プロローグ
その世界は、四つの大自然に囲まれていた。
北のアルペンディー大山脈。
南のティアドロップ大海。
東のチュールブ大平原。
西のパラティングス大樹海。
これらは人類未踏の領域であり、歴史の介在を許さなかった。
そのため中央の大地のみが、人類の生きる場所となった。
神話によれば、まだ小さな国々が領土争いに明け暮れていた頃、七柱の神々が七つの地に降臨したという。
神々は七つの地を霊地と定め、国造りをするよう民人に宣うた。
こうして七つの地は神殿となり、宮廷となり、国となった。
『創世紀』と呼ばれる黎明期。
『万世紀』と呼ばれる爛熟期。
そして『新世紀』と呼ばれる現代。
人々はたゆまぬ努力によって歴史と繁栄を築いてきた。
しかし、経済成長は登り詰め、資源も底をついて、世界情勢は停滞しようとしていた。
有識者の警鐘も虚しく、突入した新世紀は不穏な幕開けとなった。
戦争は資源がないので起こらないが、代わりにテロが世界各地で活発化した。
この由々しき事態に、世界の七つの宮廷国、カピトリヌス、カエリウス、アウェンティヌス、エスクリヌス、ウィミナリス、クイリナリス、パラティヌスは結束した。
対テロ組織『パイオニアオブエイジ』を発足したのである。
物語は『パイオニアオブエイジ』に配属される、一人の青年を追っていく。
青年は今、船旅の途上。
組織で訓練を受けるべく、本部のあるパラティヌスに向かっていた。