リプレイ。何度でも。
『
その日。
救い難き独裁者は普段通りに目覚めた。
彼は普段通りに豪遊し、人々を虐げ、そして戯れに殺した。
退屈ささえ覚えるほどの彼の日常。
繰り返されるだけどの日々。
普段通りと違ったのはその日が『最後』であったということ。
彼は昼食後に殺された。
――それにより、悪夢の時代は遂に終わったのだった。
』
*
「ねえ、次はこれに乗らない?」
看板を見ていた少女が言う。
彼女の父親は立ち止まり看板を読む。
看板にはとある独裁者の生涯について書かれている。
そして、その独裁者が昼食後に殺されたことも――。
「お父さんはこれよりも中世の景色を見たいな」
「えー? そんなのつまらないよ。私だって英雄になってみたいもん」
「一日に数万人もなれる英雄なんて何の意味もないだろう?」
父親はそう言ったが娘は聞く耳も持たない。
このまま続けても無駄か。
いや、何とか説き伏せても娘はきっと母親に告げ口をするだろう。
「わかった。わかった。それじゃ、これに乗ろう」
「やったあ! お父さん! 大好き!」
娘の手を取りアトラクションへと向かう。
待機していた職員が丁寧に銃の撃ち方を娘に話すが果たしてどこまで理解出来ているのか……。
「なぁ、もし仕留め損なったらどうなるんだ? タイムパラドックスとか起きるんじゃ?」
「ご安心ください。我々が仕留め損なったらそれこそ『本来の』英雄が殺すだけです」
「そんなものか」
「ええ。タイムマシンによるタイムパラドックスに怯える人は多いですが、そんな大事にはならないものですよ。そもそも大事になっていたらこんなアトラクションなんて出来ませんしね」
「それを言っちゃあおしまいだろう」
職員と父親の会話などどこ吹く風という様子で娘は銃を構える。
独裁者が生きていた時代への到着まであと少し――。




