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教主ランクル①

教主のランクルは思案しながら、自室に居た。

(困った事になったなぁ〜)

眼の前にある何通もの手紙を見て、思わずため息を漏らした。

(・・前教主は短い期間の就任とはいえ、かなり好き勝手やったみたいだな)

大半は貴族達からで、『献金をしてやるから、融通を効かせろ!』というモノであった。

ま〜おかけで教団の資金振りは良かったのだが・・・

ランクルは覇権争いに巻き込まれ、ガルガテの大司教(仮)の地位に追いやられていた。

(ま〜おかけで、俺は《目が覚めた》とも言えるんだけどね・・・)

前教主は『血筋』と『金』の力で教主に成っていたのだが、逆に今回はその2つの《事》により、退任させられてしまったのだ・・・

前々回の教主はの疫病の件で退任させられ、今は地方に幽閉されている・・・

(・・・アイツの場合、色々と余罪も有るから簡単には《出られない》とは思うけど・・・献金者達の存在があるからなぁ〜)

聖会での人望は少ない・・・とはいえ上層部で甘い汁を吸って来た者は、彼の復帰を願うかもしれない。

(無下には出来んか・・・あと、もう一つ無下に出来ないのは・・・)

その時、ランクルの自室の扉を叩く音がする。

「・・・ランクル教主、聖女ミリュ様がお越しになられた様です」

その部下の発言でも分かるように、聖女には《様》付けするのに自分には役職のみ・・・やはり、前教主の娘であり、勇者バグラムのパーティーメンバーでもあるミリュの方が上と考える様だ。

(やれやれ、何を言って来るのかな・・・)

深い溜息を付いた後、『今行く』と部屋の外に待機している部下に命じた。

たしか、前回(退任が決定した直後)は撤回を求められ、自分ランクルの力不足を指摘し解任も言い出した筈だ。

だが、逆に父親が認定の際に他人(秘書の力)を使ってる事を指摘して帰って貰った。

「・・・ランクス様は、よく私の《存在》にお気付きになられましたね・・・つくづくあの親子には苦しめられましたから・・・有り難いです」

壁から出て来た様に、カザックという秘書が出てきた。

「・・・君も優秀なのに、《陽の下》を出ないは悲しいよね〜解放されたんだから、出たら良いのに」

ランクルの着任により、カザックは《秘書》兼《雑務係》を外したのだが、いまだにこうしている。

「・・・アンタには恩が有る・・・今度こそは、ソレを返したい。居させてくれ!」

そう言って、カザックは頭を下げる。

(本心は分からないヤツだが、利用出来る内は使わせてもらうか・・・)

「・・・じゃあ、引き続きヤツ等の動向を探って、俺に報告してくれ!」

ランクルがそう伝えると、出て行こうとするが、何かを思い出し振り返る。

「ランクル様は、本気で《あのブタ》を勇者と認めるおつもりですか?」

そのカザックの問いに頷いた。

「ま〜周りは《反対だ!》と騒ぎ出すと思うよ?・・・でもね、それによって聖会は《変わる》と思うんだよ?」

ランクルが取り出した『古い教本』を見た瞬間、カザックも頷いた。

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