきっちりバッテリーは消費されているようだ。
充電もかねてここらの草原をぐるぐる回ってみようか。
トレーラーは邪魔になるから連結解除して……ああ、そうそう。キャンピングカーの後ろにけん引免許不要のトレーラーを連結してあるんだよ。
釣り用の道具だったりボートなりかさ張るものは大体そこに入れてある。
それじゃ連結解除して……速度はなるべくゆっくり、でも回転はある程度あげてっと。
「さすがオフロードタイプ。多少道が悪くともきっちり走る」
人の手が入っておらず道はでこぼこしているし、何なら大きめの岩まである。
そんな酷い道も難なく走ることが出来るとは……高かったけどこれを選んで良かったと思う。
買った当時はこんなことになるとは想像もしていなかったけれどね。
そうして走る回ることおよそ1時間。
こんな場所で車を走りまわす経験なんて無かったこともあり、つい楽しくなって結構な時間乗ってしまった。
でもその甲斐もあってバッテリーは満タンになっていたよ。
そして肝心の燃料は……良かった満タンのままだ。
もし燃料が減るとなると、出来るだけ節約して充電はソーラーパネル任せにしなければならなかっただろう。
「燃料減らないんなら、どうとでもなるか」
燃料、バッテリーの心配はなくなった。
あとは昨日確認しきれなかった部分を見ておくとしよう。
「パンは今日でなくなる。そして米は残り大体10kg……まあ米は一月余裕で持つ。それに2~3kgの袋なら買えるから主食の心配はなし」
米の値段がかなり上がっていたが、小さい袋であれば2000円以内で購入可能。
パンも大量買いするわけじゃないのでこちらも問題ないな。
「乾麺もそこそこある……と言っても数回分か」
適当に買っては放り込んでおいたけれど、ちゃんと乾麺も買っていたようだ……ラーメンばかりなのはキャンプ場で鍋で作ってそのまま食べるというのをやりたかった記憶がある。
浮かれていたのでちょっと曖昧だがな……まあ、そのうちやろう。
「炭も補充必要か。その辺に落ちている枝を使うって手もあるが、煙がなあ」
炭は2箱ある。
大きめの箱なので、少しは持つだろうが……炭も地味に良い値段するよな。
……炭焼きやってみるか? あっちだとやる場所もないので選択肢に入らなかったが、異世界であれば作っても良いんじゃないだろうか?
明らかに人の手が入っていない土地で、周りには森があるので木材も手に入る。
良いかも知れん……あとで作り方を調べておくか。




