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教主ランクル②

「ランクル!アンタ遅いわよ・・・聖女である私を待たせるなんてどういうつもり?」

開口一番にミリュは、教主であり聖会では一番偉い地位にいる筈のランクルにそう言い放った。

「こちらも《教主》として、色々とやる事はあるのですよ?」

ミリュの前にあるテーブルを見ると、菓子と飲み物で散らかっている。

(普段、外表はネコ被ってるが・・・やはり、親子という訳か・・・)

そういえば、前教主の父親もかなりの横暴な男であったのを思い出した。

「・・・それで、今日はどの様な御要件で?」

『聖女なんだから〇〇』とツッコんでも、意味ないだろうとランクスは本題に入る事にした。

「バグラムの事よ!・・・ヤツを勇者から下ろしなさい!不愉快よ・・・」

ミリュの話によれば、王達の前でバグラムは自分のパーティーメンバーを侮辱する発言をしたのだ。

(・・・侮辱って言うより、聖女が何もしなかったからだけではないのか?)

たしかに貴族であり、ミリュも聖会領で育った為に甘やかされている・・・そんな娘が戦闘に参加しろ!というのは酷な話ではあるが・・・

「勇者アムルにしたって、元々は役立たずで、ガルガテに追い出された《2流の回復師》でしょ?・・・私に敵う訳ないじゃん!」

どうやら、王達にその件でも苦言をされた様だ。

(アンタさ〜アンタが聖女に成れたのは、《父》である前教主の後押しのお陰でしょうに・・・)

きちんとした『選考眼』を持つランクルの眼を持っても、たしかにスバ抜けた霊力は在るのは間違いない・・・まるで複数の人間の霊力を合わせた程に・・・

(まさかな・・・いくら《愚かな元教主》でも、ソレはしないか・・・)

「・・・勇者2人を下ろせ!と?・・・そんな事が出来ると思うのですか?」

たしかにランクルの《立場》を使えば、出来ない事では無いかもしれないが・・・するべき事ではない。

「聖女の私が、やれって言ってるの!・・・《代理教主》は黙って私に従えば良いの」

どうやらミリュは、父親が再び《教主》に返り咲けると考えている様だ。

(・・・そんな事あり得る訳が無いのに・・・ん?)

その時、ランクスは違和感を感じた。

こんだけバカな事をミリュが言っているのに、誰も何も言わない事だ。

(・・・もしや、これは・・・)

ランクスは、先程から目がチカチカしている様な気はしていたが・・・

「・・・分かりました。その件は考えておきましょう・・・それでは私にも用が有りますのでこれで失礼する」

ランクスは早々に立ち去る事を決意した。

ミリュは不満そうにグチグチ言っている様だが、無視する事にする。

そして出口の外に居た・・・正確にはランクスが出るのを察し待ち構えていたカザックに声をかけた。

「・・・もしや、あの聖女は『魅了眼チャームアイズ』持ちなのか?・・・彼女に《監視》を付けろ!」

どうやら、一波乱は起きそうである。

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