〈10〉フラグというのは唐突に
あれから2週間。「朝と夜は家族揃って食事を」と言われ(もちろんあの執事に)食卓を一緒にしているものの、私達の間に会話らしい会話もなく黙々と食事するだけの日々が過ぎた。
やたら睨まれているけどねー。
もちろん私もその間に何もせずにいるわけにはいかない。まずは屋敷を探索して侯爵家の実情を探る事にしたのだ。そしたら出るわ出るわ……三兄弟に対する不満の嵐が!
どうやら使用人たちにもあまり評判は良くないらしい。というかさすがはヒロインよね。まさかこんなに早く使用人たちと仲良くなって裏事情まで聞けるとは思っていなかった。ゲームでのヒロインは三兄弟に夢中で屋敷の使用人たちの事なんて目に入っていなかったが、みんな優しくていい人ばかりだ。
そう言えばリヒトが私をおどs……説得する時に言っていた子供を産んだばかりの住み込みの侍女にも会うことが出来たんだけど、赤ちゃんがかーわーいーいー!抱っこさせてもらっちゃった!はぁぁぁ……癒されるわぁ。やっぱり赤ん坊ってどの世界でも共通で最強に可愛いわぁ。
「……お嬢様は子供がお好きなんですね」
「うん、知ってると思うけど元孤児だから……孤児院にも小さい子供たちがたくさんいたんだけどよくお世話を手伝ってたの」
こんな孤児だった娘が突然に自分たちの主人になっても文句どころか優しく接してくれる使用人たちに、ささくれていた心がちょっと回復していたのだが……同じ使用人でもひとりだけ違う人もいたわけで。
うーん。なんで私はこうも朝から晩まで監視するように睨まれているのだろうか……。あのメイド、誰?あんなキャラいたかなぁ?
私が屋敷を探索している間も、侍女の赤ちゃんを抱っこしたりコック長にデザートのおねだりをしている間も、ずーっと少し離れた場所からものすごい形相で私を見ているメイドがいるのだ。監視……しているのだろうが、バレバレだし。かといって何か言ってくるわけでもない。もし重要キャラなら私が知らないルートのキャラだとは思うのだが……とにかく不気味でしかない。
「あぁ、あれはメイドのキャサリンです。確か男爵家の令嬢で、行儀見習いのために来ているとか」
「男爵令嬢ねぇ……」
やっぱり見覚えはない。が、怪しいな。 もしかしなくても、ジェンキンスかエリオットルートの重要キャラなのだろうか?
変な事を仕掛けてこないといいけど……。
そんな不安はあっという間に現実になるのであった。
いつフラグがたったのよぉ?!




