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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第二部
60/202

『救急法の実習』

「サクシード、おまえ何者?」

 ジャンティが恐々尋ねる。

「爆発物による火傷五回とか、平然と言ってのけたよな。そんなの俺らの中で何人経験してるよ。すごすぎるぞ」

「カピトリヌスやエスクリヌスにいれば、必然そうなりますよ」

 サクシードは何でもないように言った。

「そうなんだろうな。でも、俺たちが言いたいのは、それだけ経験していれば、どこに再訓練の必要があるのか、ということなんだ。すぐ実戦部隊に投入されそうなものだが……」

 イーリアスは上の意向を疑問視した。

「それは……やっぱりPOAの方針やマニュアルを習わないことには、始まりませんから」

 自分に言い聞かせるように、サクシードは言った。 

「謙虚なやつ。まぁ、おかげで仲間になれたんだけどよ」

 頭の後ろで手を組んで笑うジャンティ。

 すると、脇を通って行った訓練生が横槍を入れた。

「さすが編入されるやつは、やることが違うよな」

「俺らと肩並べて訓練するのが、さぞつまらないだろうぜ」

 ニヤニヤ笑って追い抜かしていく。

 呆気にとられたジャンティは、彼らをバカにして言った。

「なんだあいつら、やっかんでんのか。おまえらの方がつまんねぇっつうの」

「気にするな、サクシード。あんなのは一握りだ」

 イーリアスに言われて、サクシードは落ち着いて言った。

「はい」


 実習室に入ると、そこは広くて全員がなにがしか作業できそうだった。

 準備室から教官に言われた物を運び出し、一班六人でチームを組み、それぞれ真ん中に可動式のストレッチャーを置いて待機した。

「ではこれより、応急手当の実習を行う。三人一組で、一人がケガ人、二人が指示に従って処置する係だ。各自順番を決めたまえ」

 オージス教官に言われ、六人一組だった人数を二つに分け、順番を決めた。

 さっき視聴覚室で前後の席となった、先輩訓練生と組んだサクシードたちは、手の裏表で三人一組になった。

 サクシードはイーリアスと同じ組になり、先に実践することになった。

「まず、俺がケガ人になるよ。サクシード、手本を見せてくれよ。手当に関しちゃイーリアスも優秀だから、一番後でもいいよな」

「はい」

「はい」

 残り一人の先輩が仕切ってくれ、サクシードとイーリアスはそれに従う。

 オージス教官から指示が出される。

「本日未明、エスクリヌでテロ爆破事故が起こった。死者十名、負傷者三十名の大惨事だ。POA組織員は直ちに負傷者の応急手当にあたる。……ある負傷者は、頭部出血・左腕部骨折・胸部裂傷している。さぁ、始めてくれ」

 先輩=ケガ人はリアルに床に体を折り曲げて横たわった。

 サクシードはケガ人を仰向けに寝かせると、心臓の上をケガした設定でガーゼを置き、三角巾で胸部を覆い、背面で縛る。

 次に、左側頭部からの出血と設定して、止血する動作をすると、大き目のガーゼで押さえ、包帯を巻く。そして、メモ紙に現在時刻(止血時間)を書き、プラスチックバンドで頭部に留めた。

 イーリアスに手伝ってもらって。足側と胴側に分かれ、前後してケガ人を抱き上げると、ストレッチャーに載せて寝かせた。

 最後に左腕部骨折に取り掛かる。

 骨折したと思われる部分を押すと、ケガ人がタイミングよく「イテ!」と言った。        

 その箇所、前腕部分にガーゼを副木で上下挟んで固定した。そして、三角巾を首で腕を支えるように巻いて調節して、手当は終わった。

「合格!」

 オージス教官がサクシードの背中を叩いて言った。

「さすが、ソツがないな」

 イーリアスが言うと、側で見ていたジャンティたち三人も拍手を送った。

 こうして、あとの班も徐々に合格し、終わると、教官から次の課題が与えられ、順次こなしていったのである。



 

   

 

 

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