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ヤンデレ系暗黒乙女ゲームのヒロインは今日も攻略なんかしない!  作者: As-me・com


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19/32

〈19〉その結束は固く強く結ばれる

「あの……なんか気持ち悪いからやめてほしいんだけど」


「まぁまぁ、そう言わずに。ほら、あーん」




 何をしているのか?と、聞かれれば……目を覚ましたエリオットのお世話をしている。と答えよう。


 あの後、目を覚ましたエリオットは私の顔を見た瞬間部屋中逃げまくったが、それを(無理矢理)捕獲して只今説得真っ最中なのである。


 とにかく話をしないことにはなにも始まらない。エリオットが転生者であるならばなおさらだ。私はエリオットが気を失っている間にメイドにお茶の準備や濡れタオルなどをお願いしておいたのだ。


「甘いお菓子は脳の栄養源よ。難しい話をするならばちゃんとブドウ糖を摂取しないとね。もちろん食べ過ぎはダメだけど」


「……ブドウ糖…………そんな言葉を知ってるなんて、ほんとに僕と同じ転生者なんだね……」


 差し出されたお茶をひと口飲み、エリオットはそう呟いた。



「……私はねぇ、新人ライターだったの。大学を卒業後なんとか就職したものの毎日先輩の手伝いに資料整理と上司の小言にお茶汲みばっかりの日々に嫌気がさしてた頃にこの乙女ゲームの取材を任されたんだ。元々乙女ゲームとかは好きだったし、なにより初めて任された仕事だったから嬉しくて張り切ってたんだけど……結局事故で死んじゃったのよね。しかも気が付いたらその乙女ゲームのヒロインに転生してるなんてほんとに悪夢だと思ったわ」


 私もお茶を口に含みそれを飲み込むと、なんだか全身の力が抜けてきた。たぶん、エリオットが私と同じ転生者だとわかって気が抜けてきたのだろう。


「………………僕は、女子高生だったんだ」


 ポツリ。と、エリオットが視線を落としながら転生前の事を語った。





 エリオットが女子高生だったこと。兄の持っていたこの乙女ゲームをたまたまプレイしたこと。そして、事故に遭ったこと……。まさか、同じような事故にまで遭っているなんて不憫過ぎる。


 ポツリポツリとゆっくりと語り、そして赤茶色の瞳から一筋の涙がこぼれた。


「……ほ、ほんとは、ずっと怖かったんだ。“僕”でいることにはもう慣れたけど、やっぱり心のどこかには前世の自分も存在してて。男だけど、女の子な自分に混乱して、でもそれを誰かに気付かれたらダメだって……だから……時々どうしたらいいのかわからなくなるし、でもヤンデレになるのはどうしても嫌だったから……!こ、怖くて……!う、ぅぅぅ……!!」


 エリオットの瞳からはポロポロと涙が溢れ出した。もしかしたら未成年者かもしれないとは思っていたが、まさか女の子だったとは。多感な女子高生にこの乙女ゲームは刺戟的過ぎるだろう。エリオットのお兄さんったらこうゆうのはエロ本と同じレベルでちゃんと隠して置いてくれないとダメじゃないか!エリオットが言うには浮気して裁判沙汰になり婚約者から慰謝料取られたクズ男らしいが、たったひとりの妹を自分のコレクション管理が甘かったせいで死んだ後もこんな目にあわせているなん思いもしないだろうなぁ。


 ……浮気して婚約破棄した元婚約者から裁判で慰謝料……どこかで聞いたような?ん?


「……ヒロイン……ううん、エレナはほんとに僕をヤンデレ化させようとは思ってないんだよね?」


 おっと今は思考を旅立たせている場合ではない。私はエリオットに向かって力強く頷いた。


「もちろんよ!私の目的はこのゲームに隠されている救済ルートを探し出すことなの。このままじゃヒロインの私だけじゃなく攻略対象者も不幸になってしまう可能性があるわ。私はあなたも助けたいのよ」


 私は前世で女主任から聞いたゲームの情報をエリオットに包み隠さず伝えることにした。そして女主任の怨念もだ。冗談抜きでかなりヤバい私怨がこめられているこのゲームを甘く見てはいけない。


「……こわっ!呪われた乙女ゲームじゃん!しかもどこかで聞いたような修羅場だし、僕の馬鹿兄貴みたいな男が他にもいるなんて最悪!」


 涙を袖で拭い、冷めてしまったお茶を一気に飲み干すとエリオットは私に向かって手を差し出してきた。


「協力するよ。この屋敷の事なら僕の方が詳しいし、僕も救済ルートを探す!


 ……今まで、あんな態度を取ってごめんなさい」


「エリオット……。ううん、こちらこそよろしくね!」





 こうしてここに、転生者同盟が結束されたのだった。




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