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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第三部
92/201

『世界の大変革』

 2981年輝雲の七月運針の十日——。

 カピトリヌス第二層因果界、神話の里近郊。

 『真央の部屋(コア・ハウス)』と呼ばれる聖所で。『万世の魔女』による『空の儀』が執り行われることになった。

 第五層生命の樹(セフィロト)より下賜された『天窓の鍵』。

 この神器を使って、迫りくる『名のない力』を吸収し、生命の樹にエネルギー変換・流入させる。

 そして、第十層まである世界の構造を入れ替えるのだ。

 媒体は『万世の魔女』の心。

 心を(くう)にして、『名のない力』の導管になる。

 成功すれば、人類に新天地が拓かれる。

 失敗すれば……未曽有のエネルギー塊が世界に激突する。

 このことは関係者『万世の秘法』と第三層『降霊界』、そして対立する『呪界法信奉者』上層部以外には秘匿されていたのである。


 『真央の部屋』は厳重な警備網が敷かれていた。

 第一層真央界、第二層因果界、及び第三層降霊界における緊急配備も完了している。

 『万世の魔女』に連なる縁者、援助者以外は立ち入ることを許されなかった。

 彼らが今か今かと待ち望む中、『万世の魔女』は現れた。

 警備兵が左右一列に居並んだ中央道を進む。

 その姿は希望を体現してあくまで凛々しく、美しい。

 衣裳は生命の樹の加護を受ける者をシンボライズした白いドレスとブーツ。

 警備兵二人を従えて、堂々と進む。

 緊張が走る中、途中でその空気が破られた。

 詰めかけた百人からの人々が、一斉に声援を送ったのである。

「レンナちゃん、頑張って!」

「俺たちがついてるからな」

「『名のない力』なんかに負けるなよ」

「あとのことは任せろ」

「心おきなくぶちかましたれ!」

「ちょっと、それって違くない?」

「へ、レンナちゃんがドカーンとかって、『名のない力』に『天窓の鍵』の力をぶつけるんじゃないのか」

「んなわけねぇだろ! 何聞いてたんだよ、ったく」

「ここにきてその勘違いヤバくない?」

 その会話を聞いて、『万世の魔女』ことレンナ・エターナリストは立ち止まった。

 何事かと押しかける人々を押し返して、警備兵のサクシード・エターナリストはその言動を見守った。

 レンナはクスッと笑った。そして見る者を清々しくさせる明るい笑顔で言ったのである。

「大丈夫ですよ、皆さん」

 おおーっと、どよめく人々、そして口々に言った。

「信じてるからね」

「根性決めろ」

「絶対、上手くいくから」

「みんなでここで待ってる」

「君は一人じゃないぞ」

 手を振って通り過ぎるレンナを、サクシードはじっと見守った。

 そして大事の間際に見せた笑顔を目に焼き付けたのである。


  

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