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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第二部
56/201

『本気』

 一万メートル持久走は、約一時間ほどで終了した。

 結局、サクシードはダンを追い抜かすことはできなかった。

 しかし――

「おまえ、サクシードとか言ったな」

 ダンが挑むようにサクシードを睨んだ。

 怯むことなく、サクシードは「はい」と言った。

「フン、これからも手を抜くな」

 捨て台詞を吐いて、遠ざかっていった。

「よくやった。これから何でも出し惜しみするなよ」

 ガルーダはこう労った。

 他にも代わる代わる先輩たちがやってきて、サクシードに声をかけた。

「やるじゃねぇの。ダンに追いつくなんざ、俺らじゃ考えられねぇぜ」

「すげぇよ、興奮した。もう少しだったな」

「やっぱ、若さかねぇ」

「そういうやつから年取るんだよ」

「やだやだ」

「いるんだよな、どんぐりの背くらべ状態の中でも、抜きんでるやつが」

「そういや、前に見学に来てたよな。そんでジャンティを技でぶっ倒しただろ。只者じゃねぇよ」

 明るく気の好い先輩たちはそう言って、サクシードを認めた。

 だが、中には早速やっかむ者もいたのである。

「なんだ、あいつ。初日から見せつけやがって、気分わりぃな」

「鳴り物入りか。気に入らねぇぜ」

「ああいうやつは一度締めとくべきだぜ。な、ゲルツ」

 群れ仲間から言われて、ゲルツ・アシェーダは不敵な笑みを浮かべた。

「まぁ、様子を見ようぜ。ちょっとでもおかしなことをしたら、黙っちゃいねぇよ」

 そんなこととは露知らず、サクシードはトラックの中でぶっ倒れているジャンティに駆け寄った。

 ジャンティはせっかくの整った顔を真っ赤にして伸びていた。

「ジャンティさん?」

 サクシードが上から顔を覗き込む。

「よう……! ちょっと俺にはハイペース過ぎたぜ。世の中が回って見える」

「大丈夫ですか」

「なんとかな……おまえは大したやつだな。身に染みてわかってたけど」

 起き上がるジャンティーに手を貸す。

「あーちょっと待ってくれ、気持ち悪い……」

 ゲホッと戻しかけたが、吐きはしなかった。

「無理しないで休んだ方がいいですよ。今、教官に……」

 サクシードが離れかけると、ジャンティはその胸倉をぐっと掴んだ。

 鬼気迫る顔で言い放つ。

「こいつは訓練だ、遊びじゃないんだぜ」

「……!」

 いつもとは違う様子に、驚くサクシード。だがそれも一瞬だけだった。

「なんてな。ガルーダさんの受け売り。俺もこんなペースで走れると思わなくてさ。かっこわりぃ真似はしたくねぇんだよ」

「……」

 すると、その様子を見ていた能天気な訓練生が言った。

「おい、あの二人、デキてるっぽくね?」

「げーっ、やめろよ」

「あり得る、禁断の薔薇の園」

「両方とも顔立ちが整ってるのが、何とも……」

 悪ノリする先輩たち。

「ハハハ、妙な誤解されるぞ、離れとけ」

 ジャンティが力なく言った。

 そんな相手を放っておくサクシードではない。

「根も葉もないことですよ」

 言って肩を貸す。

「バカ言ってんじゃねぇぞ!」

 バカなことを言っていた訓練生たちは、ガルーダによって一人残らず、頭に拳骨をくらった。

「誰か、手ぇ貸してやれ」

「押忍!」

 訓練生が一人走って行って、ジャンティに肩を貸し、サクシードと二人で医務室に運んだ。

 数人に、散らばった紙コップを片付けさせていた、ナムジン教官は、訓練生の一人にジャンティの状態を報告された。

 午前の訓練はこれで終了だった。

 あとは昼食を摂るため、全員、外の食堂に向かった。

 

 


 

 

 

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