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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第三部
94/201

『全世界に向けて』

 数時間後、世界の指導者であるパラティヌス統治者、ウェンデス・ヌメンより、全世界に向けてメッセージが発信された。

 

「皆さん、ご機嫌よう。今日は私から重大な報告があります。よく聞いてください。数時間前、世界に『名のない力』というエネルギー塊が飛来しました。これを私の部下・部署が吸収して、この世界の力としました。そして世界の構造を変えたのです。詳しくは後の情報を確認してください。それにより、世間を混乱させていた戦争扇動者、テロリスト、暴力団、悪徳業者、DV加害者などが因果界という場所に堕とされました。もう市民を脅かすことはありません。さらにこの世界、真央界と言いますが、こちらに残った方々は、虹球界という新しい世界に移住できる切符を手にしました。どうかこのことを念頭に置いて、冷静に行動してください。私からのお願いです……」

 

 この放送の直後、真央界は騒然となった。

 サクシードが配置されたエスクリヌスでは、警備兵によって車が緊急停止させられており、事故は不思議と未然に防がれた。

 だが街を往来する人々は、ポカンとした後、もう一度頭の中でウェンデス統治者の言葉を反芻し、がやがやと言い合った。

「どういうこと?」

「世界の構造が変わったとさ」

「いきなりそんなこと言われても……」

「パッと見、何の変化もないよな」

「これからわかるんじゃないの」

「世界の悪党が何とかって世界に堕ちたって言ったな

「マジかよ、すげぇ」

「そいつはめでたい」

「これからテロに怯えなくていいんだ……」

「やったな……」

「おう、やったぜ」

「カピトリヌスの内戦も終わったよな」

「ああ、そう。あそこは酷いから、これからいろいろ梃入れするんじゃないかな」

「なんかいろいろ大変そうだな」

「いやいや新世界の幕開けだよ。だからいい大変ってことでいいじゃないか」

「そうかぁ……!」

「俺、勉強しよ」

「私も。買い物する気なくなっちゃった」

 人々は概ねそのように受け取り、家路につくのだった。

「意外とみんな冷静だったな」

 先輩警備兵がサクシードに言う。

「そうですね。ちょっと見ただけでは何の変化もありませんから、落ち着いていられるんでしょう」

「偉大だな、万世の魔女と天窓の鍵、それに生命の樹は」

「はい」

「俺、神って信じてなかったんだけど、今度ばかりは思い知ったよ。やっぱり遠くで俺たちのこと見守ってるんだな」

「先輩の殊勝な改心に、神様もびっくりですよ」

「こいつ!」

「ははは」

と、その時、急に往来へよろめくように駆けてきた老婦人が叫ぶ。

「だ、旦那がいなくなった……!」

 ざわめく人々、ここからが正念場だ。

「おいでなすった! 行くぞ、サクシード」

「はい!」

 二人は騒ぎの中へ身を投じた。

 一般市民の中にも、因果界や虹球界に往った者が相当数いる。

 サクシードの任務は市民の混乱を収めること。

 世界を統率する思想、万世の秘法、その最高位である修法者(エターナリスト)として、必要な措置を取ること。

 万世の魔女の偉大な仕事を引き継ぎ、人々を指導し、希望の種を蒔く。

 その仕事は根気強く、数年の間続けられた。

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