序章②
(やれ、やれ・・・噂以上にリフィール王国は、『人類至上主義』だね〜)
猪人族のゲルクは、その様子に苦笑いを浮かべた。
「やれ、やれ・・・あのB級の野良の大鬼との戦闘シーンを見せてやりたいわ・・・コイツらのだらしないのを・・・」
半蜥蜴人の女性であるカリルは、後ろの騎士達に聞こえる様に悪口を言っている。
半数はムッとしていたが、あとの半数は何も言えないのか黙って俯いた。
(これで人類最強の集団だって自称してるんだから、どれだけ《平和ボケ》してるのかね〜)
眼の前にいるリフィール王リカルドも、かつて魔王を倒した勇者の血を引いているらしいが、全く力を感じない。
「・・・何が、自分達は大鬼の上級種の『炎大鬼』を倒した事があるってよ・・・ただ、弱りきった子供のを倒しただけじゃん?」
おそらく、何処か人間領に迷い込んだ炎大鬼の子供を捕らえ、食事も与えない、不衛生な環境の為に病気で《力》が使えない弱った所を、皆でフクロダタキにしたのを自慢していたのだ。
「黙れ!トカゲ女っ!」
1人の聖騎士が飛び出そうとすると、聖騎士団長でもあるラムトスが静止する。
「バカ者!・・・言われて、怒るのは認めてる証拠だ!・・・頼むから、カリルも場を考えてくれ!」
そのラムトスの言葉に、カリルも騎士達を小馬鹿にするのを止めた。
「何をゴチャゴチャ言っている!・・・小奴らを引き摺り出せ!」
業を煮やした大臣は、そう言うと警護兵を突入させたが・・・
「リフィール王リカルドよ!勇者アムスに《優秀な仲間》を付けなかったのは、貴公ではないか?
その為、アムスは彼らに《仲間》に成って貰っただけの話だろう?
それとも、こんな奴らで対抗馬のバグラムと勝負出来るとも思っておったのか?」
そう言って現れたのは、王宮最高魔術師と称されるバラムであった。
その裏には、縄で縛られた剣士と魔法使いが居た。
尋問されたのか、2人はアザだらけである。
「・・・話は小奴らから聞いたわ。アムスを《消す》のが目的だったらしいな・・・残念じゃったな」
バラムは短剣を、とある大臣に投げ付けた。
すると、その大臣はは必要以上に避けてしまう。
「ほ〜やはり、貴様はコレが《毒付き》なのを知っていたのかの〜」
慌てふためく大臣を横目に、バラムを王のリカルドを見た。
「ま〜アイツらは《ガルガデ》出身じゃから、この程度の毒は効かないのじゃがなぁ〜」
そのバラムの言葉に大臣は、悲観の表情になった。
王のリカルドは、そのバラムの言葉に再び嫌悪な表情になる。
「ま〜たとえ効果が有っても、アムスの《回復魔法》ですぐに解毒されてしまうがな?・・・そんな事も《知らなかった》のか?」
アムスは聖剣を手に出来たから勇者だが、元は回復師、補助魔法使いであったのだ。