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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第二部
68/201

『通常の訓練のさなか』

 新訓練の序章が終わると、通常の体力トレーニングが待っていた。

 ランニング・筋力トレーニング・ウエイト・運動器具を使用したトレーニング……。

 それらをこなす訓練生には、鈍重な雰囲気が垂れ込めていた。

 未知のことに挑戦する気概を持つのは難しい。

 実際にレンナと対決していない訓練生でも、それは同じだった。

 間接的に、目指す高みが天井知らずで突き抜けてしまい、足場まで崩れたような。そんな心許なさを味わっていたのだ。

 あの陽気なジャンティでさえ、黙り込んで何かを振り払うように、トレーニングに打ち込んでいた。

 イーリアスも思案に暮れている。

 誰もがその先へ踏み出すのに、どれだけの前準備ができるか考えていた。

 サクシードも困惑を隠せなかった。

 こんなふうに一斉に万武・六色の門戸が開かれるとは、予想だにしないことだった。

 レンナからは何も聞かされていない――。

 これも修法者の務めなのだろう。

 理性はそう判断していたが、苦くて割り切れない気持ちがあった。

(また何かの機会に出てくるんじゃないだろうな――?)

 正直、これ以上レンナを訓練生の前に曝したくなかった。

 昨夜のラファルガーの話じゃないが、周囲からのプレッシャーに、屈することのない関係を築く必要があった。

 海千山千の訓練生たちは、全員ライバルとなったのである。


 正午の時報が鳴った。

「よし、そこまで――!」

 ナムジン教官の号令を合図に、昼休憩の時間に入る。

「おっしゃ! サクシード、行くぞ」

 ジャンティの明るさが救いだった。

 イーリアスと三人で、別棟の食堂へ向かう。

「いやはや、どえらいもん見ちまったな」

 ジャンティは腕を上に伸ばしながら言った。

「そうだな……有無を言わせぬ説得力だった」

 イーリアスも疲れたように言った。

「部外秘ってなってたけど……POAの敷地内はいいんだろ?」

「どうかな? 事務員から一般兵まで共有してるかっていったら……そこまでは浸透してないんじゃないか」

「ふーん、じゃあ訓練ドーム内だけか……あ、そういやサクシード。万世の秘法知ってたじゃん。ついでにさっきの、つおい女の子、知り合いだろ?!」

 ぎょっとするサクシード。

「……よくわかりましたね」

「そりゃ、あんだけ凝視してれば勘づくって。で、誰なわけ?」

「——俺の下宿の世話人です」

「ほうほう! そいつは興味深い」

「あまり藪を突かない方がいいぞ」

「なんで?」

「最高位の修法者だって言ってたろ。サクシードの下宿入りはPOA上層部の陰謀だ。彼の実力を限界以上まで引き上げて……どうなるかは俺にもわからん」

「結局、匙投げるんかい! いいじゃねぇの、青春街道驀進ばくしんすれば。お膳立てには乗るべし。そんで、別世界に行ったんさ~い」

「あのなぁ」

 明るすぎる発想に、イーリアスが落ち込む。

「サクシード……んな悩むなって! ここだけの話にしておくからさ」

「——助かります」

「お、正直でよろしい。任せとけって、何事も楽しんだもん勝ちだぜ。ハプニング、大いに結構! な」

「はい」

 サクシードはやっと肚を決めた。

 レンナは誰にも渡さない――!


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