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パイオニアオブエイジ  作者: どん
第二部
37/201

『アクシデント』  

 サクシードが再びシャワーを浴びている間、フローラを交えた五人は意見を述べ合った。

「フローラちゃん、見てた?」

「……拝見してましたわ。サクシードの実力は、レンナさんが思っていた以上でしたわね」

「そうなのよ……教える前に、知ってるって言われてるみたいで、なんか……」

「拍子抜け、ですか?」

「うん」

「サクシードにしてみれば―—短い間のレンナさんとのやり取りで、気持ちの準備ができていたのじゃないかしら? それは、レンナさんを信頼しているからこそ、可能なことなんですよ」

 顔を赤くして黙り込むレンナを、ファイアートが勘ぐる。

「何ですか、その反応は! なんかあったでしょ?」

「な、何もないわよ」

「ロデュスも言ってたけどね、君はサクシードに対して無防備すぎるんじゃないの? もちっと謎が多い方が、いろいろ引っ張れるよ。戦略的に」

「そんなこと……」

「ないって言いきれる? 万世の秘法を開示したら、謎の大半は解けたとおんなじじゃんか。呼吸まで読まれちゃって、あとはベッドの上しかお楽しみがない、なんてことにならないようにね」

「何言ってんのー?!」

 爆発して、レンナはファイアートを追いかけまわした。

 サクシードが戻ってきたのは、その時だった。

 ファイアートの肚にクッションを当てて、上から拳をのめりこませた瞬間のこと。

 びっくりしていたサクシードだったが。

「元気だな?」

 クスッと笑って、ソファーに腰かけた。

 どうでもいいが、動じることの少ない男である。

 レンナが一瞬で大人しくなったのを、ファイアートはもどかしく思ったが、次には二人に悪戯を思いついた。

 脇からサクシードの側に行って、耳打ちする。

「レンナを落とすにゃ、必殺技があるよ」

「何の話だ?」

「処女が爽やかさを売るなら、男は肉体美でしょ!!」

 言うなり、サクシードのTシャツをめくりあげた。

「ギャーッ!!」

 サクシードの鍛え上げた上半身があらわになる。

 レンナは右隣で身体をそむけて、両手で顔を覆った。

「こらそこ! なんで「キャー」じゃなくて「ギャー」なの? しっかり拝んどきなさいよ、いずれお世話になるんだから」

「……悪趣味だなぁ、もう」

 ロデュスが盛大に溜め息をついた。

 サクシードはTシャツをさっと直して、ファイアートに言った。

「悪ふざけが過ぎるぞ。もう一度因果界に往って、決闘を申し込もうか?」

「冗談でしょ、冗談。マジになんなって!」

 ニヤニヤするファイアートに、ラファルガーが言った。

「あの世の果てまでぶっ飛ばしてもらえ」

「おー、ラファルガー! 便乗するかね、珍しい」

 憎ったらしくファイアートが言うと、ラファルガーは一言。

「俺も加勢するぞ、サクシード」

 レンナをなだめていたフローラが仲裁した。

「やめてくださいな、騒々しい。何がもつれてレンナさんに恥をかかせるんですの? ファイアートは悪い癖が治ってないようですわね」

「……そう言えば、フローラ。なんで君、男の裸に無反応なの?」

「特別な好意がなければ彫刻と同じです。サクシード、あなたに罪はありませんけれど、レンナさんに謝って。このシンパティーアは、レンナさんの裁量で運営されています。秩序を乱すのは十分反省すべきことなんですよ」

「それもそうだな。——レンナ、ごめん。悪かった。こんなことは二度と起こさないから、許してくれ」

「……」

「レンナ……」

 レンナは真っ赤になって、涙目になりながら言った。

「いいの、サクシードは全然悪くないわ」

「あーあー、泣かせちゃって。これだから筋肉で食ってるやつは……」

 ファイアートが言えたのはそこまでだった。

 サクシードは恐ろしく速い動作で、立っているファイアートの右腕を捻り上げた。

「イデデデ! ギブ、ギブ!!」

「俺の限界が知りたいなら、別の方法にするんだな」

 ドン、とソファーに突き倒して、ファイアートはドスンと尻もちをついた。

「……ったくぅ、ほんのお茶目ゴコロなのに、ムキになるんだからね。おお痛てぇ」 

 フローラが指をスウッと下から上になぞった。

 すると、ファイアートは急にフローラの指を目で追って、コテンと爆睡してしまった。

「お夕飯まで休んでてくださいな」

 フローラを怒らせると、こうなるのである。 



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