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ダンジョン帰りの無骨な傭兵と、借金を背負った元許嫁の再会婚

傭兵ジン。
戦乱と魔物が蔓延る荒野で、彼は過去を捨て、金と力だけを信じて生きていた。その心は、故郷を捨てた十年前のあの日から、とっくに摩耗しきっている。

そんな彼のもとに、一通の手紙が届く。
それは、かつての許嫁・卯月華が、借金のカタに人買いへ売られようとしているという、忌まわしい過去からの報せだった。

「――関係ない」

そう吐き捨てても、脳裏にこびりついて離れない、守ると誓った少女の笑顔。そして、守れなかった自分の無力な姿。
罪悪感と自己嫌悪に突き動かされるように、ジンは十年ぶりに故郷の土を踏む。稼いだすべての大金を叩きつけ、彼は華を買い戻した。

だが、再会した彼が告げたのは、救いの言葉ではなかった。

「あの金は、貸しだ。返すあてはあるのか。……ないな。なら、体で返せ」

凍りつく華に、彼は歪んだ契約を突きつける。
「夫婦になれ。形だけの、な」

これは、救済ではない。ただの自己満足。
心を失くした男と、全てを失った女。金で買われた偽りの関係の先に、果たして救いはあるのか。
不器用で、あまりにも切ない、再会と再生の物語が、今、始まる。
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